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第六章 プロローグ
俺は、誰?
名前も、住所も、生年月日も言える。
でも、なんだ?
胸の奥がざわざわする。
不安でしかたがない。
今まで楽しく生ききた全部が嘘だって言われたら、俺はどうしたらいいんだろう。
何が本当で、何が嘘なのか。
知りたいけれど知りたくない。
怖い。
目が覚めたら違う自分だったなんてことになったら、どうしたらいい?
これは、なんだ?
こんなものを私は知らない。
望んだこともない。
胸の奥で暴れるこれはなんだ?
私は困るんだ。
今さらこんなもの、邪魔でしかない。
怖い。
私は弱くなるのが怖い。
罪人は裁かれなくっちゃいけねぇよな。
嘘つきも、人殺しも、罰を受けねぇと。
俺は偉いやつでもなんでもねぇから、裁けねぇけど、崖っぷちまで連れて行くことはできる。
あとは勝手に足を滑らせてくれるさ。
さて、遊びにいこっか。
もうゲームは決めてるんだ。
俺は高みの見物をしてるからよ。