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テディベアが時空を超える時  作者: Gにゃん
中世ヨーロッパ冒険譚
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情報収集


ギヨームが屋敷の書斎で古い肖像画を見つめている

肖像画には、若い頃のギヨームと、少し幼い少年が並んで描かれていた。ギヨームは、その少年の顔を優しく撫でながら、 「リュシアン…お前は、今どこで何をしているのだ…」 と、呟いた。


・・・



翔が試練を終え、ギヨームの屋敷で傷を癒している間、アヤとプチ、そしてマックスは街へと繰り出し、クロノスに関する情報収集を開始していた。


「翔が傷を癒している間、私たちも何か役に立たないとね」


アヤは、意気込みを新たにした。


「ピィ!そうだね!僕たちは、クロノスについて、もっと詳しく調べよう!」


プチも、アヤに賛同した。


「情報収集は、我々ノ得意分野デス。最大限ノ力ヲ発揮シマショウ」


マックスは、冷静に言った。

3人は、それぞれの役割分担を決めた。アヤは、街の人々から話を聞く。プチは、子供たちと仲良くなって、彼らの間でcirculating 情報を集める。そして、マックスは図書館や教会を訪れ、古文書や記録を調べる。


「ワタシハ、図書館ト教会デ、クロノスニ関スル情報ヲ探シマス」


マックスは、そう言うと、早速図書館へ向かった。

アヤとプチも、それぞれの目的地へと向かった。

3人は、協力してクロノスの情報を集めることを誓い合った。


・・・

アヤは、活気あふれる市場に足を踏み入れた。色とりどりの野菜や果物が山積みされ、商人の威勢の良い声が飛び交っている。美味しそうなパンやチーズの匂い、香辛料のエキゾチックな香り。

(わあ、すごい活気…!)

アヤは、市場のエネルギーに圧倒されながらも、クロノスに関する情報を探そうと人々に声をかけていく。


「すみません、クロノスについて何かご存知ですか?」


しかし、返ってくるのは曖昧な答えばかりだった。


「クロノス…? ああ、何か悪い噂は聞いたことがあるけど…」


「秘密結社だからね、詳しいことは誰も知らないんじゃないかな」


「あまり関わりたくないわね…」


人々は、クロノスについて口にするのをわざと避けているようだった。アヤは、警戒心を抱かせないように、言葉を選びながら聞き込みを続けた。


「あの…クロノスって、どんな組織なんですか?」


「大きい声じゃ言えないけど、クロノスは、この世界を支配しようとしている…って聞いたことがあるよ」


ふくよかな体格のパン屋のおじさんは、小声でそう答えた。


「世界を支配…? どうしてそんなことを…?」


アヤは、おじさんの言葉に驚きを隠せない。


「さあ…詳しいことは分からないけど、クロノスは、時空を操る力を持っているらしいんだ」


「時空を操る…?」


アヤは、ますます混乱した。


「ああ。だから、彼らは過去や未来に行って、歴史を改変しようとしているのかもしれない」


おじさんの言葉に、アヤはハッとした。

(歴史の改変…?)

アヤは、クロノスの目的が、歴史を改変することにあるかもしれないと考えた。


「もし、歴史が改変されたら…?」


アヤは、不安な気持ちになった。

その時、アヤの肩に誰かが触れた。

振り返ると、そこには、先ほどの老婆が立っていた。


「お嬢ちゃん、クロノスについてもっと知りたいのかい?」


老婆は、鋭い目でアヤを見つめた。


「はい…!」


アヤは、老婆にすがるような思いで頷いた。

老婆は、アヤの手を取り、人混みから離れた場所へと連れて行った。

そして、静かな路地裏で、アヤに語り始めた。


「クロノスは、闇の組織だ。彼らは、この世界を chaos に陥れようとしている」


老婆の言葉は、重くアヤの心に響いた。


「彼らは、強力な魔力を持つ魔術師や騎士を操っている。そして、その力は、日に日に増している…」


アヤは、老婆の話を聞きながら、クロノスの恐ろしさを改めて実感した。


「中でも、特に恐ろしいのが… “漆黒の騎士” だ」


老婆は、意味深な言葉を残し、アヤの前から姿を消した。

アヤは、漆黒の騎士という名前に、強い不吉な予感を感じた。


・・・

プチは、街外れの広場にやってきた。そこは、子供たちの笑い声で満ち溢れていた。石畳の上で輪になって遊ぶ少女たち、木製の剣でチャンバラごっこをする少年たち、噴水で水遊びをする幼児たち。

(子供たちがいっぱいだ!)

プチは、目を輝かせながら広場を見渡した。

子供たちは、プチの姿を見つけると、興味津々で近づいてきた。


「ねぇねぇ、君、どこから来たの?」


金髪の少女が、笑顔でプチに話しかけた。


「小さくて可愛いね!」


そばかす顔の少年が、プチの頭を撫でた。


「一緒に遊ぼうよ!」


褐色の肌の少女が、プチに手を差し伸べた。

プチは、子供たちの温かい歓迎に、嬉しくなった。

(みんな、優しいなぁ)


「ピィ!いいよ!」


プチは、元気よく答えた。

子供たちは、大喜びでプチを遊びに誘った。


「じゃあ、鬼ごっこしよう!」


「僕、鬼がいい!」


「私は、隠れたい!」


子供たちは、我先にと遊び始めた。

プチも、子供たちに混じって、鬼ごっこを楽しんだ。


「ピィ!待て待て~!」


プチは、小さな体で広場を駆け回った。

子供たちは、プチの素早い動きに驚嘆の声を上げた。


「速い!」


「すごい!」


「捕まえられない!」


プチは、得意げに笑った。

(ふふふ…)


プチは、子供たちと遊びながら、楽しい時間を過ごした。

そして、そろそろクロノスのことを聞こうと思った時、一人の少年が、プチに近づいてきた。


「ねぇ、君、あの吟遊詩人の歌、聞いたことある?」


少年は、少し寂しそうな顔をしていた。


「ピィ?吟遊詩人…?」


プチは、首をかしげた。


「うん。エレーヌって言うんだけど、彼女の歌は、すごく優しいんだ。心が落ち着くっていうか…」


少年は、目を伏せながら言った。


「でも、最近は、あまり歌わなくなってしまって…」


「ピィ…どうして?」


プチは、心配そうに尋ねた。


「クロノスが、エレーヌの歌を禁じたんだって…」


少年は、悲しそうに言った。


「クロノスは、人々が希望を持つことを恐れているんだ。だから、エレーヌの歌を歌うことを禁じたんだ…」


プチは、少年の話を聞いて、クロノスの目的が、人々の希望を奪うことにあるのかもしれないと考えた。

(クロノス…なんて奴らだ…!)

プチは、怒りを感じた。

そして、クロノスを倒し、人々に希望を取り戻すことを決意した。

プチは、子供たちに別れを告げ、アヤの元へと急いだ。


・・・

「アヤ!大変だ!クロノスが、エレーヌの歌を禁じたんだって!」


プチは、息を切らしながら報告した。


「エレーヌの歌を…禁じた…?」


アヤは、言葉を失った。


「ピィ!そうなんだ!クロノスは、人々が希望を持つことを恐れているんだって!だから、エレーヌの歌を歌うことを禁じたんだって…!」


プチは、興奮気味に説明した。


「人々が希望を持つことを恐れている…?」


アヤは、クロノスの真の目的が、人々の心を支配することにあるのかもしれないと考えた。

その時、マックスが教会から戻ってきた。


「アヤ、プチ、クロノスについて、興味深い情報を見つけたゾ」


マックスは、教会の書庫で見つけた古文書のコピーをアヤとプチに見せた。


「この記録によると…、クロノスには、非常に強力な魔力を持つ騎士がいるらしい。その騎士は、“漆黒の騎士” と呼ばれ、クロノスの幹部として暗躍しているようだ」


「漆黒の騎士…」


アヤとプチは、顔を見合わせた。


「さらに、この資料には… “漆黒の騎士” の名前が記されている…」


マックスは、重々しい口調で言った。

アヤとプチは、固唾を飲んでマックスの言葉に耳を傾けた。


「“漆黒の騎士” 、その名は… リュシアン・ド・ボヌフォワ」


マックスが告げた名前に、アヤとプチは驚愕した。


「リュシアン…? それは…!」


アヤは、言葉を詰まらせた。


「ピィ…まさか… ギヨーム様の…?」


プチもまた、信じられないといった様子で言った。

クロノスの幹部である漆黒の騎士。

その正体は、ギヨームの弟、リュシアンだったのだ。


「そして… エレーヌの歌についてだが…」


マックスは、話を続けた。


「この古文書には、数百年前、不思議な力を持つ歌い手がいたという記述がある。彼女の声は、人々の心を癒し、希望を与える力を持っていたそうだ」


マックスは、古文書のあるページを開いた。そこには、美しい女性がリュートを弾きながら歌う姿が描かれていた。


「この女性… エレーヌにそっくりだ…」


アヤは、絵を見て驚いた。


「ピィ!本当だ!瓜二つだ!」


プチも、目を丸くした。


「そう、この女性は、エレーヌの祖先だと考えられる。そして、エレーヌもまた、祖先と同じ力を受け継いでいるのかもしれない」


マックスは、推測を述べた。


「なるほど…!」


アヤとプチは、マックスの説明に納得した。

また、マックスが見せた古文書には、エレーヌの祖先が歌っていた歌の歌詞の一部が記されていた。


「…嵐が過ぎ去り、夜明けが来る。希望の光が、道を照らす…」


その歌は、シンプルなメロディーでありながら、聴く人の心を強く揺さぶる力強さを持っていた。アヤは、その歌詞を心の中で口ずさみながら、エレーヌの歌声が、きっとこの時代の人々に希望を与えているのだと確信した。

クロノスは、エレーヌの歌が持つ力を恐れて、歌を禁じたのだ。


「私たちは、クロノスを阻止しなければならない!」


アヤは、決意を新たにした。


「ピィ!そうだ!エレーヌの歌と、翔の力で、クロノスを倒すんだ!」


プチも、力強く言った。


「我々ノ使命ハ、重要デス。未来ヲ救ウタメニ、全力を尽クシマショウ」


マックスも、真剣な表情で言った。

3人は、クロノスに立ち向かうことを決意し、ギヨームの屋敷へと戻った。



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