へっくしょん!
翔が光に近づくと、それは地下通路の出口だった。
出口の先は薄暗い部屋だった。埃っぽい空気が漂い、古びた家具や、使われなくなった道具などが、無造作に置かれている。壁には、奇妙な模様が描かれていた。
「ここは…?」
アヤが、辺りを見回しながら尋ねた。
「屋敷の地下室みたいだ。」
マックスが答えた。
「でも、ここからどうやって上に行くんだ?」
エレーヌが尋ねた。
翔は、地下室を見回し、階段を探した。しかし、階段は見当たらない。
「おかしいな。階段がない。」
翔は、首をかしげた。
その時、マックスが声を上げた。
「翔、見て!」
マックスは、壁の一部を指さした。
壁には、隠し扉があった。
「隠し扉…!」
翔は、驚いた。
「さすが、マックス!」
翔は、マックスを褒めた。
「ありがとう、翔。」
マックスは、照れくさそうに笑った。
「よし、開けてみよう。」
翔は、隠し扉の前に立った。
「でも、翔、気を付けて。」
アヤが、心配そうに言った。
「もしかしたら、罠が仕掛けられているかもしれない。」
「大丈夫だ、アヤ。」
翔は、アヤを安心させるように言った。
「僕は慎重に開ける。」
翔は、深呼吸をして隠し扉に手をかけた。そして、ゆっくりと扉を押した。
隠し扉は、静かに開いた。
その瞬間、翔は息を呑んだ。
隠し扉のすぐ向こうに、クロノスのメンバーが二人、立っていたのだ。 彼らは、黒いマントで体を包み、顔には銀色の仮面をつけている。 手には鋭いナイフのようなものを持ち、こちらを睨みつけている。 部屋の中は薄暗く、テーブルの上には地図や書類が広げられている。 壁には巨大なモニターが設置されており、そこには翔たちの知らない未来都市の風景が映し出されていた。 二人はそのモニターを見つめながら、何やら密談をしているようだ。
「まずい!見つかったら大変なことになる!」
翔は、冷静さを保とうとしたが、心臓はバクバクと高鳴っていた。
「どうしたの?翔。」
アヤが心配そうに尋ねた。
「クロノスの奴らがいたんだ!」
翔は、小声で言った。
「大変!見つかったらどうしよう!」
エレーヌは、顔面蒼白になった。
「ピッ!ボク…怖い…ピッ…!」
プチは、アヤにしがみつき、震えていた。
「落ち着いて、みんな。」
マックスは、冷静に言った。
「奴らに見つかったわけではない。まだチャンスはある。」
翔は、深呼吸をして心を落ち着かせた。
「そうだ。マックスの言う通りだ。僕たちは、まだ諦めてはいけない。」
翔は、仲間たちに言った。
「よし、別の道をさがそう。」
翔たちは、隠し扉から離れ、地下室の別の出口を探し始めた。
「マックス、他に出口はないか?」
翔は、マックスに尋ねた。
「ちょっと待って、翔。今、探している。」
マックスは、センサーを駆使して地下室の構造を分析した。
「あった!この壁の裏にもう一つ隠し通路がある!」
マックスは、興奮気味に言った。
「本当か、マックス!」
翔は、マックスの言葉に希望を見出した。
「ああ、間違いない。」
マックスは、自信満々に言った。
翔たちは、マックスの指示通りに壁を調べた。 すると、壁の一部がわずかにへこんでいるのがわかった。
翔は、その部分を強く押した。
すると、壁がゆっくりと開き、隠し通路が現れた。
「すごい、マックス!」
翔は、マックスの能力に感心した。
「どういたしまして、翔。」
マックスは、照れくさそうに笑った。
翔たちは、隠し通路を通って地下室を脱出した。
そして、彼らは屋敷の中庭に出た。
「やっと外に出られた。」
アヤは、安堵のため息をついた。
「ピッ!ボク…もう…地下…は…こりごり…ピッ!」
プチは、言った。
「でも…まだ…油断…は…できない…わ…」
エレーヌは、言った。
「ええ。クロノスのメンバーに見つからないように気をつけなければ。」
翔は、言った。
その時、屋敷の中から物音が聞こえてきた。
「誰か来る!」
アヤが小声で言った。
翔たちは、慌てて物陰に隠れた。
屋敷の扉が開き、クロノスのメンバーが出てきた。
「奴らだ!」
翔は、息を呑んだ。
クロノスのメンバーは、周囲を見回し、何かを探しているようだった。
「まずい、見つかる!」
翔たちは、息を殺してじっとしていた。
クロノスのメンバーは、翔たちのすぐ近くまで来た。
「ドキドキする…」
アヤが小声で言った。
「ピッ!ボク隠れられないピッ!」
プチは、震えていた。
「大丈夫、プチ。」
エレーヌは、プチを優しく抱きしめた。
クロノスのメンバーは、翔たちのすぐそばを通り過ぎた。
しかしその時、プチがくしゃみをしてしまった。
「へっくしょん!」
「!」
クロノスのメンバーは、プチのくしゃみに気づき、こちらを振り向いた。
「まずい!」
翔は、叫んだ。
クロノスのメンバーは、翔たちに気づき、追いかけてきた。
「逃げろ!」
翔は、仲間たちを連れて逃げ出した。
彼らは屋敷内を走り回り、クロノスのメンバーから逃げることに必死だった。
「こっちだ!」
翔は、仲間たちを連れて屋敷の奥へと進んでいった。