第1章の9 ベタのべたによるベタのための会議
ベタのベタによるベタのための会議。
議題 目の前で彼女が消えた。
「どっきりだと思います。明日になればひょっこり出てくるのではないでしょうか」
それはない。目の前で消えるなんて今の科学技術にそんな芸当はできないし、どっきりにしては手が込みすぎだ。
「転校した?」
だから目の前で消えたんだって……
それに、全員の記憶からも消えてる。
「はーい。やはりここはなんかの悪組織が関係しているのでは?」
何? 超能力者軍団とか?
そんなの現実にはありえないって……
「そこから勇者の冒険が始まるのです!」
今二十一世紀だし、科学の時代だし。俺にも特別な力はないからな!
「じゃあ夢オチじゃないっすか?」
そう、俺もそれを期待した。 夢オチ、ベタの中でもスーパーウルトラベタな終わり方。
だけど、もう彩が消えて3日が経った。夢にしては長すぎだ。
勇輝は脳内会議を締めくくって薄らと目を開けた。
自分の部屋、ベッドの上である。外がまだ暗いということは日の出前らしい。
勇輝はなかなか寝付けず、永遠と脳内会議を開いていたのだ。
数十分後に携帯のアラームが鳴った。
携帯を持ち上げるとあの時買ったマスコットが目に入り、胸が締め付けられる。
今、彩と繋がるものは携帯のマスコットだけだった……。
やっと、転校生登場です!