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18(裏)

《チョウセンヲ アキラメル ノ デスカ。》

湊と理久の方へも、ミ=ゴは訪問していた。

こっちは、気が進まないと言っていたが、真司が操作を担当している。

どうせ声は、機械を通る時に変わるので特に気にしていない。

真司は、要が隣りで対応しているのを横目に見ながら、思い切ってパソコンを操作してそこへ、ミ=ゴの姿を表示させた。

「うわ…!!」

二人は、恐怖のあまり、後ろへと必死に這って行く。

真司は、答えをもらわないと困る、いっそ諦めると言え!と思いながら慌てて寄って行った。

《チョウセンヲ アキラメル ノ デスカ。》

二人が大慌てで泡を噴いているのを見て、真司は思ったより、この映像が実体を持って見られているのだと驚いた。

湊は、おずおずと言った。

「その…挑戦は、する。仲間が、奥へ行ったと思うんだけど。」

真司は、とりあえず気絶されても困るので、何度も頷いた。すると、連動しているので、映像の頭らしい場所が動いた。

《ハイ。ハイセツ ノ ホウホウヲ ワレワレノ ナカマガ セツメイシテイマス。カレラモ チョウセンスルト イッテイマス。デハ、スグニ アルジノ マエニ。》

確かハリーが、触れる仕草をしたら、触れられたとか、触れたとか感じるはずだと言っていたのを思い出して、手で引っ張ろうとした。二人は、触れられるのが嫌のようで、跳んで立ち上がった。腰が抜けていたようだったのに。

「ちょ、ちょっと待って、どうして急いでるんだ!行くよ、行くから!仲間が戻るのを待ってて…その、奥へ問題を確かめに行ってると思うんだ。」

真司は、もうさっさと脱落してくれないかな、と言った。

《マダ オクニハ キテイマセン。ハイセツ シテマス。ジカンヲ トルト アルジガ ダツラクシャ トシテ ショリセヨ ト オッシャッテイマス。ダツラク シマスカ。》

湊の顔が恐怖に引きつった。

「処理?処理って…全員が挑戦を受けて終えるのに、タイムリミットがあるっていうこと?」

真司は、どこまで言っても良かったかとシナリオを確認しながら、むっつりとモニターを見ている彰に視線をやってから、言った。

《ハイ。アルジハ キガナガイ カタデハ アリマセン。ダツラク シマスカ。》

面倒だから終わらせてくれないかな。

それが真司の真実の心だったが、それに反して湊は、急いで首を振った。

「脱落しない!行くよ、行くから!」と、理久を引っ張って、立たせた。「理久、とにかく行こう。大河と美里さんに合流して、このことをニクラス教授に言わないと。」

理久が、フラフラと青い顔をしてただ、頷く。

真司は、まだこのミ=ゴとか言う怪物の役を続けなきゃならないのかよ、と面倒に思いながら、二人の後をTVゲームでもしている感覚で、ついて行った。

すると、湊が話しかけて来た。

「その…君達の、主は?」

真司は、出来たらあんまり話しかけて欲しくないな、と思いながら、頭を掻いた。すると、画像のミ=ゴもかぎ爪でぽりぽりと頭の触手のようなものを掻いた。

《アルジヲ スウハイシテ イナイノデスカ。ダトシタラ シカクハ アリマセン。ダツラクニ ナリマス。》

湊は、慌てて言った。

「違う、その…君達は、オレ達と同じ神を崇拝してるのかって聞いてるんだ。」

真司は、面倒だなーっとシナリオに書いてあるのを読んだ。

《ハイ。ワガキミハ ユイイツムニノ ハイヨル コントンノ カミ。スバラシキ エイゴウノ カミタチ ノ シシャ。》

理久と湊は、息を飲んで顔を見合わせた。

真司はびっくりした。なんか知らんが今のワードの中に、何かキーワードでもあったのか。

だが、今ので理久の頭を逆にクリアになったようで、しっかりした目になった。すると、前方に、赤っぽいミ=ゴが見えた。真司目線からもそれは見えていて、それが要の動かしている、ミ=ゴなのだと知っていた。

《ハイセツハ ダイジョウブ デスカ。》

要は、怪物のはずなのに、お母さんのような気の遣い方をする。

湊と理久の二人は、首を振った。

「大丈夫だ。あの、大河と、美里は?」

要は、答えた。

《アルジノ ミマエヘ。アナタガタモ マイリマショウ。サイゴノ チョウセンヲ。》

言われて、二人は顔を見合わせて、頷いた。

ミ=ゴとして、真司と要は理久と湊を連れて、祭壇のある部屋へと向かった。


二人が並んで入って行くのを見送って、要の操作するミ=ゴと真司の操作するミ=ゴは並んでそれを見守った。

そこは、ランタンの明かりでも照らし切れていなかったが、薄暗くて何かをごまかしたり隠すにはちょうどいい感じだった。

湊と理久が入って行くと、先に来ていた、大河と美里が振り返った。

「湊、理久。」大河が、深刻な顔をして、寄って来た。「これ…。」

湊は、大河が差し出すデニスの手帳を見ている。

あれは、間違った推測をして、ニクラスという人がもうここには居ないのだと思わせるための、細工だった。

どこにも居らず、小さな池の端に落ちていたとしたら、それはもしかして…と考えるだろう。

「ここに、落ちてたんだ。」

大河が、池の端を指して言っている。

「そんな…まさか、教授は池に?」

大河は、首を振った。

「分からない。だが、そうとしか考えられないんだ。どこにも居ないし、ここが洞窟の一番奥。ここまでの部屋で、教授の姿はなかった。何より、ミ=ゴ達に聞いてみたけど、何度聞いても、あなたがた以外の人類はここには居ません、って答えるんだ。」

湊が、後ろを振り返った。そして、コソコソと話している。

とはいえ、こっちに話し声など丸聞こえだった。

「やっぱり、ミ=ゴだよな?ってことは、主っていうのは…」

「シッ!」美里が、急いで指を唇に当てて、言った。「分かってる。でも、現れたら怖いから、私達も口には出さないの。」

理久が、真面目な顔で頷いた。

「ミ=ゴが、這い寄る混沌、って言ってたんだ…。」

四人が、顔を見合わせる。

要と真司がそんな生徒たちをじっと見ていると、横に居た彰が、うんざりしたように言った。

「もう始めたらどうだ。私も出待ちをし続けるのは面倒なんだがね。さっさと終えて、結果を見たい。」

また飽きて来たよこのボスは。

要は慌ててミ=ゴとして言った。

《…トキガ キタラ ワレワレガ ダツラクトシテ ショリ シマス。エイエンニ ワガアルジニ ツカエル タメニ。》

美里が、何かを悟ったのか、隣りで身を硬くする。

そして、祭壇下に転がる、透明の筒を見て、もっと慄いた顔をした。

「…ああ。」と、絶望的な顔をした。「そうよ、頭に穴が開いて中身が空っぽだった話を聞いた時、どうして気付かなかったのかしら。そして、体朽ちなかった話を聞いたじゃない。ミ=ゴに、処理されてたんだわ。脳を取られて…あの、中に。」

残りの視線が、祭壇下へ向いた。

中途半端にクトゥルフ神話を知っているものだから、先々気取ってクリスの思うツボだ。そう、あれはミ=ゴが脳を収めて維持管理する筒は、こういうのじゃないかと作ったダミーだった。

「永遠に仕えるってそういう事だったのか!」と、理久はミ=ゴ達を見た。「そんな…問題はなんだ?!」

えっと、その前に仕掛け花火だな。

要が、横のスイッチをパチンと下げた。

すると、いきなり燭台の蝋燭にパパパパと炎が着いた。突然のことに生徒たちが慌てて祭壇から離れると、言った。

《スナヲ ナガセ。》

「え?!」

思わず、湊は叫ぶ。

要は、一番左端の砂時計を回すスイッチを下ろした。

すると、壁に三つ並んであった前に見たよりは幾分大きめの砂時計がひとつ、くるりとひっくり返った。

「そんな!砂時計が!」

《サア トキハ キタ。》

問題は何だ?!

四人は、必死に回りを見て、それらしい物を探した。

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