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決意を新たに


場所は、レジスタンス組織のアジト、作戦会議室。先ほどまでの戦闘の緊張が、まだ空気の中に色濃く残っている。壁には、戦闘で負った傷跡が、生々しく残されており、床には、薬莢や、壊れた武器の破片が散乱していた。テーブルの上には、解析途中のデータや、資料が散乱している。翔、マックス、アヤ、エレーヌは、リョウやケンタ、そして他の数名のレジスタンスのメンバーたちと共に、テーブルを囲んでいた。彼らの表情には、疲労の色が浮かんでいたが、同時に、未来への希望を、決して失ってはいなかった。プチは、部屋の隅の簡易ベッドで、静かに眠っている。アヤが、応急処置を施してくれたおかげで、命に別状はなかった。その小さな体は、まだ痛々しい傷跡を、いくつも残していた。その寝顔は、安らかで、まるで、子供のようだった。


「無事に帰ってきて、本当によかった…!」


リョウは、翔たちの姿を見て、心から安堵した表情を浮かべた。そして、翔の隣に座る、傷つきながらも誇らしげなマックス、アヤ、そしてエレーヌにも、労いの言葉をかけた。その表情と声には、仲間を思う、深い愛情が、込められていた。


「ああ…何とかな…」


翔は、力なく微笑み、椅子に腰掛けた。その体は、疲労困憊だった。


「しかし、クロノスの中枢基地は、完全に崩壊してしまった…。連中の計画は、これで阻止できたのか…?」


ケンタが、不安げに言った。その声には、まだ、完全には安心しきれないという、思いが込められていた。


「いや、まだ終わっちゃいない…」


翔は、ポケットから、あのペンダントを取り出し、テーブルの上に置いた。


「これが、その証拠だ…」


「それは…!?」


リョウは、ペンダントを見て、目を見開いた。他のメンバーたちも、初めて見るペンダントに、興味津々といった様子で、身を乗り出した。そのペンダントは、確かに、何か特別な力を、秘めているように見えた。


「このペンダントが、突然光り出して、僕に、この剣を与えてくれたんだ…」


翔は、先ほど起こった出来事を、リョウたちに説明した。その口調は、自分自身、何が起こったのか、完全には理解できていないようだった。


「光の剣…まさか、本当に存在したとは…」


リョウは、信じられないといった様子で、ペンダントを見つめた。


「この剣は、一体…?」


アヤが、ペンダントに、興味津々といった様子で、問いかけた。その声は、科学者としての、純粋な好奇心を、示していた。


「わからない…でも、クロノスの指導者は、この剣のことを、"伝説の光の剣"と呼んでいた…」


翔は、指導者との戦いを思い出しながら、言った。


「伝説…?」


エレーヌが、首を傾げた。


「ああ。この時代には、古くから伝わる、一つの伝説がある…」


リョウは、神妙な面持ちで、語り始めた。


「曰く、世界が闇に覆われし時、光の戦士が現れ、その手に携えし聖なる剣で、悪を滅ぼす…と」


「光の戦士…聖なる剣…」


翔は、リョウの言葉を、反芻するように呟いた。その言葉は、まるで、遠い昔の、おとぎ話のように、翔には聞こえた。


「まさか、その伝説が、現実のものだったとは…」


ケンタが、驚きを隠せない様子で、言った。


「そして、その光の戦士とは、翔、お前のことだ…」


リョウは、真っ直ぐに、翔の目を見つめた。その瞳には、強い確信の色が浮かんでいた。


「僕が…光の戦士…?」


翔は、自分自身を指差し、信じられないといった表情を浮かべた。その言葉は、彼にとって、あまりにも、重すぎるものだった。


「ああ。このペンダント、そして、光の剣は、お前を選んだんだ…」


リョウは、力強く言った。


「クロノスの指導者は、この剣の力を恐れていた。つまり、この剣こそ、奴らの野望を阻止する、鍵となるはずだ…!」


その言葉は、翔に、大きな責任と、使命を、自覚させるものだった。


「しかし、なぜ、このペンダントが、翔の手に…?」


アヤが、疑問を投げかけた。


「それは…」


翔は、ペンダントを見つめながら、言った。


「…僕にも、わからない。でも、このペンダントは、父さんが母さんに贈ったものなんだ…」


「お父さんが…?」


リョウが、驚いたように、言った。


「ああ。母さんは、このペンダントを、いつも大切に身につけていた…そして、失踪する前、このペンダントを、僕に…」


翔は、母親の失踪の謎、そして、父親の死の真相が、このペンダントと、深く関わっていることを、確信し始めていた。


「翔の父親は、我々の同志だった。彼は、クロノスの計画を阻止するために、命を懸けて戦った、勇敢な男だった…」


リョウは、遠い過去を懐かしむように、目を細めた。その瞳には、深い尊敬と、哀悼の念が、込められていた。リョウは、目を閉じ、かつての戦友の姿を、思い浮かべた。


「しかし、志半ばで、奴らに…」


リョウは、そこで言葉を切り、悔しそうに、拳を握りしめた。


「…お父さんは、クロノスと戦っていたのか…」


翔は、父親の過去を知り、衝撃を受けた。その声は、驚きと、そして、かすかな誇りを、含んでいた。その事実は、彼に、新たな決意を、促すものだった。


「ああ。そして、彼は、このペンダントの秘密を、知っていたのかもしれない…」


リョウは、ペンダントを見つめながら、言った。


「だとすれば、翔の母親も、何かを知っているはずだ…」


アヤが、考え込むように、言った。


「ああ…。母さんは、きっと、何かを知っている…」


翔は、母親の行方を捜す決意を、改めて固めた。その瞳には、母親への、深い愛情と、真実を知りたいという、強い思いが、込められていた。翔は、拳を強く握りしめた。その手には、母親への想いと、真実を求める、強い決意が込められていた。


「よし、これからのことを話し合おう…」


リョウが、メンバーたちに、声をかけた。


「まずは、プチが掴んだ情報を、解析する必要がある。アヤ、マックス、頼めるか?」


「ええ、任せて…!」


アヤは、力強く頷いた。


「私も、全力を尽くします」


マックスも、静かに、しかし、決意を込めて答えた。


「ケンタ、お前は、負傷者の手当てと、アジトの防衛を頼む」


「ああ、任せとけ…!」


ケンタは、力強く胸を叩いた。


「エレーヌ、君の歌声は、みんなの心の支えだ。これからも、その歌声で、みんなを励ましてくれ」


「ええ、もちろん…!」


エレーヌは、優しく微笑んだ。


「そして、翔…」


リョウは、翔に向き直った。


「お前には、このペンダント、そして、光の剣の謎を、解き明かしてもらいたい」


リョウは、真剣な表情で、翔に言った。


「…わかった」


翔は、リョウの目を見つめ、力強く頷いた。


「必ず、この戦いに、決着をつける…!」


翔の瞳には、強い決意の光が宿っていた。その光は、まるで、暗闇を照らす、希望の光のようだった。そして、その光は、仲間たちの心にも、確かに灯っていた。それは、彼らが、今まで、決して諦めずに、戦い続けてきた、証でもあった。翔は、突然の運命に、戸惑いながらも、未来を救うためには、自分が、この力を使いこなさなければならない、と、強く心に誓った。


「よし、みんな、それぞれの任務に取り掛かろう…!」


リョウの合図で、レジスタンスのメンバーたちは、一斉に動き出した。


「未来のために…!」


翔は、光の剣を、力強く握りしめた。


「必ず、クロノスを倒す…!」


翔たちの、未来をかけた、最終決戦が、今、始まろうとしていた。



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