潜入計画
「さて、どうする?」
翔は仲間たちに問いかけた。目の前には、高い壁と鉄格子の門に囲まれた、不気味な屋敷がそびえ立っている。窓は全て板で塞がれ、人の気配は感じられない。だが、マックスのセンサーは、確かに屋敷の中にクロノスのメンバーがいることを示していた。
翔たちは、屋敷の周囲を偵察した屋敷は、高い壁と鉄格子の門に囲まれ、窓は全て板で塞がれていた。庭は荒れ果て、雑草が生い茂り、枯れ木が不気味な影を落としている。門の前には、屈強な男たちが警備に立っており、物々しい雰囲気が漂っていた。
「どうする?翔。」
アヤが不安そうに尋ねた。
「大丈夫だ、アヤ。僕たちならきっと潜入できる。」
翔は、力強い声で言った。しかし、彼の心の中にも不安が渦巻いていた。
「正面突破は、さすがに無理ね。」
アヤが、腕組みをして言った。
「ピッ!壁、高すぎる!ピッ!」
プチも、門をよじ登ろうとして諦めた。
「何か別の方法を考えなければ…」
エレーヌは、心配そうに呟いた。
「そうだ!」
翔は、何かを思いついたように目を輝かせた。
「地下通路を使おう!」
「地下通路?」
アヤは、翔の言葉に首をかしげた。
「ああ、この時代の屋敷には、地下通路や隠し部屋があることが多いんだ。歴史の教科書で読んだことがある。」
翔は、自信満々に言った。
「なるほど!さすが翔、博識ね!」
アヤは、感心した様子で言った。
「でも、地下通路の入り口がわからないわ。」
エレーヌが言った。
「ボクが探す!ピッ!」
プチは、小さな体を活かして、屋敷の周りを走り回った。壁の隙間や地面、茂みの中など、くまなく探していく。
「ピッ!あった!ピッ!」
しばらくすると、プチが庭の隅にある古井戸を指さして叫んだ。
「古井戸?」
翔は、プチが指さす方へ駆け寄った。
古井戸は、蔦に覆われ、ほとんど使われていないようだった。
翔が井戸の蓋をゆっくりと開けると、中は真っ暗で、底が見えない。
「マックス、頼む。」
翔は、マックスに懐中電灯を点灯するように頼んだ。
マックスの光が、井戸の底を照らす。そこには、古い石造りの階段が見えた。
「これが地下通路の入り口か。」
翔は、息を呑んだ。
「よし、潜入するぞ!」
翔は、仲間たちに合図を送った。
翔たちは、井戸の中へと降りていった。
地下通路は、狭く、暗く、湿っていた。壁は、湿った土と苔で覆われ、所々にクモの巣が張っている。天井からは、水滴がポタポタと落ちてきて、不気味な音を立てている。空気は冷たく、カビ臭い匂いが鼻をつく。彼らは、懐中電灯の光を頼りに、ゆっくりと進んでいく。
しばらく歩くと、プチが突然、
「ピッ!何かいる!ピッ!」
と叫んだ。
翔たちは、プチの声に驚き、立ち止まった。
「どうした、プチ?」
アヤが尋ねた。
「ピッ…大きな…ネズミ…ピッ…!」
プチは、震える声で言った。
翔は、懐中電灯で通路の奥を照らした。
すると、そこには巨大なネズミの群れがいた。奴らは、目を赤く光らせ、牙を剥き出しにして、翔たちを威嚇している。ネズミたちは、薄汚れた毛並みで、大きさは猫ほどもある。彼らの鋭い爪は、闇の中で不気味に輝いている。
「うわあああ!」
アヤは、悲鳴を上げた。
「ピッ!怖いよ、アヤ。ピッ!」
プチは、アヤにしがみつき、震えていた。
「大丈夫だよ、プチ。私が守ってあげる。」
アヤは、プチを優しく抱きしめた。
ネズミたちは、翔たちに襲いかかってきた。
「きゃあああ!」
エレーヌも、悲鳴を上げた。
「落ち着け、みんな!」
翔は、叫んだ。
「マックス、何か方法はないか?」
「ええっと…」
マックスは、少し考えてから言った。
「私の体には、超音波を発生させる装置が搭載されている。それを使えば、ネズミたちを追い払うことができるかもしれない。」
「頼む、マックス!」
翔は、マックスにお願いした。
マックスは、体から超音波を発生させた。目には見えない超音波が地下通路に響き渡り、ネズミたちの耳を攻撃する。ネズミたちは苦しそうに耳を塞ぎ、逃げ惑う。
「やった!」
翔は、安堵した。
「ありがとう、マックス。」
「どういたしまして、翔。」
マックスは、微笑んだ。
翔たちは、再び通路を進み始めた。
そしてついに、通路の先に光が見えた。
「あれは…?」
翔は、光に向かって進んでいった。




