古代植物発見!
激流に呑み込まれたゴムボートは、まるで木の葉のように翻弄され、翔たちは今にも川に投げ出されそうになる。
「うわあああ!」
翔は恐怖で顔を歪め、ボートの縁に必死にしがみつく。
「ショウ、しっかり!」
アヤは顔面蒼白になりながらも、片手でボートを支え、もう片方の手で翔の手を強く握りしめた。
「アヤ…!」
二人の手がしっかりと握り合う。その温かさが、恐怖で冷え切った心にわずかな光を灯す。
「プチ、頼む!」
アヤの叫びに、プチは小さな体で懸命にボートを操作する。
鋭い岩や水に沈んだ巨木を巧みに避けながら、彼らは川下へと進んでいく。
「うわあああ!岩だ!」
翔が叫ぶ。
巨大な岩が、彼らのボートに迫ってくる。
「プチ、右!」
アヤが叫ぶ。
プチは、方向転換し、間一髪で岩を回避した。
「あぶな…。」
翔は、胸をなでおろした。
しかし、安心する間もなく、今度は、滝が現れた。
「うわあああああ!」
翔たちは、滝つぼに向かって、落下していく。
「ギャアアア!」
プチは、悲鳴を上げた。
滝つぼに落ちる寸前、プチは、ボートの底から、クッションを展開させた。
「ドスン!」
ボートは、クッションのおかげで、衝撃を吸収し、無事に着水した。
一方、川岸では、クロノスの追っ手が立ち尽くしていた。
「くそっ…!」
リーダー格の男は、拳を地面に叩きつけ、怒りをあらわにする。
「あんな急流、ゴムボートで下れるはずがない…。奴ら、もうダメだろう…。」
部下の一人が諦め気味に呟く。
「諦めるな!奴らはまだ古代植物を手に入れていないはずだ!」
リーダーは部下たちを睨みつけ、川沿いに走り出した。
「追え!奴らの行き先は、古代植物の生息地、滝壺しかない!」
激流を抜けると、川の流れは穏やかになり、翔たちのボートはゆっくりと岸辺に漂着した。
「…助かった…。」
翔は震える手で額の汗を拭い、ボートからよろめきながら降り立った。
「でも、まだ安心できないわ。クロノスが追ってくるかもしれない。」
アヤも気を引き締め、周囲を警戒する。
「そういえば、古代植物ってどんな植物なんだろう?お父さんの資料には、名前も特徴も詳しく書かれていなかったわ。」
アヤは、研究所から密かに持ち出した資料が入ったバッグをゴソゴソと探る。
「あった!」
アヤが見つけたのは、一枚の古びた紙切れだった。そこには、かすれた文字で「ルミナプラント」と書かれていた。
「ルミナプラント…?聞いたことないわね。」
アヤが首を傾げていると、マックスが反応した。
「ルミナプラント…!ソレダ!」
「マックス、知ってるのか?」
翔が尋ねる。
「ショウノオトウサマノ、ケンキュウシリョウノナカニ、ソノナマエガ、アッタ。タシカ…『ルミナプラントハ、ハクアキニセイソクシテイタトサレルハッコウショクブツ。ソノハハ、タイヨウコウヲキュウシュウシ、バクダイナエネルギーニヘンカンスルノウリョクヲモツ』…ト。」
「発光植物…?」
アヤは、川岸に目をやった。すると、滝壺のあたりに、青白く光る植物の群生が見えた。
「あれは…!」
翔は息をのんだ。
「まさか…ルミナプラント…?」
アヤも目を大きく見開く。
「マチガイナイ!アレガ、ルミナプラントダ!」
マックスは興奮気味に叫んだ。
「行こう!」
三人は滝に向かって走り出した。滝壺にたどり着くと、青白い光を放つ植物が、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
ルミナプラントは、まるで巨大なユリのような形をしており、その花びらは、青白く光っている。
花の中心からは、光の粒が放出され、周囲を幻想的に照らしている。
その時、マックスが叫んだ。
「タイヘンダ!インセキノセッキンガ、ヨソウイジョウニハヤイ!イソイデ、ルミナプラントノエネルギーヲキュウシュウシナケレバ!」
マックスはルミナプラントに近づき、体からコードを伸ばして接続した。
「うう…!」
マックスは苦しそうな声を上げ、体が青白く光り始める。
マックスの体は、ルミナプラントのエネルギーを吸収し、徐々に熱を帯びていく。
「マックス、ガンバレ!」
翔はマックスを励ます。
「…ナントカ…。」
マックスは額に汗を浮かべながら、ルミナプラントのエネルギーを吸収していく。周囲のルミナプラントも、マックスの体に呼応するように、光を強めていく。
そして、ついに…
「…デキタ!ルミナプラントノエネルギーヲキュウシュウシ、ワタシノシステムニトウゴウシタ!コレデ、インセキノキドウヲヘンコウスルプログラムヲジッコウデキル!」
マックスは力強く宣言した。
「やった!マックス!」
翔とアヤは歓喜の声を上げた。
「これで、白亜紀を救うことができる!」
翔は希望に満ちた目で、力強く握り拳を作った。