1裏側
「「「結婚、おめでとう!!!」」」
「ありがとう」
照れる。でも、嬉しいと同時にビックリだよ。四人の中で私が一番に結婚するとは思わなかった。今日は魅桜が、仲良し四人で更にお祝いしたいからとランチを企画してくれました。
「結婚式も呼んでくれてありがと」
「和装と洋装のどっちも着る式はいいね~」
流石、お洒落な薫姫の感想だ。
「上手くいって良かった」
うん。うん。うん。そうなんだけど、敢えて避けてる?
「こちらこそ、来てくれてありがとう。あのさ、四人は同級生なんだよね?紅さんとは仲良かったの?」
「いや」
「全然~」
「ちっとも」
早。
「そんなに即答しなくても・・・。紅さんから説明を聞いたから誤解しないけど、力いっぱいの否定だね」
「うん」
「無理~」
「ちらっとでもそうだって、思われたくない」
最後の綺羅良は凄いな。
「そこまでなの?でも応援はしてくれていたんでしょう?」
「え?」
「ん~?」
「ああ。華絵の幸せは願っていたよ」
あれ?私だけ?
「あれはね」
「華絵は大事だよ~」
「あっちは勝手に幸せになるタイプだから大丈夫」
随分、扱いがぞんざいですが、いいんでしょうか?
「そうなの?」
「そうだよ。大事な私達の華絵と仲良くなりたいって言うから、ねえ」
「そう~。久しぶりも無く、紹介して欲しいとか~、好きな人いないかの探りだけして、即座に帰っていったんだよ~」
「私達の顔を覚えていたことが奇跡的だよ?」
綺羅良が言うと魅桜も持論を展開して、薫姫が同意する。
「確かに。華絵に近付きたくて、その方法を探って、何とか私達の顔を思い出したんじゃない?」
「ありえる~」
「そっちだわ」
私は口を挟む暇が無い。まあ、いつも楽しく聞いていることが多いんだけど。今回も絶好調ですね。あ、聞きたい本題は別にあったんだ。今、ここで話題にしても良いのかな?
「もう一つ聞きたいんだけど、ここで聞いて良い?」
三人が顔を見合わせる。
「うん。そのためにこの場を用意したの」
「どうぞ~」
「最初に聞かれると思ってた」
「皆、人とはちょっと違うって?」
切なそうに笑って、茶化すように、皮肉気に三人は話してくれた。
「私、魅了持ちなの」
「織姫で~す」
「宇宙人かな」
「幅広いね」
うん。それ以外、実感は無いしね。でも、不思議。結婚して誓約を交わさないと普通の人は知り得ないんだって。勿論、紅さんも人では無かったです。吸血鬼でした。
「うん」
「そうなの~」
「それだけ?」
雰囲気がちょっとぎくしゃくするが、思い切って聞いてみる。
「え?今までと何か変わる?私、何か変わった?」
「いや」
「特には~」
「名字」
私は思わず頷いた。
「あ、それはビックリした。皆の名字が不思議だったんだ。多い名字だから、名前が凝っているんだと思ってたけど、わざと多い名字にしているんだってね」
「鈴木でーす」
「高橋だよ~」
「渡辺」
「私は佐藤から田中だよ」
四人で笑いあった。何処かで漂っていた緊張感も無い。これでまた仲が深まった気がした。私の独りよがりじゃないと思えたのは、三人がちょっと涙目だったから。秘密にしているのも心苦しかったんだろうし、だからといって言えないから隠すしか無くて大変だっただろう。
ずっと友達でいてくれてありがとう。これからもよろしくね。
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