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反撃の狼煙


場所は、クロノスの中枢基地へと続く地下トンネルの広場。破壊された円柱状の装置が、無残な姿を晒している。その周囲には、クロノスの指導者と、彼に率いられた兵士たちが、翔たちを取り囲んでいた。この激戦の爪痕が、先ほどの戦いの激しさを、物語っていた。


「観念しろ、タイムトラベラー…お前たちの抵抗は、無意味だ…」


クロノスの指導者は、冷たく言い放った。その声は、フードの下からでも、相手を威圧するような、不思議な力を持っていた。


「無意味かどうかは、やってみなければわからない…!」


翔は、指導者を睨みつけながら、力強く言った。その瞳には、決して屈しないという、強い意志が宿っていた。


「お前たちの野望は、絶対に阻止する…!」


「ほざけ…!小僧が…!」


指導者は、嘲笑うかのように、鼻で笑った。その笑い声は、不気味なほど、冷たかった。


「この時代で、我々に敵う者など、存在しない…!」


指導者は、そう言うと、再び手を高く掲げた。

すると、周囲にいたクロノスの兵士たちが、一斉に、翔たちに銃を向けた。その銃口は、まるで、死神の鎌のように、彼らの命を狙っていた。


「くっ…!」


翔は、絶体絶命の危機に、歯を食いしばった。

その時だった。

突然、どこからか、一筋の閃光が放たれ、クロノスの兵士の一人が、悲鳴を上げて倒れた。


「何だ…!?」


指導者は、驚いて、周囲を見回した。


「今の攻撃は、どこから…?」


「お前たちの相手は、俺たちだ…!」


聞き覚えのある声が、暗闇から響いた。その声は、翔にとって、何よりも心強い、援軍の到着を告げるものだった。

次の瞬間、複数の人影が、地下トンネルの奥から現れた。

それは、リョウたち、レジスタンスのメンバーたちだった。彼らの登場は、翔たちにとって、まさに希望の光だった。


「リョウ…!」


翔は、希望の光を見出し、声を上げた。その声には、安堵と、喜びが、入り混じっていた。


「無事だったのか…!」


「ああ…!お前たちこそ、よくぞここまで…!」


リョウは、翔に、力強く微笑みかけた。その笑顔は、翔たちへの、深い感謝と、信頼の証だった。リョウの脳裏に、かつてクロノスに処刑された、父親の姿が浮かんだ。その仲間の為なら、自身が盾になることも厭わない姿を。リョウは、そんな父親の意思を継ぐ為にも、レジスタンスのリーダーとして、仲間を守り抜くという強い責任感があった。


「数は少ないが、精鋭部隊を連れてきた…!」


リョウの隣には、ケンタをはじめ、数名の屈強な戦士たちが、武器を構えて立っていた。彼らの表情は、決死の覚悟を、物語っていた。


「助かった…!」


翔は、リョウたちに、心から感謝した。その言葉には、仲間への、深い信頼が込められていた。


「礼を言うのは、まだ早い…!」


リョウは、前を見据え、言った。


「ここからが、本当の戦いだ…!」


「ああ…!」


翔は、力強く頷いた。


「行くぞ、みんな…!」


リョウの合図で、レジスタンスのメンバーたちは、一斉に、クロノスの兵士たちに攻撃を仕掛けた。


「うおおお…!」


雄叫びを上げながら、レジスタンスの戦士たちが、クロノスの兵士たちに、斬りかかった。その雄叫びは、自由への渇望、未来への希望、そして、仲間への想いが、込められていた。


「怯むな!応戦しろ!」


クロノスの兵士たちも、負けじと、応戦した。

激しい銃撃戦と、白兵戦が、広場のあちこちで繰り広げられた。その光景は、まるで、地獄絵図のようだった。


「翔!お前たちは、プチの救出を…!」


リョウは、戦いながら、翔に叫んだ。その声は、銃声と爆発音にかき消されそうになりながらも、確かに翔の耳に届いた。


「わかった…!ここは、任せたぞ…!」


翔は、リョウに、そう言い残し、マックス、アヤ、エレーヌと共に、広場の奥へと走り出した。その背中には、リョウたちの、熱い想いが、託されていた。


「プチは、データ保管庫の近くに、囚われているはずだ…!」


マックスが、先導しながら、言った。


「急ごう…!」


翔たちは、激しい戦闘を潜り抜け、データ保管庫へと急いだ。

しかし、その時、翔の前に、クロノスの指導者が立ち塞がった。


「そうは、させるか…!」


指導者は、冷たく言い放ち、翔に向かって、手をかざした。

すると、指導者の手から、青白い光が放たれ、翔を襲った。


「ぐわっ…!」


翔は、光をまともに受け、その場に倒れた。その衝撃は、彼の全身を、激しく揺さぶった。


「翔…!」


アヤが、心配そうに、翔に駆け寄った。


「大丈夫か…!?」


「ああ…何とか…」


翔は、苦痛に顔を歪めながら、ゆっくりと立ち上がった。


「お前が、リーダー格か…?」


指導者は、翔を睨みつけながら、言った。その視線は、冷酷だった。


「邪魔をするなら、まず、お前から消してやる…」


指導者は、再び、翔に向かって、手をかざした。

その時、エレーヌが、翔の前に、飛び出した。


「やめて…!」


エレーヌは、指導者に向かって、叫んだ。それは、まるで、祈るような姿だった。

そして、彼女は、目を閉じ、歌い始めた。

その歌声は、悲しみに満ち、そして、強い決意を秘めた、祈りの歌だった。

エレーヌの歌声は、広場中に響き渡り、不思議な力を発揮し始めた。それは、聞く者の心を、強く揺さぶる、不思議な力だった。

すると、クロノスの兵士たちの動きが、徐々に鈍くなっていった。


「何だ…!?この歌は…!?」


指導者は、苦痛に顔を歪めながら、言った。


「力が…抜けていく…」


その異変は、指導者自身にも、確実に影響を及ぼしていた。


「やめろ…!その歌を、やめろ…!」


指導者は、エレーヌに向かって、手を伸ばしたが、その体は、まるで金縛りにあったかのように、動かなかった。


「今のうちだ…!みんな、行くぞ…!」


翔は、仲間たちに、声をかけ、データ保管庫へと走り出した。


「くそっ…!逃がすか…!」


指導者は、エレーヌの歌声に抵抗しながら、翔たちを追おうとした。

しかし、その時、リョウが、指導者の前に立ち塞がった。


「お前の相手は、俺だ…!」


リョウは、指導者に向かって、銃を構えた。その瞳には、一歩も退かないという、強い決意が宿っていた。


「邪魔をするな…!」


指導者は、リョウに向かって、光線を放った。

しかし、リョウは、間一髪のところで、光線をかわした。


「お前たちの野望は、ここで終わらせる…!」


リョウは、指導者に向かって、果敢に攻撃を仕掛けた。その攻撃は、レジスタンスの、未来への希望を、乗せた一撃だった。

指導者とリョウの、一騎打ちが始まった。それは、未来の命運をかけた、壮絶な戦いだった。

一方、翔たちは、データ保管庫にたどり着いていた。


「プチは、どこだ…!?」


翔は、周囲を見渡しながら、プチを探した。


「あそこです…!」


マックスが、部屋の隅を指差した。

そこには、縄で縛られ、意識を失っているプチの姿があった。


「プチ…!」


翔は、プチに駆け寄り、その体を抱き起こした。


「しっかりしろ、プチ…!今、助けるからな…!」


翔は、プチに、必死に呼びかけた。その声は、心配と、愛情に満ちていた。


「縄を…切らないと…」


アヤが、ポケットから、ナイフを取り出した。

その時、背後から、冷たい声が響いた。


「…無駄なことを…」


翔たちが、振り返ると、そこには、傷つきながらも立ち上がった、クロノスの指導者が立っていた。


「お前たちは、ここで終わりだ…」


指導者は、そう言うと、再び、手をかざした。




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