個性豊かなクラスメイト達 1
学力試験、実力試験と終え、面接試験の日がやってきた。
リザの言った通り、俺の面接官は彼女だった。
「……さて、受かることが確定しているお前と真面目に面接する気になれないな」
足を組み、葉巻を吸い始める面接官の姿は微塵もやる気が感じさせなかった。
「ここでそんなものを吸っていいのか?」
「ああ、どうせお前が最後の受験者だからな。問題ない」
「じゃあ俺が臭いと言ったらやめてくれるか?」
「今更だな。もう慣れてるだろ」
何一つ悪びれる様子のない姿は、一周回ってカッコいいとさえ思えるな。
流石、自称有名人。
「……ところで、お前の試験結果を見させてもらった」
「もう結果が出てるんだな」
「ああ、本来の面接なら試験結果に基づき色々聞いたりするからな」
「随分と用意周到なことで」
面接試験は学力試験、実力試験では測りきれない才能を測る試験、という程だったはず。
それを実現するには、受験者の情報をかなり仕入れておく必要がありそうだ。
だとすると、試験結果を把握しているのは当たり前の事だろう。
「学力試験の正答率は綺麗に50%で記憶喪失のお前にしてはよく頑張ったと褒めてやりたいところだ。だが、実力試験の結果は下の上。火魔術を使ったようだな。威力自体は十分だが、魔法でなかったことでマイナス評価になったそうだ」
実力試験は、自分の実力をアピールする、といった内容だった。
何もない広い場所で実力をアピールしろと言われても困る。
ただ、この試験は他の受験者が何をやっているか見ることが出来た。
魔法を撃ってる奴が多く、火魔法が一番派手で分かりやすそうだったので、俺も同じようなことをした。
中にはズバ抜けてる奴も居て、こういう奴が合格するのだろうなと思った。
「魔術より魔法の方が優れているのは事実だろう。仕方ないか」
「それならもっと威力の高い魔術を撃てば良かっただろうに」
「実は威力の高いものは撃てないんだ。お前と戦ったとき、俺はただ防ぐだけで自分から攻撃した事は一度も無かっただろう?」
「確かにそうだ。しかし、お前が手の内を隠している可能性は十分にあり得る」
リザは疑惑の眼差しを俺に向ける。
「そう言われてもな。無いものを出せと言われて、出せるはずもない」
「……そうか。それならそれでいい。これで面接試験は終わりだ。私の研究室に戻っていろ」
「ああ、分かった」
こうして3日に渡って実施された入学試験を終えた。
そして一週間が経ち、俺は無事合格となった。
◆◆◆
今日は入学式とやらがある日だそうだ。
リザから今日は徒歩で英傑学院に向かえ、と言われたのでその通りにしてきた。
周りの生徒と同じように正面玄関に向かうと、クラス表が書かれたものがあった。
その前には人だかりが出来ている。
少し離れた場所でクラス表を見てみると、A、B、C、D、Eと5つのクラスがあるようで、クラス毎に受験番号が書かれている。
受験番号『1919』はどこのクラスに書かれているか探してみる。
「……あった」
Bクラスだった。
早速向かうと、教室には何人か人がおり、友達作りに励んでいるようだった。
机には受験番号の書かれたネームプレートが置かれている。
自分の番号を探して、席に座る。
クラスの最後列の窓際の席だ。
座って待機していると、クラスに人が集まってきた。
「あ、テミル君じゃん。やっほー」
先日少しだけ話したエルフの美少女が俺を見つけ、こちらにやってきた。
「ソフィナか」
「そうそう! 覚えててくれたんだ!」
「……流石に名前は忘れないだろう」
「そうかな? 私とか結構忘れちゃったりするよ。テミル君の名前もちょっと忘れかけてたし」
それ、本人の前で言っちゃダメだろう。
「失礼」
俺の隣の席に一人の少女が座った。
その子は清潔感溢れる絶世の美少女だった。
長い黒髪は、ここら辺じゃ珍しい気がする。
周りを見渡しても黒髪は誰一人いない。
「あ、ごめんね。邪魔しちゃったね」
ソフィナが黒髪の少女に向かって謝る。
申し訳なさそうに頭を下げており、本心から悪いと思っているのだろう。
素直な子だな。
「気にしていません。どうぞ、続けてください」
「良かったー。だったらさ、みんなで話そうよ!」
凄いなソフィナ。
コミュ力の塊だ。
「良いですよ」
断りそうな気もしたが、ちゃんと受け入れるのだな。
「名前教えてよ! 私はソフィナ」
「……メルです」
仲睦まじく会話出来ているようで何よりだ。
「もうテミル君も名前言わなきゃダメでしょ!」
「悪い、慣れてなくてな」
「もう、ほら自分の名前言って!」
あなた今さっき名前言いませんでした?
そんな事を思ったが、頭の片隅にそっと閉まっておいた。
「テミルだ。よろしくな」
「うんうん」
ソフィナは満足そうに頷いた。
「テミルさんですね。よろしくお願いします」
メルはお辞儀をした。
礼儀の正しい子だな……。
もしかすると、貴族の子かもしれない。
ガラガラと教室の扉が開いた。
入ってきたのは、なんとリザだった。
騒がしかった教室が嘘みたいに静まり返った。
リザは教壇まで歩いて行く姿をジッと眺めるクラスメイト達。
「お前らおしゃべりはお終いだ。席につけ」
リザがそう言うと、立っていた者達は自分の席に戻っていた。
「またあとでね」
ソフィナも小さな声でそう言い、自分の席に戻って行った。
ジャンル別の表紙を飾るのは難しそうですね……。
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