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一斤染




「おい」

「早く帰ってください」

「おい」

「早く帰ってください」

「おいって言ってんだろうが!」

「早く帰ってくださいって言ってんでしょうが!」


 現ナンバーワンヒーローは最速で駆け走り補修者でもある師匠を撒こうとしたのだが、年老いても流石は元ナンバーツーヒーローと言ったところか。距離は開いているが、ずっとついてきていた。


「最近の私破壊してないじゃないですか補修者は必要ないです早く帰って両親を見守っていてください!」

「ばかたれ破壊していないだとよく言えたもんだな確かに以前よりは範囲は狭くなったが破壊はしとるだろうが!」

「だ!だったら師匠じゃなくて他の補修者をお願いしますよ!」

「ああん!?他のに頼めるなら頼んどるわ!居ねえから俺が来てんだろうが!」

「だ!って。だったら!だって!師匠が居ないと両親と悪の手先だけでしょうが!」

「おい」


 先程までの大声が鳴りを潜めて普通の声量になったが、現ナンバーワンヒーローは身体を小さく揺らした。けれど、足は止めなかった。振り返らなかった。

 巡回中なのだ。

 必要時以外は移動を止めるなど言語道断だ。

 本当は。

 本当は足を止めたかった。

 止めて、きちんと顔を見合わせて、話をしたかった。


「………わかってますよ。師匠も問題ないと判断したからこそ、あの悪の手先を傍に置いているんでしょう。わかってますよわかってますけど。あいつが両親を利用しないとも限らないでしょう」

「しない。断言する」

「………師匠」


 おまえの両親は現役のヒーローよりも遥かに強い元ナンバーワンヒーローズだから心配するな。

 そう言ったところで、心配しないわけがない。

 心配する気持ちが変わる事はない。

 と、判断して言わないわけではない。

 あいつらが言わないと決めたからだ。

 理由がどうであれ。

 本人たちの意思が絶対であり、他人が言える事では決してないのだ。


 心配するな。

 その言葉をもう一度言おうとした補修者はしかし、今現在巡回している人気の少ない場所に悪の手先が現れたとの届いた伝令に心身を切り替えた。

 現ナンバーワンヒーローのように。


「師匠。遅れて来ても構いませんよ」

「ぬかせ」


 速度をさらに上げた現ナンバーワンヒーローを目を細めて追いかけた補修者であった。











(2022.11.23)


 

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