4年越しの夢
私はどうしてもサッカーワールドカップを現地観戦してみたい。だが、状況は簡単ではない。
実現させるためには3つの障害を越えなければならないのだ。
1つは私が会社役員であり、長期休暇が取りづらいこと。
2つは、現在1歳の娘がいて妻を置いていくことは難しいこと。
3つは旅行費用だ。そこまで貯金に余裕があるわけではない。
しかし私は決してあきらめない。
やるだけやってみよう。結果はこうだ。
仕事のスケジュールを逆算し、引き継ぎのないように済ませておいた上で、部下にも電話番号を教え、
後を任せることにした。
妻の実家に直接話をつけ、娘は妻と実家に預けることになった。
妻には他の機会に家族旅行することを約束し、必ず現地からも毎日連絡することを伝えた。
貯金については、これからも必要になる額を取り崩すことになるので妻は渋ったが、
長い目で見ればこの体験はプラスになるし、次の4年後に行ける保証はなく
後悔したくないこと、若い時からの夢であったことを精一杯伝えることで了解を得た。
まわりの理解があったからこそ、今回の現地観戦は実現した。この貴重な経験を無駄にしたくない。
家族の写真をスマホの壁紙に設定し、しばらく見つめる。
さて、これからパスポートを作ろう。
夢が叶う瞬間はいくつになっても世界を輝かせてくれる瞬間だ。