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テディベアが時空を超える時  作者: Gにゃん
中世ヨーロッパ冒険譚
39/134

漆黒の騎士、出現

安堵と新たな決意


「…ありがとう…お前たちなら…きっと…できる…」


男は、そう言うと、静かに息を引き取った。

翔とプチは、男の死に顔を見ながら、クロノスを倒すことを誓った。

二人は、男に別れを告げ、急いでギヨームの屋敷へと戻った。

屋敷に着くと、アヤは広間で薬草を調合していた。机の上には、様々な種類の薬草や瓶が並べられ、アヤは真剣な表情でそれらを調合している。


「アヤ、何をしているんだい?」


翔が声をかけると、アヤは顔を上げた。


「翔!プチ!無事だったのね!」


アヤは、二人を抱きしめ安堵の表情を見せた。


「この間の翔の怪我を治したくて、傷薬を調合していたんだけど、もう少しで完成しそうなの!」


アヤは、再び薬草に目を向けた。

その隣では、マックスが大量の資料を広げ、感染経路を分析していた。


「マックス、何か分かっていることはあるかい?」


翔が尋ねると、マックスは顔を上げた。


「ショウ、プチ、無事ダッタノカ。コレハ…予想以上ニ厄介ダ。感染経路ヲ特定スルノガ困難デス。ドコマデ広ガッテシマッタノカ」


マックスは、深刻な表情で言った。

翔は、アヤとマックスの状況を把握した後、ギヨームに、森で出会った男のこと、そしてクロノスが疫病をばら撒き、歴史を改変しようとしていることを伝えた。


「クロノスが…疫病を…?」


ギヨームは、事態の深刻さに言葉を失った。

アヤとマックスも、翔の報告に衝撃を受けていた。


「まさか…クロノスが…そこまで…」


アヤは、不安そうに呟いた。


「コレハ…予想以上ノ事態デス…」


マックスも、深刻な表情で言った。


「でも、これでクロノスの目的がわかったんだ!僕たちは、クロノスを倒して、この疫病を止めなきゃいけない!」


翔は、力強く宣言した。


「そうだね、翔。私たちは、諦めないわ」


アヤも、決意を新たにした。


「ピィ!僕も頑張る!」


プチも、力強く言った。


「我々ノ使命ハ重大デス。全力を尽クシマショウ」


マックスも、真剣な表情で言った。

その時、屋敷の外から轟音が響き渡った。


「なっ…!?これは…!」


ギヨームは、窓の外を見た。

屋敷の庭に、黒い影がいくつも現れていた。

黒い影は、瞬く間に屋敷を包囲した。彼らは、まるで闇の中から生まれたかのように、静かに、そして迅速に動いていた。


「奴らだ…!」


ギヨームは、敵意をむき出しにした眼差しで、窓の外の影を見据えた。

次の瞬間、轟音と共に窓ガラスが粉々に砕け散った。黒い鎧をまとった騎士たちが、まるで猛獣のように屋敷の中に侵入してきたのだ。


「うわあああ!」


「きゃあああ!」


屋敷の使用人たちの悲鳴が響き渡る。


「翔、アヤ、プチ、マックス、気をつけろ!奴らが来たぞ!」


ギヨームは、愛用の剣を抜き放ち、騎士たちに向かって咆哮した。

翔たちもまた、剣を構え、敵に立ち向かう。

しかし、クロノスの騎士たちの力は、想像を絶するほど強力だった。

彼らは、人間離れした速さと力で翔たちを圧倒する。剣戟の音が轟き、火花が散る。


「ぐあっ…!」


翔は、一人の騎士の攻撃を受け、よろめいた。


「翔!」


アヤは、心配そうに翔に駆け寄った。


「大丈夫だ…」


翔は、歯を食いしばり、再び剣を握りしめた。

騎士がアヤを攻撃しそうな時、プチは、機敏な動きで騎士たちの攻撃をかわし、騎士たちの攻撃を撹乱する。アヤを守った。


「ピィ!アヤ、危ない!」


「ありがとう、プチ!」


アヤは、プチに感謝しながら、傷薬を調合し始めた。

マックスは、冷静に状況を分析し、翔たちに指示を出した。


「ショウ、右!アヤ、左!プチ、援護ヲ頼ム!」


翔たちは、マックスの指示に従い、連携して騎士たちと戦った。

しかし、クロノスの騎士たちは、数でも力でも翔たちを上回っていた。


「くっ…!」


翔は、複数の騎士に囲まれ、苦戦を強いられた。


「やっとできた!」


アヤは叫んだ。

アヤは、完成したばかりの傷薬を翔に投げ渡した。


「翔、これ!」


翔は、傷薬を飲み込むと、体中に力がみなぎるのを感じた。


「うおおおお!」


翔は、回復した力で騎士たちをなぎ倒した。

しかし、クロノスの騎士たちは、次々と増援を送り込んできた。

戦闘は激しさを増し、屋敷の中は、剣戟の音、 そして人々の叫び声で満ち溢れた。

家具や調度品は破壊され、壁にはいくつもの穴が空いた。床には、血痕が点々と広がっている。

翔たちは、次第に疲労困憊していく。


翔は、焦燥感に駆られた。

その時、屋敷の奥から、轟音と共に、屋敷の奥から禍々しい魔力が解放された。その瞬間、暖炉の火は消え、部屋の温度が急激に下がった。翔は、まるで氷水に突き落とされたかのような寒気に襲われ、体が硬直した。


「な、なんだ…?」


アヤは、恐怖で震える声で呟いた。彼女の吐く息は、白い霧となって宙に舞う。

次の瞬間、屋敷の扉が勢いよく開け放たれた。


「ギヨーム…貴様はどこだ…?」


低い声が響き渡った。

その声は、冷酷で、血に飢えた獣のような声だった。

ギヨームは、その声に聞き覚えがあった。


「その声は…!」


ギヨームは、ゆっくりと振り返った。

そこに立っていたのは、漆黒の鎧をまとった騎士だった。鎧の隙間からは、不気味な赤い光が漏れ出ている。その姿は、まるで地獄から蘇った demon のようだった。


「リュシアン…!」


ギヨームは、その騎士の正体を見て、驚愕した。

漆黒の騎士、それは…ギヨームの弟、リュシアンだったのだ。


「兄上…久しぶりだな…」


リュシアンは、冷酷な笑みを浮かべて言った。


「リュシアン…なぜ…お前が…?」


ギヨームは、言葉を失った。弟が、なぜクロノスの騎士として、ここにいるのか。理解が追いつかなかった。


「なぜ…だと…? 兄上を…倒すためさ…!」


リュシアンの言葉に、ギヨームは愕然とした。


「リュシアン…お前は…クロノスに…?」


ギヨームは、言葉を詰まらせた。


「ああ…クロノスは…私に…力と…目的を…与えてくれた…」


リュシアンは、冷酷な目でギヨームを見つめた。


「兄上…お前は…いつも…正しかった…正義感に溢れ…人々から慕われていた…」


リュシアンの声は、憎悪に満ちていた。


「だが…私は…違う…!」


リュシアンは、叫んだ。


「私は…いつも…兄上の影に隠れて…誰からも…認められなかった…!」


リュシアンの言葉に、ギヨームは胸が締め付けられる思いだった。幼い頃から、優秀な兄と比較され、常に劣等感を抱えていたリュシアン。その心の傷が、彼をクロノスへと導いてしまったのだろうか。


「リュシアン…私は…」


「もう…いい…!」


リュシアンは、ギヨームの言葉を遮った。


「私は…クロノスと共に…この世界を…変える…!」


リュシアンは、ギヨームに襲いかかった。

凄まじい剣戟

リュシアンの剣は、ギヨームの剣を容易く弾き飛ばした。


「ぐあっ…!」


ギヨームは、よろめいた。


「ギヨーム様!」


翔たちは、ギヨームを守るために、リュシアンに立ち向かった。

しかし、リュシアンの力は圧倒的だった。

リュシアンは、強力な魔力を操り、翔たちを翻弄する。

翔の剣は、リュシアンの鎧にすら届かない。

プチの機敏な動きも、リュシアンの魔力の前には全く役に立たなかった。

アヤの薬草も、リュシアンの魔力には効果がない。


「ぐああああ!」


翔は、リュシアンの魔力によって、まるで糸で操られるマリオネットのように吹き飛ばされ、壁に激突した。


「ピィ!」


プチもまた、リュシアンの放った黒い衝撃波を受け、地面に叩きつけられた。


「アヤ…!」


翔は、アヤに助けを求めた。

アヤは、薬草を調合し、翔とプチの治療を始めた。


「無駄な抵抗はよせ…」


リュシアンは、冷酷な目で翔たちを見下ろした。


「お前たちに…勝ち目はない…」


リュシアンは、再びギヨームに襲いかかった。

ギヨームは、必死に剣を振るうが、リュシアンの攻撃をかわしきれない。


「ぐあっ…!」


ギヨームは、リュシアンの剣を受け、深い傷を負った。


「ギヨーム様!」


翔たちは、ギヨームの危機に駆けつけようとした。

しかし、リュシアンの魔力が、壁のように翔たちの行く手を阻む。


「無駄だ…」


リュシアンは、冷酷に言い放った。


「お前たちは…ここで…死ぬのだ…」


翔たちは、絶体絶命の危機に陥った。


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