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150話記念 第二弾 御中元は開ける時がわくわくするよな

 夏の盛り。外を歩けば太陽が人間を焼く勢いで照りつけ、だらだらと不快な汗が流れる。だが如月はそんな暑さも関係なく快適な温度だ。

 そんなある日の午前中、錬魔の部屋に来訪者があった。


「これでいいのか?」


 と、錬魔が薬物庫から取り出した小瓶を手渡す。小瓶の中身は液体で、淡い青色をしていた。


「あぁ。やっぱり錬魔なら作ってると思ったぜ」


 歩はほっとした表情をして大切そうにそれをポケットにしまった。

 その薬の効能は性転換。男なら女に、女なら男に変わることができる。ただし時間制限はあるが。


「だが、それを何に使うんだ?」


 自分で作っておいてなんだが、あまり使う機会が浮かばない薬だ。人への嫌がらせしか思いつかない。


「潜入捜査だよ。性別の違うやつに化けるにも皆が鷺さんみたいな能力を持ってるわけじゃねぇし、正体がばれた時も性別が変われば逃げやすいしな」


「なるほど。そういう使い方があったのか」


「そう。ってことで俺は失礼するわ。まだ仕事残ってるから」


 じゃ、と歩は軽く手を挙げてドアへと向かう。その背に錬魔が声をかけた。


「使うときは五倍に薄めて使えよ。持続時間は一日だ」


「ありがとう」


 歩はドアの前で振り返り軽く頭を下げて出て行った。静かにドアを閉めてふぅと息を吐く。正直まだ錬磨は怖い。あの切れ長の目を向けられると直立不動のまま動けなくなりそうだ。

 だが自分の命がかかった今日はその恐怖を克服し、さりげなく話しかけることに成功した。

 錬魔からすれば突然の訪問で多少驚いたが歩はそこまで気は回らない。

 勇気を振り絞った自分を褒めながら歩は廊下の角まで歩いてもう一度その瓶を取り出した。


(でも、本当にあった……どーしよ)


 その薬の淡い青色が、ある人物を連想させる。歩はぞっと背中に寒気を感じ、その心臓に悪い記憶を頭から振り払った。


(は、早く帰って寝よ)


 歩はホールにいる勇輝に一声かけてから如月を後にし、本部へと向かったのだった。






 そしてその日の午後。昼ご飯を食べ終え、ホールで食後休みを取っていた彼らの耳にインターホンの呼び出し音が聞こえた。

 いったん互いに顔を見合わせ、勇輝がソファーから立ちあがり受話器を取る。


「如月ですけど?」


 インターホンがなることは珍しい。しかも、このドアの向こうに歓迎できる人が立っていたためしはない。

 勇輝の頭には灰色頭の彼が浮かんでいた。


「あ、あの……本部のもので、お届けものにあがりました」


 だが予想していた声とは違い、おどおどした声が受話器から聞こえてきて勇輝は目をしばたかせる。

 彼らを振り返り、


「なんか届け物が来た」


 と用件を伝えた。


「開けてやろーぜ」


 こちらから繋がない限り、本部から如月に来ることはできない。弥生の紡命珠を持っている鷺や空間を自在に渡れる美月などは例外であるが……。

 秀斗がそう促し、勇輝はドアを開けた。目の前に直立していたのは勇輝よりも年上の青年。


「私は本部直属親衛部隊の者です。本部より皆様に御中元を届けに参りました」


 緊張に体を固くしている彼は胸の前に持っていた箱を勇輝に差し出した。

 固くならなくても誰も食べないのに、と思いながら勇輝はその箱を受け取った。そこそこ重く、熨斗紙には四剣琅如月様と書かれている。


「ありがとう。隊長さんによろしく言っておいてください」


 勇輝がそう答えると、彼はほっと表情を和らげ深く礼をした。


「ありがとうございました。失礼いたします」


 そしてくるりと踵を返して本部の方へと歩いて行った。

 勇輝はぱたりとドアを閉めてその箱を皆がいる机まで持っていく。全員疑問と興味が混じった視線をそれに向けていた。


「本部からの御中元らしいよ」


 日本の夏の風習。最近は少なくなっているが、これがけっこう嬉しいものなのだ。勇輝の家も毎年御中元が届き、今年はなんだろうとわくわくしながら開けている。


「おちゅうげん?」


 さっそく包装を開けていく勇輝を見ながら、癒慰が小首を傾げた。え? と勇輝が顔をあげると皆似たような反応だ。魔術界に御中元という習慣はないらしい。


「えっと、御中元ってのは夏にやる贈り物で、挨拶みたいなものなんだ」


「へぇ、おもしれぇ風習があんだな」


 贈り物と聞いて秀斗が目を輝かせた。早く開けろとせかす。

 勇輝はわかってるよと返し、ふたを開けた。


「へぇ、ゼリーだ」


 夏の定番御菓子。冷やして食べるとさらにおいしい。味はりんご、桃、蜜柑とありどれも果実がまるごとゼリーに包まれている。


「冷やして夕食のときに食べよ!」


 癒慰が嬉しそうに箱ごと厨房へ持っていった。

 その後それは夕食のデザートとして出され、皆はおいしく頂いた。偏食の弥生もりんごのゼリーを気に入ったらしく食後少し機嫌がよかった。



 そして翌朝、事件は起こる。







 本日もよい目覚め。これが家だったら寝汗とともに起床となる。ここのベッドの柔らかさと目覚めの良さを知ってしまったらなかなか家に帰れない。

 勇輝はふわぁっと欠伸をし、眠い目をこすりながらベッドから降りた。裸足でぱたぱたと窓まで歩きカーテンを開けて伸びをする。体に太陽の光を浴びさせると自然と頭もさえてくる。

 そして顔を洗おうと洗面台まで歩く途中、違和感を覚えた。胸のあたりが揺れている。それが微かな振動となって体を伝わっていた。

 勇輝は不審に思って胸へと視線を落とす。小さく盛り上がったTシャツ。

 勇輝は一度窓を振り返りその向こうに広がる景色を見て心を落ち着かせた。


(今日もいい天気だなぁ……うん)


 そして現実を直視し、震える手を胸へと持っていく。止めとけ、と頭の奥で警鐘がなる。

 掌にTシャツの生地が触れ、その奥の感触を知った瞬間身体に電撃が走った気がした。


(……柔らかい)


 手のひらに収まるくらいの優しい温かみをもった柔らかな物体。


(……え?)


 それはあるはずのないもの。勇輝はおぞましいものでも見たかのように顔を引きつらせ、よろよろと洗面台へと向かった。


(か、顔を洗えば目も覚める。おかしいな、昨日は飲んでないのに)


 水を勢いよく出し、ばしゃばしゃと顔を洗う。さっぱりとした気分で正面の鏡を見、絶叫した。


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 甲高い悲鳴。

 勇輝の髪は肩にかかるまで伸びており、裾がカールしている。それが可愛らしい顔をいっそう際立てていた。

 そのどう見ても少女にしか見えない自分から逃げるように、勇輝は走りだした……。




 揺れる胸。早く動かない足。高い声。


(何? これ夢? む、胸が……声も)


 耳まで真っ赤にし、半分パニックになりながら勇輝はホールのドアを勢いよく開け、中に転がり込んだ。


「誰かいる!? おかしなことになってんだけど!」


 その声は鈴を転がしたような可愛い声で、そんな声に助けを求められたら全ての男が手を差し伸べるにちがいない。

 そしてその声に赤髪を下ろしたままの錬魔が振り向いた。彼は寝間着の浴衣のままで、妖艶な雰囲気が漂う。いつも険しい切れ長の瞳は憂いを帯び、悩ましそうな振り向き様の表情がドキリとさせた。


「勇輝……やはりお前も、か」


「錬魔!?」


 錬魔の声は迫力のある低音ではなく、透き通った優しい中音。もともと端正な顔立ちは線が細くなり、白磁気のような肌が繊細なイメージを与える。下ろされたままの髪はつややかで思わず手を伸ばしたくなるほど。

 まさに傾国の美女だ。

 勇輝は驚愕の表情を浮かべながら少しずつ錬魔に近づいて行った。すっと立ち上がった錬魔はいつもより十センチほど低い。それでも勇輝からしては十分高いが……。

 だが身長などよりも目を奪われるものがそこにはあった。浴衣の胸元から覗く谷間。質量のありそうなそれは重力に負けることなくその存在を強調している。それがじょじょに勇輝に迫り……。


「れ、錬魔!? ちょっと!」


 錬魔は無言のまま勇輝に近づくとがばっと抱きついた。ぎゅっと勇輝を抱きしめると勇輝の顔は錬魔の胸の中。ふわふわとマシュマロのような感触が勇輝を襲い、ノックアウト寸前だ。


「ギ、ギブ! 離して!」


 勇輝は腕を振り上げ、錬魔の肩口を叩く。呼吸困難で窒息死しそうだ。

 錬魔は呆然とした様子で勇輝を解放すると、ぎゅっと勇輝の頬をつねった。


「痛い痛い痛い!」


 その痛みに天国に飛んで行きそうだった勇輝は地上に落下する。


「これは、夢ではないよな」


「ものすごく痛いよ!」


 錬魔の顔は青ざめ、よろよろとソファーまで戻るとぜんまいが切れたように座りこんだ。ズーンと背後に負のオーラが見える。


「錬魔……とてもきれいだよ」


 自らの運命を嘆く美女。これを絵に描けば売れそうだ。


「勇輝……俺たち女になってるんだぞ?」


 怒気を含んだやや低い声が勇輝に現実をつきつけた。眉間による皺も美しい。


「い、言わないで。それを言わないで」


 勇輝が辛い現実に涙目になった時、静かにドアが開いた。二人は風が起こる勢いでそちらに顔を向け、目を剥いた。はたと合う視線。 

 そこには精悍な顔をした銀髪の青年が立っていた……。


「ん? 女が増えている」


 その声は中低音で耳をくすぐる美声だ。隊員服をしっかりと着こんだ彼は颯爽と二人へと歩いてきた。


「弥生、だよな」


 勇輝は喉がカラカラになりながらも声を振り絞った。


「そうだが? 朝起きたら男の身体になっていたのだ」


 弥生は平然と頷き、不思議そうに自分の掌を握ったり閉じたりした。いつもより一回りは大きな手。身長は勇輝よりも頭一つ分高く、筋肉はほどなくついていてスラッとしている。

 髪は襟足にかかるか、かからないかまで短くなっていた。


「先程まで剣の鍛錬をしていたのだが、いつもより力が強くなっていた。これはおもしろいな」


 弥生は驚き戸惑うどころかこの状態を楽しんでいるようだ。


(適応能力高すぎるだろ……)


 そして弥生は勇輝をまじまじと見るとふむと頷き、断言した。


「勇輝はやはり女に生まれるべきだったな」


「うるさい!」


 自尊心はもうずたずただ。


「しかし弥生……その髪はどうした」


 まさか切ったのか? と問いたそうな錬魔の顔に、弥生は首を横に振った。


「起きたら短くなっていた……が、なんだ? その劇的な変化は」


 途中から弥生の声音がさらに低くなり、視線が錬魔の谷間に注がれる。


「俺とて好きでこうなったのではない」


 錬魔は不愉快を露わにして眉間に皺をよせる。


「しかしなぜこんなことに……?」


 弥生がソファーに座り、ぽつりとそう漏らした時またドアが開いた。現れたのは青年と少年。茶色の髪と藍色の髪をしているので癒慰と零華だろう。二人ともズボンをはき、男の服を着ている。


「やっぱりみんなも性転換してる~」


 声変わりのしていない少年の声。癒慰はにこりとえくぼを作って笑っていた。身長は勇輝と同じくらいで、髪は短くクルクルと天然パーマ。クリリとした瞳が愛らしさを演出している。


「これはますますあのお中元が怪しいですね。箱を持って来ましょう」


 その隣に立つ青年はすらりと身長が高く、切れ長の瞳が女の子の心を射抜く。声は中低音で丁寧な口調がいかにも好青年だ。


 難しい顔をしながら厨房へと向かった零華。癒慰は三人に近づき、ニマニマと意地の悪い笑みを浮かべる。


「勇輝ちゃん。女の子はおしゃれが大事なのよ。後で私の服を貸してあげるね」


「いらん! 断る! 俺はずっとTシャツのままでいる!」


 ここで女の服を着てしまえば、もう後戻りができなくなりそうだ。


「うふふ~あがいても無、駄。錬魔君にも大人っぽいワンピースとか着せてあ……」


 癒慰が錬魔に視線を向け、ワンピース姿の錬魔を想像しかけた時、視線がある一点で止まった。


「な、何その胸……私より大きいじゃない!」


 勇輝が癒慰の胸に視線をやると、なるほどぺっちゃんこだ。男だから当然ではあるが。


「俺はこんなものいらない」


「うわっ、何それ! 一度くらい言ってみたい!」


「……その声でそのしゃべり方だとカオスだね」


 男の声が私と言い、女の声が俺と言う。目を瞑って聞けば誰が何を言っているのかわからなくなる。


「じゃぁみんな一人称変えれば?」


 勇輝の呟きに適応案を出したのは癒慰で、それを自分たちに当てはめた男二人がぞぞっと寒気を感じた。


「い、いや。今のままでいいんじゃない? 俺はやらないし」


「俺も……無理だ」


 女が男を演じるより、男が女を演じる方がハードルは高いらしい。


「癒慰……少し落ち着きたいのでお茶を頼めるか?」


「いいよ、ちょっと待っててね」


 錬魔の頼みに癒慰が腰を上げた時、悲鳴とともにドアが開いた。


「誰か! 俺の身体が大変なことに!」


 飛び込んできた美女は固まって座っている彼らを見つけると駆けよって来た。立ち上がっていた癒慰の肩を掴んでがくがくと揺さぶる。


「おい勇輝! 俺、どこも変じゃねぇよな。お、俺が女になってるなんて夢だったんだよな!」


 秀斗の髪は腰まで伸び、軽くウェーブがかかっている。身長も低くなり、華奢な身体に小さな顔が庇護欲をそそる。だがその容姿では黒のヘアバンドがかなり浮いていた。


「しゅ、秀斗君落ち着いて! 私は勇輝君じゃないわ!」


「……へ?」


 秀斗はぴたりと動きを止め、じっと癒慰を見つめる。自分よりも少し低い少年はよく見ると髪が茶髪だった。


「イメチェン?」


「勇輝君はあっち」


 ずいぶん髪が短くなったなと秀斗が思うと、すっと横のソファーを指さされた。そしてそちらに視線をやった秀斗は、この世の終わりでも見たような顔をした。


「何その化け物でも見た顔……」


「勇輝……お前とうとう女に?」


「秀斗もだけどね!」


 勇輝のこめかみに青筋が浮く。ちょうどその時零華が帰って来た。


「あら秀斗君……ずいぶん可愛くなりましたね」


 その言葉に心臓を突き刺された秀斗は勇輝の隣に崩れるように座り、もうやだと勇輝に抱きついた。

 そんな秀斗に目もくれず、零華はツカツカと歩いてきた。


「私たちの身体を変えたのは間違いなくこのゼリーですね。見てください、熨斗紙の裏にこんな文字が……」


 零華が剥がした熨斗紙をひっくり返して机に置いた。それを全員が注視する。


“暑い夏には肝試しより、男女逆転祭りのほうがワクワクするよね。 夜一星美月より”


 全員数秒間黙りこんだ。全員の頭に高笑う美月の姿が浮かび、明確な殺意が芽生える。


「今度会ったら、殺す」


 低い怒気を含んだ弥生の声に、皆が間髪いれずに頷いた。


「つーか、これは何かの薬か? それともあいつの能力?」


 秀斗がソファーにふんぞり返って疑問を投げかけた。勇輝に抱きついて少し落ち着いたのか、動揺が収まっている。

 胸をはるとTシャツの下でそれなりにある胸が揺れた。短パンから覗く足は組まれ、不機嫌な美女が一丁あがりだ。


「おそらく俺の薬だ……」


 苦々しい声が一つ聞こえた。錬魔は心当たりがあるようでしかめっ面だった。


「どういうこと?」


「実は昨日、歩に性転換の薬を渡した……おそらく美月が裏で糸を引いていたんだろう」


「なんでそんな薬作ったんだよ……」


 秀斗が恨みがましい目を錬魔に向けた。錬魔は言いあぐねいていたが、隠す必要もないかと思い口を開く。


「だいぶ前……弥生と二人で飲んでいた時に、ふと勇輝の話になってな」


 錬魔はついっと勇輝に視線を向けた。勇輝は突然話に名前が出てきて目をぱちくりとさせる。


「勇輝が女だったらという話で盛り上がり……酒の勢いで作ってしまった」


「さすがに錬魔の医学だけでは遺伝子は変えられず、私が手を貸して魔術も組み合わせたのだ」


 後悔の念を滲ませる錬魔と、しれっとしている弥生。


「ひどい……俺のことそんな風に思ってたんだ」


 勇輝は涙目で弥生と錬魔を睨んだ。女になったせいか涙もろくなっており、どうみても拗ねているようにしか見えない。

 その恨み事を聞いて、全員が心の中で謝罪した。皆一度は思ったことがある。


「それは……すまない」


 錬魔は素直に謝罪した。

 しかもその思いは現在進行形である。実物を目にするとさらにその思いは強くなった。

 目に涙をためてなじる勇輝は、とてつもなく可愛い。


「それで、これは何時まで続くのですか?」


「あの薬のままなら一日だが、薬が美月によっていじられている可能性が高い」


「どういうことです?」


「あの薬は体内に入ればすぐに作用するはずだった……」


 しかし実際に作用したのは翌朝。おそらく睡眠中に作用するように操作されたのだろう。


「最低でも明日まではこのままってことかよ」


 秀斗はげんなりとした顔で視線を胸に落とした。なんとも心地が悪い。ゆらゆらと頼りないことこの上なかった。

 浮かない顔をする女たちとは対照的に、少年の顔にニカッと笑みを浮かび輝いた。


「なら、思いっきり楽しまないとね。まずは三人のお着替え!」


 ぴょんっとソファーから跳ねて立ち上がる。


「下着をつけないと、動きにくいでしょうし」


 それに賛同する零華は三人の胸を見比べて一つ頷いた。それぞれに合う下着を選ぶのも楽しいだろう。


「俺は自分で自分の服は選ぶからな!」


 勇輝が警戒心を露わにしてくわっと牙をむく。その腕を癒慰はひっぱって立たせると、にっこりと笑った。


「うん、任せて!」


 ビシリと立てられる親指。もう嫌な予感しかしない。


「い~や~だ~」


 抵抗する勇輝を癒慰はずりずりと引っ張っていく。


「さぁ、二人とも行きましょうか」


 零華は二人をくいくいと手招きした。爽やかな青年の招きに、美女二人が応じる。美女二人の顔に緊張が走るのが見えた。


「おもしろそうだな……」


 そう銀髪の青年は呟き、人の悪い笑みを浮かべた後いつもより二人の細い背中を追った。

 そしてその後癒慰の部屋では女の悲鳴が上がり、メイドイン匠の伸縮自在下着と服が大いにその特性を発揮したことをここに記す。




 150話記念第二弾は感想のリクエストから採用いたしました。女の子たちは楽しそうですね。そして調子に乗って書いていたら一話では収まらなくなりました。やっぱりコメディーは書いてて楽しい。

 でわ、もう一話もお楽しみください。

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