16 リジー、俺のそばにいて
彼が逞しい体を密着させてきて、優しいキスをした。体中が優しさに包まれた。
私達はお互いの肌の体温で何もかも溶け合うようだった。
ふわふわの心地。
鍛えあげられた胸筋と腹筋。
その先にアラン王子の美しい顔がある。
私は色っぽい目線で見下ろされて。
もうたまらないといった表情で見つめられていた。
私はどんな風にみえているのか分からない。
アラン王子に求められるがままの心地だ。
「リジー、可愛いぃよ」
私を見下ろす視線と、アラン王子を見上げる私の視線が絡み合う。
互いの両手の指を絡めた。
キスをされて、恥ずかしがる私。
「愛しているんだ。本気なんだ。俺から逃げな……いでくれる?今までこんな気持ちになったことがない。だから、リジー、俺のそばにいて」
私はそう囁かれて、一つになった。
「リジーは俺が守るから」
髪を汗で濡らしたアラン王子の煌めく瞳が私を愛おしそうに見つめている。
最高だよ。
リジー、幸せにしてあげる。
唇にキスが落ちてきて、優しく髪と頬を撫でられた。
「リジーしか見えない。愛している。分かってる?」
「あなたしか見えない。愛してるの」
アラン王子の胸の中で、私は告白した。
ぎゅーっと抱きしめられて、汗に濡れて色気の増したアラン王子に、ちゅっとキスをされた。
「じゃあ、リジーは俺と別れない」
アラン王子は煌めく瞳に涙を溢れさせ、私の手の甲に恭しくキスをして囁いた。
「未来の王妃は、リジーだから」
はっ?
なんで?
甘い雰囲気で微笑んで私を抱きしめたアラン王子は、そのままスースー眠ってしまった。
私はそれにつられて一気に眠くなり、意識を手放した。心が満たされて、幸せだ。
最後の意味不明なアラン王子の言葉は、よく分からないけど…。
私のワンナイトは、予期せぬ展開へ。




