プロローグ(令和)
初めての投稿です。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂には滅びぬ……
これは、平家物語の冒頭の歌である。
ー--------------------ーーーーーー
時は令和、場所は神戸のとある高校、2年C組の月夜見 宗は机に伏していた。
「せんせー、宗君もまた寝てまーす!」
隣の席の天原 照花が教師へとチクる。
「ここん所テスト範囲やから、覚えとかんかったら後で痛い目に合うで~」
「ふぁあ~~、はいはい、起きます」
俺は国語が嫌いだ。
数学や公民と違って将来役に立たない教科の代表格だからだ。
もちろん、理科や地歴公民、数学も役に立たんと考える人もいるだろう。
だが、現代文においても古典においても将来のためのものではなく、どうしても試験のための勉強になる。
確かに試験は将来のための重要な通過点である。
しかし、睡魔に襲われる。そして、また天原照花が、一々指摘する。
天原照花は俺が鳥取から引っ越してきた時からのお隣さんだ。
ちなみに、もう一人俺の前の席の女子、須藤佐希は爆睡中だ。
よくもまあ気持ちよさそうに寝ている。
俺とこいつは大の親友であり、悪知恵の働くサボりの先生である。
そして、この俺と佐希がサボり照花が言いつける、これが俺たちのクラスの日常であった。
あの日までは……
不定期で投稿していこうと思っています。