プロローグ② 父の研究資料 深掘り
白亜紀へのタイムトラベルの準備のため、翔は再び父の研究資料に目を通すことにした。埃っぽい段ボール箱を開けると、中には様々な資料がぎっしり詰まっている。前回は手帳に記されたメッセージに気を取られ、他の資料をじっくりと見る余裕がなかった。
「今回は、隅々まで調べてみよう。」
翔は、意気込んで、資料の山に立ち向かった。
研究ノートには、数式や図形、専門用語がびっしりと書き込まれている。ほとんどの内容は翔には理解不能だったが、中には、タイムマシンの設計図や、白亜紀の生態系に関する記述もあった。
「へえー、白亜紀には、こんなにたくさんの種類の恐竜がいたんだ…。」
翔は、図鑑のように詳細な恐竜のイラストに見入った。巨大な肉食恐竜ティラノサウルス、首の長いブラキオサウルス、空を飛ぶプテラノドン…。
「見て、ショウ! コレハ…!」
マックスが、一枚の紙を指差した。それは、白亜紀の地図らしきものだった。
「これは…?」
翔が地図を見ると、そこには、見慣れない記号や文字が書かれていた。
「コレハ、アンゴウダ。」
マックスは、言った。
「暗号…?」
翔は、興味津々で暗号を見つめた。
「キミノチチハ、ナニカヲ、コノアンゴウニ、カクシタンダ。」
「お父さんが…?」
翔は、父の隠したメッセージに、好奇心を刺激された。
「コノアンゴウヲ、カイ読スルコトガ、デキレバ、ナニカ、ワカルカモシレナイ。」
「よし、解読してみよう!」
翔は、マックスと一緒に、暗号解読に取り組んだ。
マックスは、まず暗号の種類を特定するため、記号や文字のパターンを分析した。
「この暗号は、古代ギリシャで使われていたシーザー暗号の一種みたいだね。」
マックスは、得意げに言った。
「シーザー暗号…? 聞いたことないな…。」
翔は、首を傾げた。
「簡単に言うと、文字を一定の規則に従ってずらして、別の文字に置き換える暗号なんだ。例えば、AをCに、BをDに、というようにね。」
マックスは、丁寧に説明した。
「なるほど…。」
翔は、マックスの説明を理解しようと、真剣に耳を傾けた。
「この暗号の場合、文字を3つずらして置き換えているみたいだ。だから、この記号は…。」
マックスは、暗号の解読を始めた。
マックスは、高度なAIを搭載したぬいぐるみだけあって、暗号解読のスピードは驚くほど速かった。あっという間に、暗号のほとんどが解読された。
「これは…、座標…?」
翔は、解読された文字列を見て、呟いた。
「ソウダ。コレハ、ハクアキノ、アルバショノ、ザヒョウダ。」
マックスは、言った。
「お父さんは、なぜ、この場所の座標を暗号化して残したんだろう…?」
翔は、疑問に思った。
「ソノバショニハ、タイムトラベルニ、カンヨウナ、エネルギーガ、タクサント、ソンザイシテイル。キミノチチハ、ソノエネルギーヲ、ツカッテ、キミヲ、ハクアキヘ、オクッタノカモシレナイ。」
マックスは、推測した。
「もしかして、未来を変えるための、重要な手がかりが…?」
翔は、期待に胸を膨らませた。
「サア、ショウ。ハクアキヘ、イッテ、タシカメヨウ。」
マックスは、翔に言った。
翔は、父の残した暗号が、新たな冒険へと繋がる扉を開いたことに、興奮を隠せないでいた。