表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テディベアが時空を超える時  作者: Gにゃん
白亜紀の真実編
118/134

母の真意 - 偽りの忠誠、隠された真実、卵に託された希望



マックスからもたらされた衝撃的な情報。「プロジェクト・ニューエデン」の真の目的、そして恐竜絶滅を人為的に引き起こそうとするクロノスの狂気じみた計画……。それらを知った翔たちは言葉を失った。しかし、絶望している暇はない。時間軸の歪みを修復し、クロノスの野望を阻止しなければならない。そのためには、アヤの記憶を完全に取り戻し、母親の真意を理解することが不可欠だった。


「アヤ、もう少し思い出せないか? 母さんがクロノスとどんな取引をしたのか?」


翔は優しく、しかし真剣な眼差しでアヤに問いかけた。


「ええ、やってみる」


アヤはそう言うと再び目を閉じ、精神を集中させた。彼女の額にはうっすらと汗が滲んでいる。「古代植物」のエネルギーを感じながら、アヤはさらに深く、記憶の奥底へと潜っていく。


すると、先ほどよりも鮮明なイメージが脳裏に浮かんできた。


それは薄暗い空間の中で、母親とクロノスの指導者が対峙している光景だった。指導者の顔は逆光ではっきりと見えない。しかし、その声はどこか人工的で、冷徹な響きを持っていた。


『条件は飲んでもらえるかな?』


指導者が母親に問いかける。


『ええ、約束するわ』


母親は決然と答えた。その表情は固い決意に満ちている。


『では、契約成立だ。これで、お前も我々の同志だ』


指導者は満足げに頷き、母親に手を差し出した。


母親は一瞬ためらいを見せたものの、やがてその手を握り返した。


『全ては、あの子と未来を救うため』


母親は自分自身に言い聞かせるように小さく呟いた。その瞳には深い悲しみと覚悟の色が浮かんでいた。


「母さん……」


アヤは無意識のうちにそう呟いていた。


「何か思い出したか!?」


翔がアヤの肩に手を置き、尋ねた。


「ええ。母さんは……クロノスの指導者と……取引を……」


アヤは目を開け、震える声で答えた。


「取引の内容は?」


翔はアヤの言葉に息を呑んだ。


「まだ、はっきりとは……。でも、母さんはクロノスに協力するふりをして、内部から計画を阻止しようと……」


「何だって!?」


翔は驚愕の声を上げた。母親は敵ではなかったのだ。それどころか、クロノスの計画を阻止するために命懸けで戦っていたのだ。


「母さんは……私とマックスを……守るために……」


アヤはさらに記憶をたどっていく。


『この子だけは……守らなければ……』


幼い頃のアヤを抱きしめながら必死に逃げる母親の姿。そして、遠い未来のマックスのホログラム映像。


「そうか! 母さんは俺たちが未来でクロノスと戦うことを知っていたんだ!」


翔は全てを理解した。母親は未来で翔たちがクロノスと戦う運命にあることを知っていたのだ。そして、その未来を守るために、自らの危険を顧みずクロノスと「取引」をしたのだ。


「でも、どうやって? 母さんはどうやって未来のことを?」


アヤは新たな疑問に頭を悩ませた。


「わからない。でも、今は母さんの真意がわかっただけでも大きな前進だ!」


翔は力強く言った。


「ええ。お母さんはきっと私たちを信じて行動してくれていた……」


アヤは母親の深い愛情を感じ、胸が熱くなった。


「母さんを助け出さなければ! そして一緒にクロノスを止めるんだ!」


翔は決意を新たに拳を握りしめた。


「でも、どうやって? お母さんがどこにいるのかさえわからないのに……」


エレーヌが不安げに言った。


「その手がかりなら、あるかもしれない」


アヤはそう言うと再び目を閉じ、記憶の断片を繋ぎ合わせようと試みた。


「恐竜の卵……」


アヤは小さく呟いた。


「恐竜の卵? それがどうかしたのか?」


翔がアヤに尋ねた。


「母さんは……恐竜の卵を探していた。そして……それを何かに使おうと……」


「恐竜の卵を? 一体何のために?」


翔はさらに混乱した。恐竜の卵とクロノスの計画にどんな関係があるのだろうか?


「わからない。でも、きっとそれが『プロジェクト・ニューエデン』を阻止するための鍵を握っている」


アヤは確信を込めて言った。


「母さんは……私に何かを伝えようとしていた。そのメッセージを見つけなければ……」


アヤはそう言うと、再び深く瞑想状態に入った。


「アヤ……」


翔はアヤの無事を祈りながら、その様子を静かに見守った。


「ピィ……」


プチもアヤの足元に寄り添い、心配そうに彼女を見上げている。


エレーヌは静かに目を閉じ、祈りを捧げていた。彼女の祈りはアヤの記憶の回復を、そしてこの困難な状況を打開する一助となるだろう。


アヤの意識はさらに深く、記憶の奥底へと潜っていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ