世界相剋者のキルレシオ　―故郷への望まぬ帰還

体感型ＶＲＭＭＯＲＰＧ【ＣＵＬＯ】(カオス・ユニバース・ライブ・オンライン)
　一時は隆盛を誇ったゲームだったが、年数を重ねるうちに表面化していく運営の誠意のない対応や管理構造の問題など度重なる不祥事。
　さらには取り除かれないバグやゲームバランスの調整不足など、プレイヤーの不満が噴出し。
　遂にはプレイヤー離れが加速した。

　やがてサービス終了がアナウンスされ、サービス終了まで残り一か月を前にしたある日のこと。
　突如発表された告知。
【サービス終了記念！すべてのプレイヤーにありがとう感謝祭！！！】と題したイベント内容は、課金アイテムやレベルカンストまでの経験値をプレゼント等。異質なものであった。

　１年前まで友人たちと【ＣＵＬＯ】をプレイしていた高校生、【新瀬零司】は友人である桜野圭一の誘いで再び【ＣＵＬＯ】へと帰還する。

　そこで彼らを待ち受けていたのは異なる現実世界への招待だった。
　ＣＵＬＯのプレイヤーキャラクターの肉体とアイテムで武装した零司たちは、ひと昔流行った異世界転移小説さながらの状況を体験する事となる。

　「どうやって元の世界へ帰ればいいのか……ログアウトもできないし……あれ？できる？」

　夢にも思わなかった事態に皆が混乱する中、零司ただ一人……この世界に懐かしさを感じるのであった。