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消炭




 何でさっさと宇宙に出なかったのか。


 現ナンバーワンヒーローは悪の手先を追い返しながら、丸一年かけて宇宙ゴミをせっせと専用の空間で粉々にして専用の袋に詰めて、近場のブラックホールに捨てる作業を終えて、使用されている機械だけになった地球外で思った。

 地球に来る前の悪の手先及び悪様を相手にすれば、地球に損害は出ないし、地球が破壊しないようにと力を制御しなくてもいいし、地球内で闘うよりもよっぽど気兼ねがない。


 ただしそれも機械さえなければの話。


 こんなに本当に要るのか。

 あちらこちらと回り続ける機械の夥しい数に甚だしい疑問を抱くが、絶対に壊すなよ一部分たりともと注意を受けたので、まあ、頑張っている。

 

(弟子のあいつも頑張っているわけだし)


 宣言通り、弟子には時々隕石をぶつけている。

 最初は両親の力を借りながら隕石を破壊していたが、ここ最近は自力でできるようになっていて、成長を頗る感じている。が。


 では、己はどうだと問われれば、どうなのだろうか。

 地球に来る全ての悪の手先及び悪様を退治できているわけではないので、現ナンバーワンヒーローとしてはまだまだと言えるが、補修者としてはなかなか成長できたのではないかと思っている。

 このまま補修者としての能力を高めて行けば、両親を不安にさせる事もない。

 と豪語したいが、それはないだろう。


(笑って、助けに来たと、今なら、言えるだろうか?)


 自ら人質となっている両親に向かって、助けに来たと笑って言う。

 なんて滑稽な話。

 両親が人質になる前に助けなければ意味がない。

 では、笑って、助けに来たなんて、言える日は来ないのか?


 否。


 そもそもの問題、助けに行く必要はなくなる。

 地球外ここで、すべて終わらせるのだから。


 だからもっともっともっと。


 地球外で笑うのだ。


 不甲斐ない娘だけれど、ほんの少しだけでも助力しているよと。

 胸を張って。


 嘘だ。

 本当は。

 言っている。


 助けに来た、と。








「莫迦だねえ。一緒に闘おうって言ったのにもう忘れちまったのかい?」


 久方ぶりに響く声音に、情けなくも涙腺が弱む。


「………莫迦だから忘れている」

「じゃあ、忘れないように何度でも何度でも言わないと駄目だね。お母さん」

「そうね、お父さん」

「俺も一緒に闘う」


 元ナンバーワンヒーローズであり現補修者見習いである両親と、元悪の手先であり現ナンバーワンヒーローの弟子である少年が現ナンバーワンヒーローの横に並んだ。

 現ナンバーワンヒーローは、ふっと口元を緩ませた。


「母さんと父さんはまだ補修者見習いなんだ。私はもう少しで補修者として認定されそうなのに」

「「母さんと父さんだってもうすぐだから。補修者が厳しすぎて認めてくれないだけだから」」

「俺はヒーローにも補修者にもなる気はさらさらないけど、あんたの弟子として強くなったなって認めてくれてもいいぞ」

「ああ、そうだな。強くなった。もう弟子とは言えないかもな」

「………いや、いい感じに言っているけど、もう面倒みる気がないだけだろ」

「いや。本音はどうであれ、決めたからな。死ぬまでおまえは私の弟子で、私はおまえの師匠だ」

「………あっ、そう。ならいいけどよ」

「「うわー。照れてるう」」

「うっせえ!クソババアクソジジイ!」

「誰の両親がクソババアクソジジイだって?」

「うっせうっせあんたの両親だよばーっか!」

「よし。どれほど強くなったのか手合わせをしてやろう。かかってこい」

「よっしゃあ!」

「「よっしゃあ。補修者見習いを卒業する為に頑張ろう!二人ともどんどん壊していいわよ。すぐに修復するから」」

「………俺がな」


 張り切る現ナンバーワンヒーロー、現ナンバーワンヒーローの弟子、元ナンバーワンヒーローズ現補修者見習いの逞しい背中を見ながら、元ナンバーツーヒーロー現補修者は目を細めたのであった。











(2023.1.4)



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