商品開発マーケティングに取り組んだ一青年の成長物語
はじめに
私には二人の忘れられないメンターがいる。ひとりは、私が最初に勤めた外資系消費財メーカーで商品開発のイロハを一から教えてくれたオランダ人、もうひとりは、その後勤めた医療機器メーカーで、医療というやや特殊な世界で、常に最新治療用器具の開発を陰に陽に支えてくれたイギリス人だ。
この物語は、タカシという名の主人公が、オランダ人のモーリック、イギリス人のサムから異文化コミュニケーションの進め方やグローバル市場での商品開発、マーケティングについて指導を受け一歩ずつ成長してゆく仕立てにしたが、ほぼ実際に私自身が経験をしたことをモデルにしており、加えて同じ時代をともに過ごした仲間たちが私にシェアしてくれた貴重な経験もモデルとして随所に統合し散りばめた。あえて物語調にしたのは、もちろん個人情報保護の観点もあるが、それ以上に真に伝えたいことを無駄なく真っ正面から表現し読者へ伝えるためには、むしろこれらの登場人物に表現を託して物語として進めた方が効果的と考えたからだ。特に重要なメッセージについては、これらの登場人物の気迫を借りて情熱をもって表現することを選んだ。
この物語が、これから商品開発マーケティングの道を歩み始めようとしている若者諸君や、すでに道を歩み始めていて今日の自分より一歩進化した明日の自分を目指している若者諸君にとって、何かのヒントやきっかけを与えることとなれば大変光栄で嬉しく、また切にそう願っている。
もくじ
第1部 いざ国際舞台へ
・何かが足りなかった
・外資系巨大グローバル企業へ
・初めての海外勤務と未知との遭遇
・モーリックとの出会い
・「なぜ?」の嵐
・かっこ悪い自分
・気づかない本音
・話さないと伝わらない
・わかったふりの愚かさ
・景色の一部だった外国人
・解決を目指す意味
・多様性は男女の差だけではない
・逃げず立ち向かうこと
・この世で一番頼りになるもの
第2部 商品コンセプトの開発
・何よりも大切なものの1つ
・商品コンセプトの形
・ACB: Accepted Consumer Belief
a. “つかみ” ~興味を引けるか、共感を得られるか~
b. 日頃の無意識の表在化
c. つかめるACBとつかめないACB ~市場の深層ニーズ~
・PB: Product Benefit
a. 顧客が熱望する実現したい結果
b. 商品が果たすべき役割
c. 落とし穴: 期待過剰の先に来るのは落胆
d. コンセプトと実力値とのギャップ:一番結果が良くなる関係
・RTB: Reason To Believe
a. 購入意思決定にいたる最後の詰め
b. だまされたくない心
c. Endorsementの重要性
・ターゲットセグメント ~万人の支持は不可能~
第3部 顧客ニーズの特定
・リサーチにお金をかけろ
・決めるのは自分ではない ~バイアスの恐ろしさ~
・全てはデータ
・リサーチの種類: Qualitative Research(質的調査) とQualitative Research(量的調査)
・Qualitative Research(質的調査)
a. 1-on-1 interview
b. Focus Group Discussion
c. 大阪と東京
・Qualitative Research(量的調査)
a. Full-scale Usage Test
b. リサーチデザインの重要性
c. 質問リストの質でLearningの質が決まる
d. Success Criteriaはリサーチ前に作成し絶対に変えない
e. 結果の解釈の仕方
f. 統計学的思考の重要性
第4部 技術情報への転化
・VOC (Voice of Customer)
・何をどのように良くするかだけでなく何倍良くすればOKか
・Test Protocolの開発
・顧客ニーズを本当に代表しているのか?
・アメリカR&Dの底力
・日本の技術者の慢心
・どんな状況でどんな瞬間に何を実現?
・技術情報への翻訳と技術限界の把握
・得意技術からスタートするな。すべての起点はありのままの顧客ニーズ
・特定技術が使える顧客ニーズを探してはいけない ~本末転倒~
・多くの技術シーズの引き出しを持て
・真の意味での顧客愛
第5部 ビジネスの構築
・決めるのはデータ: 価値を見いだす人の数と支払う対価
・SWOT分析
・ヒト、モノ、カネ
・正味現在価値の予測
・利益は将来の事業継続のためのコスト
・プロジェクト優先順位の決め方とタイプ別キャッシュフロー
・どんな世界が広がってほしいか明確に定義すること
・会社としてのStrategy fitnessとMission Statementの重要性
・失敗を恐れろ! 手足を動かす前に考える
第6部 まとめ
・バイアスに満ちた世界
・人間的なモノの限界
・組織文化の革新
・守られているが飼い慣らされているサラリーマン
・心のどこかで弱い自分
・本当のプロフェッショナリズム
・BiasやStereotypeを持たない勇気=謙虚な心
・真のニーズを把握すること
・日々刻々と変遷するニーズ
・相手を理解できるはず: 違う価値観を切り捨てないこと=多様性の尊重
おわりに
・心に残った言葉
・人と関わることの幸せ
・明日を作る若者が主役
・何でも見てやろう! 一度しかない人生




