第二五話 休息
近々、全体の大改訂を考えています。詳しくは活動報告をご覧ください。
――マレク村。
帝国領の最南端、ラズトーリア辺境伯領に属する村。
ラズトーリア辺境伯領の南西に、まるで防壁となるようにそびえ立つ、ケイラディア山脈。
その南の麓から山脈を回り込むように広がるのが、人類が未到達だった人外大魔境と言われた、ゼルランティア大森林がある。
それと向い合せになる形で築かれたのが、ヴォロデウ要塞だ。そこから北に馬で三日ほどの距離に、ラズトーリア辺境伯の城、ウラズドルデア城をがある。
マレク村は、最北端にあるラズトーリア辺境伯領とマルジア侯爵領との国境に築かれた、アリゲル砦と
ウラズドルデア城を結ぶ交易路のすぐ近くにある。また、西には、ケイラディア山中にある鉱山から伸びる道路が交易路と交わる地点が近くにある。
小さい村ながらも、交易路と鉱石運搬路が交わる地点であることから、マレク村はその恩恵を受けていた。
人口は約90人。20の家族が暮らしている。このあたりの田畑には、ケイラディア山脈から流れるプロ―ト川により灌漑されており、良質な作物がとれる。
主な産業は、周囲の森から採取した希少な薬草や、豊かな土壌が生んだ農作物。
そして、エリアス家で作製している仙洸石だ。
ジスエクス達は【じいやを】先頭に立哨のもとへ向かった。
何者かが複数で近づいてくるのを立哨は警戒する。
その集団の先頭に立つのがじいやだと判ると、立哨は少し安堵の顔を見せ、警戒を緩めた。
じいやが事情を説明している。
旦那様の大事なお客様を迎えに行っていたこと。
出かける時、立哨が見当たらなかったので、そのまま表門から出て行ったこと。
ここにいる6人は全員、【仙技使い】であること。
途中、何者かに襲われ。
何とか撃退し追撃をかけたが、逃してしまったこと。
そのせいでマレク村への到着が遅れたこと。
立哨は一瞬、少し納得がいかない表情をみせたが、じいやの信用が勝ったのか門を通してくれた。
全員、並んで一人ずつ門を通る。最初にじいやが門をくぐった。
その際、門を通る各々の姿を見て、ドマは多様な反応を見せることとなる。
「あ、こんばんわドマさん。お仕事ごくろうさまです」
エリス・エリアスが、ドマに向けて挨拶と労いの言葉をかける。
同じ村に住む以上、当然知った顔だった。
「あ、どうも。失礼します」
「おっ、こっ! これはなんと! すっげえ美人さんだ! よろしくね! 俺はこの村で立哨の任についているドマだ。なにか困ったことがあれば言ってくれ!」
銀髪の若く美しい女性がそばを通るのを見て、ドマはどぎまぎしながら赤面する。これほどの美人はこの辺には皆無だからだ。
「こ、こんにちわっ! あ、こんばんわだっ!」
「はは、こんばんわ」
続いて門を通り抜ける美人。オレンジ色のポニーテルが眩しい、生気溢れる少女だった。女性にしては少し大柄だが、女性らしい部分が羽織っているローブを押し上げるほど見事である事に気付き、ドマは思わず顔を赤らめた。
四番目に門を通る少女をみたドマは、他の二人とは違って幼い印象を受けた。12、3才くらいだろうか?この辺りでは見ない黒髪の少女だ。何処か庇護欲を刺激される少女だった。丈が合ってないマントを着ているが、誰かからの借り物なのだろう。
この娘も仙技使いなのだろうか?ドマは思わずまじまじと見つめてしまい。
それに気づいた少女は、顔をうつむいたまま門をくぐった。
一人目の男はかなりの長身で、何故か上半身裸だった。彼が纏う雰囲気から只者ではないような気がした。だので、ドマは声はかけなかった。
声を掛けない方が良いとおもったのだ。
次の男を見て、ドマは唖然としてしまう。
肉の球体が歩いているように見えたからだ。
ハゲデブという表現では収まりがつきそうにないほどの、肉と脂肪の巨漢だった。
極めつけが、見せつけているのか隠しているのかよくわからない衣装。
ピンクでまとめたコーディネートなのかはわからないが、下着みたいなタイツと小さいストールだかなんだかを着ていて。とても気持ち悪いとドマは感じた。
関りにはなるまいと、ドマは決意する。
しかし肉の球体男はドマを見下ろすと顔を近づける。
至近距離で見つめ合う顔と顔。
「ウフッ、あんまり見つめちゃだめだゾ♪」
ドマは心臓発作を起こさなくて良かったと、世界創造の神ゼーヴェに感謝する。
つぎの男の姿を見るなり、ドマは意識を失いそうになる。
先の二人の男より、頭二つ分は大きい男だった。
その前の男と同じくピンクの下着みたいなデザインのタイツに、上半身裸の上にストール。
そして頭部は目を隠してある拘束マスク。色はもちろんピンク。
変態二人目。密かにそう思うドマ。
「なに見てんのよ? やらしい目つきするんじゃないわよっ!」
このように言われ、思わず『すいません』と謝ってしまうドマ。
全員が門を通りすぎるのを見送りながら、ドマに去来するのはたった一言の言葉だった。
なんだこいつら……。
である。
◇ + ◇ + ◇ + ◇
じいやに案内され、エリアス家の前に立つ一同。
こんな村には珍しいほどの立派な屋敷だった。
二階建てで、中は6人の客が宿泊できるほどの広さらしい。
早速中に案内される。
中に入ると、僅かに照明が灯っているものの薄暗い。
奥を見てみるが、間取りまでは分からなかった。
エントランスからそのまま二階へと案内され、それぞれ客間に案内される。
オヤジウス、高場、MOMOとジスエクス、莉亜、ブスジマタケコのグループに分けられてグループごとの部屋に案内された。
「あの、じいやさん。俺、見た目は女だけどさ、中身は……わかってるよね?」
レイジは確認するように訊く。すると、見た目は女性じゃないですか。と言われ、ほかに部屋はない
と言われた。
二人に訊くが、しょうがない、との返事が返って来た。
二人とも疲れているらしく、さっさと寝たいということだ。
ジスエクスのたちの部屋は三人部屋で、ベッドはきちんと三台ある。
丁寧にベッドメイクはきちんとしており、清潔だった。
レイジはアーマメントを解除したかったが、嫁入り前の女性が二人一緒の部屋にいることを考慮すると、それは憚られた。
部屋中央に置かれた小さなテーブルにはランタンが置かれ火が灯っていた。
誰か、支度をしてくれていた人がいるのだろうか?
女性二人は先にベッドに入った。
レイジもランタンの火を消し、同様にベッドに入る。
レイジは考える。
これからどうすればいいのか……。
前世の故郷があった世界。
CULOの狂ったプレイヤーキャラクター
じいや、が使用した。自分たちと同じようなプレイヤーキャラクターと似たシステムを持つ、武装仙甲外骨格。
「アーマメント……か。俺が生きていた頃、そんなものは見たことも聞いたことも無かった……なんだよこれは……」
まあいい……レイジは思索を止めた。レイジに睡魔が訪れたからだ。
ただひとつ、レイジが決意したことがある。
それは、身内を守ること。
昔のようなことは絶対にしてはならないと。
最低でも、莉亜だけは守って見せる。
それこそが新瀬家に転生したレイジが、今できる唯一のことだった。
20時から22時の間くらいを目指し更新したいと思います。




