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作戦会議 - 迫り来る時、託された希望



リョウたち、レジスタンスとの再会を果たした翔たちは、彼らの新たな拠点へと案内された。そこは、以前の拠点と比べるとかなり小規模だったが、クロノスの攻撃を凌ぎながら活動を続けるには十分な設備が整えられていた。最低限の物資が、効率よく配置されている。


「ここがお前たちの新しい拠点か……」


翔は周囲を見回しながら言った。壁は剥き出しのコンクリートで、以前の拠点にあったような温かみはない。


「ああ、クロノスの攻撃で前の拠点は壊滅してしまったからな……。ここも、いつまで持ちこたえられるか……」


リョウは苦々しい表情で答えた。その言葉から、レジスタンスが置かれている厳しい状況が伺える。壁には、過去の作戦で命を落とした仲間たちの写真が、傷跡のように並んでいる。


「それより、詳しい話を聞かせてもらおう」


リョウはそう言うと、翔たちを部屋の奥へと案内した。そこには大きなテーブルが置かれており、その周りにはレジスタンスの主要メンバーが集まっていた。古びた金属製のテーブルの上には、この地域の地図や、クロノスの兵器の情報らしき資料が散らばっている。


「皆、聞いてくれ……。翔たちが過去での調査結果を報告してくれる……」


リョウの言葉に、レジスタンスのメンバーたちは一斉に翔たちに注目した。彼らの視線には、期待と不安が入り混じっている。


「まず、確認しておきたいのは、『プロジェクト・ニューエデン』の最終段階についてだ……」


翔は話を切り出した。緊張からか、声がわずかに上ずる。


「マックスの解析によれば、クロノスは白亜紀に巨大隕石を衝突させ、恐竜たちを絶滅させようとしている……」


翔の言葉に、部屋の中が騒然となった。


「巨大隕石だと……!? そんなものをどうやって……」


「過去を改変するつもりか……!?」


レジスタンスのメンバーたちから、驚愕と怒りの声が上がる。


「そして、そのために、『古代植物』のエネルギーを利用しようとしているんだ……」


アヤが翔の言葉を引き継いだ。


「『古代植物』……? それは一体……?」


リョウがアヤに尋ねた。


「時間軸に影響を与える、特殊なエネルギーを放出する植物よ……。白亜紀で発見したの……」


アヤは白亜紀での出来事をかいつまんで説明した。『古代植物』の放つ神秘的な光景、恐竜たちとの触れ合い、そしてマックスとの出会い……。


「そんなものが存在したとは……」


リョウは驚きを隠せない様子だった。


「そして、クロノスの指導者は、そのエネルギーを使って過去を書き換え、自らが神となる新世界を創造しようとしている……」


翔がさらに言葉を続ける。


「そんなことが、本当に可能なのか……?」


ケンタが不安げに尋ねた。


「わからない……。でも、マックスの分析結果と、アヤの記憶が正しければ……」


翔は言葉を濁した。


「そして、もう一つ、衝撃的な事実が……」


アヤはそこで言葉を切り、翔を見つめた。


「クロノスの指導者……。その正体は……」


翔は意を決して真実を告げた。


「俺の……父親、かもしれない……」


翔の言葉に、部屋の中は静まり返った。誰もが、その言葉の意味を理解できず、ただ呆然と立ち尽くしている。静寂が、重苦しく部屋を支配する。


「そんな……馬鹿な……」


リョウがようやく、絞り出すような声で言った。


「信じられない気持ちはわかる……。でも、これが真実なんだ……」


翔は苦痛に顔を歪めながら言った。


「アヤの記憶にも、その姿が……。そして、母さんは……彼と取引を……」


アヤが翔の言葉を引き継ぎ、母親がクロノスの指導者と対峙していた記憶について語った。


「取引……? 一体何を……」


リョウがアヤに尋ねた。


「まだ、はっきりとは……。でも、母さんはクロノスに協力するふりをして、内部から計画を阻止しようとしていたんだと思う……」


アヤは母親の真意を信じたいという一心で、言葉を紡いだ。


「それで、恐竜の卵を……?」


ケンタが問いかけると、アヤは力強く頷いた。


「ええ……。恐らく、それが『プロジェクト・ニューエデン』を阻止する鍵を握っている……」


「しかし、具体的にどうやって阻止するつもりだったのか……」


リョウは深く考え込んだ。


「そこまではまだ思い出せない……。でも、必ず手がかりがあるはず……」


アヤは悔しそうに言った。


「よし、わかった……。では、今後の作戦を練り直そう……」


リョウはそう言うと、テーブルの上に一枚の地図を広げた。地図には、周辺の地形と、クロノスの基地らしき場所が記されている。


「まず、『古代植物』のエネルギーを制御する方法を見つけなければならない……。それには、アヤの恐竜と心を通わせる能力の完全な覚醒が必要不可欠だ……」


「ええ、でも、どうやって……」


アヤが不安げに尋ねると、リョウはエレーヌを見つめた。


「エレーヌ、お前の歌の力……。それを試す時が来たようだ……」


「私の……歌……?」


エレーヌは驚いたようにリョウを見つめた。


「マックスの分析では、お前の歌声は時間軸に影響を与える可能性がある……。そして、アヤの能力覚醒を促す効果も期待できる……」


「そんなことが、本当に……?」


エレーヌはまだ半信半疑だった。


「やってみなければわからないさ……。だが、試す価値は十分にある……」


リョウは力強く言った。


「わかりました……。私にできることがあるのなら……」


エレーヌは決意を込めて頷いた。


「そして、マックスの復活……。これが最も重要だ……」


リョウはそう言うと、休止状態のマックスを見つめた。


「彼が持つ、時間軸を修復する能力……。それがこの戦いの鍵を握っている……」


「でも、どうやって復活させるの……?」


翔が不安げに尋ねた。


「『古代植物』のエネルギーを直接マックスに注ぎ込む……。それが唯一の方法だと思う……」


アヤが答えた。


「しかし、それは危険な賭けだ……。マックスのシステムに過剰な負荷がかかる可能性がある……」


リョウは慎重に言葉を選んだ。


「でも、他に方法がないんだろ……?」


翔は決意を込めて言った。


「ああ……。だが、そのためには、『古代植物』のエネルギーを安定させ、制御する必要がある……」


リョウはそう言うと、再びアヤを見つめた。


「アヤ、お前にかかっているんだ……」


「わかってる……。必ずやり遂げてみせる……!」


アヤは力強く頷いた。その瞳には、もう迷いはなかった。


「そして、最後に、光の剣だ……」


リョウは翔が持つ光の剣を見つめながら言った。


「その剣の真の力を覚醒させることができれば、クロノスの指導者……お前の父親を倒すことができるかもしれない……」


「ああ……。必ず覚醒させてみせる……!」


翔は光の剣を強く握りしめ、決意を新たにした。


「よし、では各自の役割は決まったな……」


リョウはそう言うと、再びレジスタンスのメンバーたちに指示を出し始めた。


「ケンタ! お前はマックスの復活の準備を急げ! 他の者は周辺の警戒と情報収集を怠るな……!」


「了解っす……!」


ケンタは元気よく返事をし、仲間たちと共に部屋を出て行った。


「我々も時間がない……。すぐ行動を開始しよう……」


リョウはそう言うと、翔たちを促し、部屋を後にした。



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