第2話 友達と幼馴染
無事学校に着き、教室に入ると1人の男子生徒が俺の元に向かってきた。
「よう悠真、今日は一段と眠そうじゃねぇか」
「おはよ拓斗、色々あってな」
彼は俺の親友西川拓斗、イケメンでスポーツ万能、勉強もそこそこできるとかいうチートだ。
「色々って、配信のこと?」
周りに聞こえないくらいの声量で俺の耳元で囁く。拓斗は俺の家族以外で配信者をしていることを知っている数少ない人物だ。
「そんなところ」
「ふーん、配信者って大変なんだな」
「まぁな、ん?お前も隈すごいぞ?」
「あぁ、それが...」
珍しく真剣な顔で俯く拓斗に俺は不安を感じる。
「なんかあったのか?良ければ相談に乗るけど...」
ここまで真剣な顔になると、相当辛い事があったのだろう。慎重に言葉を選ぶべきだ。
「実はな、BLEACHにハマって破面編一気見して寝たの朝方なんだ...」
「バカかよお前、人が心配してやったのに」
「あまり強い言葉を使うなよ。泣くぞ。」
「お前それコラの方じゃねーか」
クソほどどうでも良かった。聞く必要すら無かった。そんな風に喋っていると、他の男子が拓斗を呼び、そちらへ行ってしまった。
◇
授業をなんとか聞けているが今にも机に突っ伏して寝てしまいそうな程の眠気が俺を襲い続ける。
「ここはだな〜」
今は先生の言っている言葉が全て魔法の呪文のように聞こえてしまう。
チラ、と拓斗の方を見ると普通に寝ている。
朝ギリギリまで寝れば良かったなぁ...なんて思っていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
「よっしゃ〜終わった〜!」
「なんでお前寝てるのに成績良いんだよ」
「天才だからじゃね?」
「聞いた俺が悪かった」
ドヤ顔で答えた拓斗に呆れながら教科書を片付ける。
「飯どーすんの?」
「俺今日弁当」
「え〜俺今日学食だわ」
「買ってこいよ、待っとくから」
「おけ、行ってくるわ」
そう言って教室を出てく拓斗を見送り、少し寝ようと机に突っ伏す。
意識が段々と無くなり始め...
「ねぇ悠真」
急に名前を呼ばれ、バッと顔を上げると目の前に彩花がいた。長く、綺麗な黒髪、スラリとした体型、整った顔立ちに思わず見惚れる。
「わ、ビックリした」
「ご、ごめん彩花。なんか用?」
「いや、ってすごい隈...どうしたの?」
「あ、いや、なんもないよ...」
「また夜更かししたんでしょ?はぁ、本当バカなんだから...大丈夫?」
「は、はは...大丈夫だよ」
いやほぼ彩花さんが原因なんですけどね...
「ご飯まだ食べないの?」
「うん、拓斗がパン買ってくるの待ってるんだ」
「そう、なんだ...」
「どうかしたの?」
「ううん、なんもない。でもちゃんと寝なさいよ?」
「わかったよ、心配してくれてありがとうね」
「べ、別に...まぁ、良いわ」
彩花はそう言って女子グループの元へ行ってしまった。
「お待たせー。ん?なんかあった?」
「あ、あぁ拓斗。ちょっとな」
「そ?じゃあ食べるかー!」
椅子を持ってきて、座った拓斗は大きな一口でおいしそうにパンを頬張るのだった。