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12 あの2人が一緒にベッドに入るのはイヤ

「わかりましたわ」


 私はすましてそう言って、マリーに部屋に残るようにお願いして、アラン王子とイザークの後をついてヨナン妃の部屋に向かった。


 ヨナン妃の部屋に入ると、侍女のルーシーが本物のヨナン妃に小言を言われていた。



「かしこまりました。昨日まではお一人で全てやると仰るので、大変申し訳ございませんでした。今日のお声は素敵ですね」


 ルーシーはひたすら謝っている。だが、微妙に一言ずつ余計な発言が多いかもしれない。



「素敵に決まっているじゃない!当たり前の事を言われたら、イライラするから」


 私たちが姿を現したことに気づいたヨナンは、すっと小言をやめて、ルーシーを下がらせた。



 イザークが扮していたヨナン妃に、見た目はそっくりだ。ただ、胸は本物のようで、膨らみは今までよりかなり増している。



「こんなぽっちゃり……」

 ヨナン妃はじろじろ私を見た。


「どこがいいの……?」


 ヨナンはアラン王子に聞いた。


 その言い方には甘い毒があった。

 勝手知ったる昔からの知り合いのような、互いに全てを許した過去があるから漏れ出るような、くだけた雰囲気があった。


 全てを許した以上の仲だったことを醸し出して、甘い大人の関係を匂わされた。



 私は悔しくて胸がちくりとしてしまった。




「失礼な発言は許さない。俺にとっては最高の妻だ」


 アラン王子は相当怒っているらしく、真っ赤に顔を赤らめて、かしこまった言葉遣いをした。


「あら?相性もいいというわけね。でも、比べて見ないとわからないでしょう。今晩……久しぶりに早速試しましょ」




 私はため息が出た。

 なんちゅうー女だ。

 よくこんな女性を……。


 私はアラン王子に悲しくもイラっとした。



「エリザベス?もはやあなたは昔の女よ。私がアランの今の女になるわ」



 私の目の前で、ヨナンはふわりと微笑み、アランに抱きついた。



 アラン王子は硬直した様子になり、私はいたたまれずに、部屋から飛び出した。



 イヤ!

 あの2人が一緒にベッドに入るのはイヤ!




 でも、ここは王家だ。

 第一妃は私ではない。



 私は夕食を欠席して、泣いた。

 大粒の涙が後から後からあふれた。


 その夜、泣きながらベッドに寝ていた私は、そっと誰かがベッドに入り込んで来たのに気づいた。



 あぁっ……



「リジー、俺、リジーじゃなきゃダメなんだ」



 アラン王子に組み敷かれた。



「泣いてたの?リジー?」


 アラン王子のささやくような声で私の胸の中は温かいもので満たされた。



「ごめん、リジー、俺はリジーとしかダメなんだ。我慢できない」


 服を脱ぎ捨てて鍛え上げられた胸板を露わにしたアラン王子。


 

 幸せで頭が真っ白になった。


 視線が絡み合い、私たちの唇が重なった。

 


「愛している、リジー」



 アラン王子の煌めく瞳が私を見下ろし、私は大きな波に飲み込まれてあまりの幸せ感に震えた。



「私も。アラン。どうしてもヨナンにあなたを取られるのは嫌なの……」


 私たちは抱き合ってお互いの瞳を見つめた。


 アラン王子の煌めく瞳は切なそうに私を見つめて、「愛している」と囁いた。



「俺はリジーだけのものだ」



 私はそう言われて、涙をこぼした。

 だって第二妃だ、私は。

 

 ヨナンは自分のおもちゃに興味がなかったくせに、おもちゃ自身が別の女性に興味を示すと、俄然取り返したくなった子供だ。



 問題は、彼女が信じがたいほどナイスバディで、絶世の美女であること。



 そしてアラン王子にとって忘れ難い、初めての(ひと)だという点だ。


 

 「リジー、愛している、一生……」


 キスをされて、私はアラン王子にささやかれた



 私のワンナイトは、予期せぬ展開へ。


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