手がかりを求めて
「さてと、次はどこを探せばいいんだろう…?」
リトルとの別れを惜しみつつも、翔は古代植物探しを再開した。
「マックス、何か手がかりはないの?」
「ショウ、キミノチチノ、ケンキュウシリョウニヨルト、コダイショクブツハ、コウザンチタイニ、セイイクシテイルラシイ。」
マックスは、翔の父の研究資料を分析した結果を伝えた。
「高山地帯…? この辺りは、ジャングルだけど…。」
翔は、周囲を見回した。見渡す限り、うっそうと茂る木々が生い茂り、高い山は見当たらない。
「ショウ、コノジャングルヲ、ヌケレバ、コウザンチタイガ、アルハズダ。ワタシノ、ナビゲーションキノウヲ、ツカッテ、ミチヲ、サガソウ。」
「ナビゲーション機能!? え、そんな機能、あったの!?」
翔は、目を丸くしてマックスを見つめた。
「ソウダ。ワタシハ、キミノチチカラ、シュウトクシタ、データヲ、モトニ、ハクアキノ、チズヲ、コクチクシタ。ソレヲ、ツカエバ、ドコヘデモ、イケル。」
マックスは、さも当然のように胸を張った。
「…って、なんで今まで言ってくれなかったの!? もっと早く言ってくれれば、あんなに迷子にならなかったのに…!」
翔は、呆れたようにマックスに言った。
「…ソンナコト、イマサラ、イワレテモ…。」
マックスは、少しバツが悪そうに目をそらした。
「まあ、いいや。とにかく、頼むよ、マックス!」
翔は、マックスのナビゲーション機能を頼りに、ジャングルを進んでいった。
しばらく進むと、巨大な肉食恐竜、カルノタウルスが姿を現した。鋭い歯と、頭に生えた2本の角が特徴的な恐竜だ。カルノタウルスは、翔たちを見つけると、獰猛な咆哮を上げながら突進してきた。
「うわあああああ!」
翔は、叫び声を上げながら、必死に逃げ出した。
「ショウ、アブナイ!」
マックスは、カルノタウルスの足元に転がっていた石を念力で持ち上げ、カルノタウルスの頭にぶつけた。
「ガオッ!」
カルノタウルスは、頭に衝撃を受け、よろめいた。
その隙に、翔とマックスは、逃げることができた。
「ふう…、危なかった…。」
翔は、息を切らしながら、言った。
「ショウ、コノサキハ、モット、キケンガ、オオイ。チュウイシテ、イコウ。」
マックスは、真剣な表情で言った。
二人は、さらに進んでいくと、今度は、巨大な沼地に出た。
「うわあ…。」
翔は、思わず息を呑んだ。目の前に広がるのは、深い緑色の水面に、奇妙な形の植物が浮かぶ、広大な沼地だった。水面からは、水蒸気が立ち上り、幻想的な雰囲気を醸し出している。
「ショウ、コノヌマチハ、キケン、ダ。オチタラ、ヌケダセナクナル。」
「わかってるよ。」
翔は、マックスの言葉に頷きながらも、沼地の美しさに目を奪われていた。
水面には、ピンク色の睡蓮のような花が、あちこちに咲いている。その花は、直径50センチほどもあり、白亜紀の強い日差しを受けて、輝いている。
「きれいだな…。」
翔は、思わず呟いた。
その睡蓮に似た花の中心には、黄金色のおしべが密集 しており、 まるで太陽の光を閉じ込めた宝石のように輝いている。 花びらは透き通るように薄く、その奥に は 、 水面のきらめきが透けて見える。
「ショウ、アブナイ!」
マックスの叫び声で、翔は我に返った。
翔は、睡蓮に似た花に見とれて、うっかり足を滑らせてしまったのだ。
「うわあああ!」
翔は、沼地の中に落ちていった。
「ショウ!」
マックスは、慌てて翔を助けようとした。
マックスは、 念力で翔の服を掴み、沼地から引き上げた。
「ショウ、ダイジョウブカ?」
マックスは、心配そうに尋ねた。
「う、うん…。ありがとう、マックス。」
翔は、震える声で答えた。全身が泥だらけで、ひどい 臭い がする。
「ショウ、モウ、チュウイシテ。」
マックスは、厳しく言った。
翔は、マックスに叱られて、反省した。
二人は、気を引き締め直し、再びジャングルを進んでいった。
「ショウ、コウザンチタイマデハ、マダ、シバリ、アル。ガンバッテ。」
マックスは、翔を励ました。
翔は、不安な気持ちを抱えながらも、マックスを信じて、前に進んだ。
未知の領域へ足を踏み入れる不安と、未来を救いたいという強い決意。
翔の心は、揺れ動いていた。