06 恋ってこんな感じなの?嫉妬
初夜は始まった。
酔って昨晩のことをよく覚えていない私にとっては、ドキドキの連続だ。
私は身を捩って逃げようとした。頭がおかしくなりそうだ。
何より淫靡。
イケないことをしている感満載。
待って。
待って待って。
なんでぇ……?
アラン王子は、不適な笑みを浮かべた。
「リジー、幸せでしょ?」
幸せです……。
でも、背徳感がヤバすぎるんですが……。
「あの……これって普通ですかぁ?」
「ん?フツー」
……あっこれがいじめるってこと?
「リジー、可愛い……」
真っ赤になった私の言葉に、頬を上気させていたアラン王子はますます真っ赤になった。瞳が怪しく煌めき、私を愛でるように眺めて横をプイッと向いて首を振った。
「耐えられ……ない。そんな可愛い……ことを言われたら耐えら……れそうもない」
力無くうめき、天を仰ぐアラン王子。
えっ?
うそっ!?
なんでっ?
上目遣いでアラン王子を見ると、王子の顔が不自然に歪み、何かを耐えているかのように私を熱視線で見た。
「リジーっ、そんな目線されたら……たまらない……せっかく今日はリジーを休ませてあげようと俺はガマンしたのにさぁっ」
私の中で妙なスイッチが入ってしまった。
なんだかもっともっと凛々しい顔を切ない表情に変えるアラン王子をいじめたくなった。
私!
どうしたのっ!?
そっか。
アラン王子が幸せだと、私も幸せなのか。
私はそのまま何を思ったのかアラン王子を押し倒した。
***
2人で両手を絡めて手を繋いだ。
私たちは幸せでベッドの上にひっくり返ってしばらく動けなかった。
「リジー、最高だよ。俺、こんなに幸せなの初めて」
アラン王子は輝くような凛々しい美貌を煌めかせて、泣いていた。逞しい胸板がひくついている。
私は深い満足を覚えてベッドに横になった。
今まで、アラン王子は誰と夜を過ごしたの?
私はあなたが初めてだけど……。
私の心の中でその言葉が出て、私は言葉を飲み込んだ。
これが嫉妬だろうか。
恋の入り口は、嫉妬の入り口だろうか。
最高の初夜だった。
私は自分がこんなに幸せを感じて、愛されるなんて信じられない。
恋ってこんな感じなの?
私のワンナイトは、予期せぬ展開へ。
カットしており短文で失礼します。