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ソードスミス  作者: 黒柳
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試験開始

家の中に入った彼は眠っている祖父を起こすと紙を見せながらこれは何なのかと尋ねると

祖父は「お礼じゃよ」とだけ言った。

「お礼?何の?」

「昨日マツリをした時に酒も一緒に置いてきたじゃろ。その酒を神様が飲むんじゃが、そのお礼としてマツった刀のステータスを紙に書いてくれるということじゃ」

今まで神に祈ったことは何回もあるが、こんな風に目に見える形で何かをしてもらったことがないので今まで信じていなかったが、神は存在しているようだ。

「ふむふむ、切れ味Eの振りやすさF、耐久性Eか。微妙じゃのぉ、精一杯頑張ってこい」

まだ試験開始までかなりの時間あったが遅れるよりはいいということで彼は試験会場である役所にむけ出発したのだった。向かっている最中彼は数週間の出来事を思い返していた。

刀に名前を付けたり、神に刀をマツるなんて今まで知らなかったし思ってもいなかった。

しかしこの数週間で今まで機械のように刀を打っていたのが、何とも言えないが刀鍛冶としてのプライドや刀を打つ楽しさが自分の中に生まれたような気がしていた。

彼が出発してからしばらくたって

「行きましたね。おやじが資格を剥奪されなければ俺もあいつもこんな苦労をしなくてもよかったのに。特にあいつは30年近く受験者のいない一般受験をするんだから」

「お前には本当に苦労を掛けたな。受験していたらおそらく一番上の学校に入学できていたろうになぁ」

「俺は頭だけは良かったからね。その代り刀のできは散々だったから今のあいつみたいに一般で受けたらどうだったかわからんよ」

二人は昔話に花を咲かせながら何となく彼は合格するだろうとそれぞれ思っていた。

会場についた彼は受付に刀[黒夜凪]を預け、彼は会場の中へ入っていった。

会場内は一般と推薦で分かれており、商工業組合に属する者の子は推薦で、彼のようなものは一般で受験することになっている。案内に従い一般の試験場に入って自分の試験番号が書かれた机に座り試験開始まで時間をつぶす。そうしているうちに試験開始の時間がやってきて試験官が入ってきた。

「それではこれより試験を開始します。君一人だけだから受け取ったらすぐに始めていいよ。」そう言いながら50代くらいの男性試験官は問題と解答用紙を渡してくれた。

「それでは試験開始」と形だけの試験開始の合図を言うと試験官は出て行った。

試験問題はごく普通の知識問題で、彼は手ごたえを感じながらペンを置いた。それから退屈な時間が10分ほどたってから試験官が

「試験終了です」と言いながら入室してきて、用紙を回収した後彼に

「一般受験者はこの後広場で刀の試験がありますので、広場に来てください」そういうとさっさと部屋を出て行った。



広場に着くと、かかしが4体並べられており近くのテーブルには黒夜凪が置いてあった。

「それでは試験を始めます」と言いながら先ほどの試験官がゆったりとした服を着て裸足で出てきた。

「それでは試験の説明をします。この4体のかかしはそれぞれ異なる素材でできており、

1つ目はワラのみ、2つ目は人体に近いもの、3つ目は毛皮でできており、4つ目は鎧を着た人体を想定しています。」

説明を聞きながら彼は自分の造っているものは、人や動物を殺すための道具なんだとはっきりと感じた。

それでは試験を始めますという掛け声とともに試験官が刀を構える。その構えはそこら辺の冒険者のように背中から引き抜くようなものではなく、腰のあたりに刀を据え試験官はじっとしている。何をしているのかと彼が思っているといつの間にか刀が抜かれ1つ目のかかしは斜めに切られていた。

「1つ目のかかしに対しては何の問題もなく斬ることができました。刃こぼれも特になくいい感じです。それでは次に行きましょう」

そしてまた例の構えに入り、次の瞬間にはかかしの腕を切り落としていた。そして大きく振りかぶるとかかしの胴体に向け振り下ろした。

「2つ目のかかしに対しては人の腕程度であれば斬ることは可能と考えられますが、胴体を両断するには使い手にそこそこの技量を求めますね。しかし刃こぼれはしていません。いい感じです。次に行きましょう」

そう言って試験官は抜き身のまま3つ目のかかしの前に立つと刀をかかしに突き刺した。そして素早く抜き、突き刺すのを2,3回繰り返した。

「3つ目のかかしは、開拓地に生息するクリーチャーを想定しているため、両断はかなり難しく有効な攻撃は突きです。その突きに耐えうる強度を持っていますね。刃こぼれは少しですね。まぁ良いでしょう」

そういうと試験官は刀を鞘に納め

「これで試験は終了となります。合否発表は明日掲示板にて行いますので各自確認してください。」そういうと彼に刀を返しながら何か質問は?と言ってきたので

「明日ですか?早すぎませんか?それに4つ目のかかしは?」と彼が尋ねると、苦笑いしながら

「今の推薦試験は過去のように厳格なものではない。受ければ合格する、そんな試験だよ。だから採点は君一人の分だけだから簡単なもんさ。

4つ目のかかしに関してはクリーチャーのほうがはるかに硬いからね、そういうことだよ。他には?」

彼がないですと答えるとすると試験官のほうから

「久しぶりにトウヨウ式の刀を振れて楽しかったよ。やはりイアイはトウヨウ式がしっくりくる。それでは以上ですべての試験を終了します。気を付けて帰ってください」

そういうと試験官は会場内に戻っていった。

彼は自分の造った刀が試験に耐えたことに達成感を覚えながら家路についたのだった。



よろしくお願いします

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