希望の糸
広場の中央で、捕らえられたレジスタンスのメンバーたちが、クロノスの兵士たちに囲まれている。彼らの体は、鎖で幾重にも縛り付けられ、自由を奪われていた。鎖で繋がれ、跪かされ、その表情には絶望の色が浮かんでいた。まるで、公開処刑を待つ罪人のようだった。
「今すぐ、仲間を解放しろ!」
翔は、クロノスの兵士たちに向かって、怒鳴った。
「さもなくば、力ずくでも奪い返す!」
「無駄な抵抗はやめろ!」
クロノスの兵士が、翔に向かって、銃を向けた。その銃口は、冷たく、そして、容赦なく、翔に向けられていた。
「お前たちに、未来を支配する権利はない!」
「黙れ、小僧!」
兵士は、引き金に指をかけた。その瞳には、冷酷な光が宿っていた。
その時だった。
「させるか…!」
リョウが、兵士に向かって、飛びかかった。それは、まさに捨て身の行動だった。
「リョウ…!」
翔は、驚いて、リョウの名前を呼んだ。その声には、リョウを心配する気持ちと、彼の行動への、強い共感が込められていた。
リョウは、兵士から銃を奪い取り、他の兵士たちに向かって発砲した。その目には、仲間を守るという、強い決意が宿っていた。
「怯むな!奴らを捕らえろ!」
兵士たちは、リョウに向かって、一斉に攻撃を始めた。銃弾が、リョウのすぐ側を、掠めていく。
「くっ…!」
リョウは、銃弾を避けながら、必死に応戦した。
「リョウを援護するぞ!」
翔は、マックス、アヤ、エレーヌと共に、リョウの援護に向かった。
「させるか!」
しかし、クロノスの兵士たちは数が多く、翔たちはなかなか近づくことができない。
「このままじゃ、ジリ貧だ…!」
翔は、焦りを感じ始めていた。何か、打開策を見つけなければ…!
その時、マックスが、何かに気づいたように、目を見開いた。
「翔!プチからの信号です!」
「何だって…!?」
翔は、驚いて、マックスの顔を見つめた。
「プチが、クロノスの中枢基地への侵入ルートを発見したようです!」
「本当か!?」
「はい!地下通路を利用すれば、敵に見つからずに、基地の内部に潜入できる可能性があります!」
マックスは、いつもの冷静な口調で、答えた。
「よし…!マックス、そのルートを詳しく教えてくれ!」
翔は、マックスに指示を出した。その声には、微かな希望が込められていた。
「了解しました!」
マックスは、すぐに、プチから送られてきたデータを解析し始めた。
「ここから北東に約500メートル…そこに、地下通路の入り口があるはずです!」
マックスが、翔に告げた。
「よし…!みんな、行くぞ!」
翔は、仲間たちに、声をかけた。
「リョウ!僕たちは、別ルートから、クロノスの中枢基地に潜入する!捕らえられた仲間たちの救出は、任せたぞ!」
翔は、リョウに向かって、叫んだ。その声は、覚悟を決めた者の、力強さに満ちていた。
「ああ、任せろ…!お前たちも、気をつけてな…!」
リョウは、翔に向かって、力強く頷いた。その表情には、翔たちへの、深い信頼が込められていた。
「必ず、また会おう…!」
翔は、リョウに、そう言い残し、仲間たちと共に、広場を後にした。その言葉は、二人にとっての、固い約束だった。
「急げ!時間がないぞ!」
翔たちは、マックスが示したルートを、一目散に駆け抜けた。背後からは、クロノスの兵士たちの怒号が、追いかけてくる。
クロノスの兵士たちの追跡をかわしながら、彼らは、なんとか地下通路の入り口にたどり着いた。そこは、古びた地下通路の入り口で、長い間、使われていない様子だった。
「ここだな…?」
翔は、周囲を見渡しながら、言った。
「はい、間違いありません」
マックスが、答えた。
「よし、行くぞ…!」
翔は、仲間たちに、声をかけ、地下通路へと足を踏み入れた。
暗く、狭い通路の中を、彼らは、慎重に進んでいった。壁面には、謎の配管や、配線が張り巡らされ、まるで、巨大な生物の、体内を進んでいるかのようだった。
「この先に、クロノスの中枢基地がある…」
翔は、固い決意を胸に、歩みを進めた。その表情は、これから始まる戦いへの、覚悟を示していた。
「必ず、クロノスの野望を阻止する…!」
翔たちは、プチが発見した侵入ルートを利用し、クロノスの中枢基地へと潜入することに成功した。