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第1章の17 青春はピザの味!?

多くの方に読んでいただき感謝です。


嬉しさでゆらゆら揺れながらの投稿です。

 突かれるような沈黙の中、我慢の限界を迎えた癒慰ゆいが立ちあがった。


「も~この空気やめ! さ、落ち込んだ時には食べるのが一番よ! 勇輝ゆうき君何食べたい?」


「え?」


 急に現実に引き戻された勇輝は即座の対応が出来ない。


「ピザね!」


 癒慰は勇輝の返答も聞かずに決め、零華れいかの持つ本を取り上げた。

 そしてページを繰りながら受話器を手に取った。その風景はどこかカラオケを思い出す。


「電話……布にかかってるけど、線どこから引いてんの?」


「ん? そこの電柱」


 秀斗しゅうとはさも当然とそう答えた。


「あ~なるほど」


 あれ本当にできるんだ……と映画のワンシーンが浮かぶ。

 雰囲気に呑まれ、うっかり納得してしまった勇輝であった。


「あ、もしもし。ミックスピザと照り焼きとシーフードください……大手門高校です」


「え、ここに出前させる気?」


「まじ? 来てくれんの?」


「出前なんて初めてですね」


「便利だな……」


 勇輝が戸惑う一方、常識のない人々は各々の反応を見せる。


「はい、お願いしまーす」


 くるりと振り向いた癒慰の顔は達成感に満ちていた。

 その顔に錬魔れんまが疑問を投げかける。


「それで、ピザとはなんだ?」


 驚愕。ピザを知らない高校生。


「なんか知らないけど、高校生が頼んでるから~」


「ちょっと癒慰、その本貸して」


 勇輝が研究書と呼ばれる本を受け取る。

 その本はまさにライトノベルと呼ばれるものだった。そしてあおりを見ただけで分かる。ベタベタの学園ものだ。

 

(確かにこれなら恋愛もあるし、ピザも食べるよな……)


「てかこんなんで研究しても意味ないと思うんだけど」


「そうなの?」


 悪意ゼロで訊き返す癒慰に勇輝は口が半開きになる。


「……高校生が知りたいんなら俺が教えるから」


「本当?」


「おう、高校生の粋な遊び、教えてやるぜ!」


 と、そこに突然新たな声が割って入ってきた。


「歩?」


 入口へと全員が視線を移すと、布がばさりと捲られ歩が入ってきた。


「森本歩遅れて参上! 飯の臭いを嗅ぎつけたぜ!」


「おはよ~遅かったけど、また寝坊?」


 勇輝は片手を上げて歩に挨拶をした。


「おう、そのせいで朝抜き。でも来て良かった~さっそく飯にありつけるなんてさ」


「朝からピザ食うのかよ」


 秀斗が呆れた顔を歩に向けた。


「俺全然ヘーキ」


「ねえ、校門に出ておいた方がいいんじゃない?」


 弥生が至極まともな意見を述べた。配達員も屋上までは届けにくいだろう。


「そうだね~。じゃぁ零華ちゃん行こうよ!」


「どうして私なのですか?」


 しぶる零華を癒慰は手を引いて無理やり立たせる。


「食べたいでしょ? 青春のピザ!」


「え、ピザってそんなに青春?」


 勇輝の小さな疑問を無視して癒慰は零華を連れてテントから出て行った。


「みんなで囲って食うのが青春なんじゃねぇの?」


 秀斗は癒慰が開いていたページに目を通して苦笑する。


「へ~」


 そして届けられたピザ三種は十時のおやつとして七人のお腹に収められた……。



癒慰 「ピザおいしかったね~」


零華 「しかし配達のお兄さんは気まずそうでしたよ?」


作者 「……お金、持ってたの?」


癒慰 「勇輝君が持ってたよ」


作者 「かわいそうに……」


零華 「そういえば貴女、テスト週間なのでは?」


作者 「………言わないでください。今から勉強しますから」

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