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テディベアが時空を超える時  作者: Gにゃん
産業革命の光と影
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研究所襲撃


「奴ら来たぞ!」


マックスの鋭い声が、静かな研究所に響き渡った。窓の外を見ると、クロノスのメンバーが黒い影のように工場の敷地内へ侵入してくるのが見えた。手に手に武器を持ち、不気味な仮面で顔を隠している。その数はゆうに二十人を超えているだろう。


「なんて数だ!」


アヤは驚きの声を上げた。


「ピッ!ボク……怖い……!」


プチはアヤにしがみつき、震えていた。


「みんな、落ち着いて!」


翔は仲間たちに声をかけた。


「僕たちは、ワットさんと共に戦うんだ!」


翔の言葉に、仲間たちは勇気を得た。


「ええ、翔の言う通りです。私たちは決して諦めないわ」


アヤとエレーヌが力強く言った。


「ピッ!ボクも戦う!」


プチはアヤの腕の中から飛び出し、やる気を見せた。


「よし、行くぞ!」


翔は仲間たちと共に研究所の外へ飛び出した。


「ワットさん、僕たちも戦います!」


翔はワットに言った。


「ありがとう、翔君」


ワットは翔たちの申し出に感謝した。


「では、共に戦いましょう!」


ワットは翔たちと肩を並べ、クロノスのメンバーに立ち向かった。

翔はギヨームから授かった剣を抜き、先陣を切ってクロノスのメンバーに斬りかかった。剣が空気を切り裂く音、クロノスのメンバーの悲鳴、そして鉄と鉄がぶつかり合う音が入り混じる。戦闘は激しさを増していく。翔は剣術の腕を活かし、次々と敵を倒していく。彼の剣は敵の攻撃をいなし、鋭く切り裂く。クロノスのメンバーは次々と剣を受け、悲鳴を上げながら倒れていく。翔の動きはまるで舞い踊るように華麗で、それでいて力強い。一人の敵が背後から襲いかかろうとしたが、翔は気配を察知し、体を翻して逆に斬りつけた。


アヤは未来の科学技術を駆使し、クロノスのメンバーを攻撃した。彼女の放つ光線は敵の武器を破壊し、動きを封じる。光線は閃光と共に敵の体に命中し、目をくらませてその場に倒れ込ませた。プチは小さな体を活かし、クロノスのメンバーの足元をかき回し、攻撃を妨害した。敵の攻撃をかわしながら、鋭い爪で敵の足を切り裂いたり、奪い取った武器を投げつけたりと勇敢に戦う。「ピッ!喰らえ!」とプチは敵に向かって飛びかかり、鋭い牙で敵の腕に噛みついた。


エレーヌは美しい歌声でクロノスのメンバーの心を惑わし、戦意を喪失させた。彼女の歌声は敵の心を惑わし、動きを鈍らせる。歌声に惑わされた敵は、武器を取り落としたり、同士討ちを始めたりする者もいた。

マックスは未来の兵器を使い、クロノスのメンバーを攻撃した。彼の操る小型ロボットは空中を自在に飛び回り、敵にレーザー光線を浴びせる。レーザー光線は敵の体に命中すると爆発を起こし、吹き飛ばす。

ワットは蒸気機関で作った特殊な装置でクロノスのメンバーを攻撃した。高圧の蒸気を噴射することで敵を吹き飛ばすその装置は、熱い鉄の匂いを工場内に充満させた。ワットは年老いた体で勇敢に敵に立ち向かう。


「私はこの工場を守るんだ!」


彼の顔には労働者たちを守るという強い決意が漲っていた。

クロノスのメンバーも黙ってはいなかった。未来の技術で作られた強力なエネルギー弾を放つ武器は、壁や床を破壊し、翔たちの体に灼熱の痛みを与えた。火や氷、雷などの魔法も操り、翔たちの攻撃を阻む。火の魔法は翔たちの足元を燃え上がらせ、氷の魔法は動きを凍りつかせ、雷の魔法は空中から稲妻を落とし、体を痺れさせた。翔たちは奴らの攻撃に苦戦を強いられた。

激しい戦いが繰り広げられる中、翔たちとワットの連携は素晴らしかった。息を合わせ、次々とクロノスのメンバーを倒していく。しかし、クロノスのメンバーも手ごわい相手だった。


「くっ……!」


翔はクロノスのメンバーの攻撃を受け、よろめいた。「翔!」アヤが心配そうに翔を呼んだ。


「大丈夫だ」


翔は歯を食いしばり、立ち上がった。そして再び剣を振りかざし、クロノスのメンバーに斬りかかった。

その時、クロノスのメンバーの一人がワットに狙いを定めた。屈強な体格の男が、ワットに向かって一直線に走り出したのだ。


「ワットさん!」


翔は叫んだ。ワットは男の攻撃をかわし、反撃しようとした。しかし、男は素早くワットの懐に飛び込み、腕から設計図を奪い取った。


「しまった!」


ワットは叫んだ。男は設計図を手にすると、煙と共に姿を消した。他のクロノスのメンバーも煙幕を使い、混乱に乗じて撤退していく。


「待て!」


翔はクロノスのメンバーを追いかけようとした。しかし、アヤが翔を止めた。


「翔、もう遅いわ。奴らはもう遠くに行ってしまった……」


アヤは悲しそうに言った。

翔は悔しそうに拳を握りしめた。


「くそっ……僕たちは……失敗したんだ……」


翔は自分を責めた。


「そんなことないよ、翔。私たちはよく頑張ったわ。それに、まだ終わりじゃない。私たちはまだ諦めてはいけないわ」


エレーヌが翔の肩に手を置き、励ました。


「ああ……そうだね……エレーヌ……僕たちは……まだ……諦めない。必ずクロノスを倒し、未来を守るんだ!」


翔の言葉に、仲間たちは力強く頷いた。彼らはクロノスに対する怒りと、未来を守るための決意を新たにしたのだった。静まり返った研究所には、蒸気の匂いと、かすかな硝煙の匂いだけが残っていた。ワットは設計図を奪われた腕を見つめ、深い後悔の念に沈んでいた。その表情は、先ほどの激しい戦いの中で見せた勇ましさとは裏腹に、絶望の色を帯びていた。この敗北が、彼らにとって大きな痛手となることを、誰もが感じていた。




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