1主人と物語の朝は紅い日登りを見る
ーーとある一軒家
「 お父さん、お母さん、今日ねやっと結婚するのよ」
「‥‥」
「白いウエディングドレスとー赤いブーケと!」
恍惚とした表情で語る
「‥‥」
ブブブッバッ(光学迷彩がノイズを起こす音)
「誰だ!?」
振り返ると、ドライバーを持った半透明の人影が走って来た、首根っこを掴まれ
うつ伏せに部屋の床に押し付けられ、私の頭上から、振り下ろされるドライバーが空をさく音とともに聞こえた
「貴方はいらないわ」
ブシャッ びちびち ブシャ ‥
ーー槇野 暁(この物語の主人公) 宅
僕の朝は非常に忙しい。分単位に迫られながらもカラッカラの頭をもたげながら、スティックパンを一つ加えて野菜ジュースで流し込む。
「いってきまーす!」
「気をつけてねー!」
教室に入ると適当に後ろの席の奴に挨拶すると席に座る。僕のせきは窓から二列目、後ろから二列目の席だ。左後ろの席には黒川莉乃、容姿端麗、運動神経抜群のクラス中の憧れの的、いつも特に目立った行動はしない。密かな恋慕を抱いているが、特に友達といった友達がいない逆説的に冴えない僕には望みがないと感じる毎日を過ごしている。ー友達はこれからつくっていくんだからな!
「今日貴方空いてるかしら?」
肩まで伸びた黒い髪がふわりと僕の頰を擦り、前髪をとめてある紅いキラキラマークみたいなものが僕の額にヒヤリと触れた
「わ!わっ!」
「え?何の用かな?木村さん」
火照った顔を引きながら
電子端末によって映し出されている空中に浮いた半透明の2次元ブラウザを急いで最小化させる
「家よ」
ヌッと顔を引き上目遣いで言うーーはあ、どんな豪邸なんだろ、噂には聞いていたけど、っと言うか家!??
「もっと、嬉しそうにできないのかよ、暁ーお前は何も変わらねーな」
後ろの藤堂が腕を肩にまわしてきた
「藤堂さんもお誘いしてあるわ、あと黒川さんも」
「ふふ」
袖で口のあたりを少し隠しながら目を細めて笑う
ガラガラ
教室の前側の扉が音を立てて開く音がした、色の抜けた白く髪が肩よ少し下まで伸びて爽やかな面持ちの僕らの今期の先生、神白上戸、白いコートをたなびかせながら教卓につく
この時代特に先生という先生は必要ではなくなったのでほぼ形式的に存在する「先生」という職業は、この時代にはゴロゴロといる何かの成功者や哲学者ではなく、何か特別に突出したデータ化しにくい才能やカリスマ性やアブノーマルな感性などを持った者の中の国の機関に一般から選ばれた者たちが一時的につくものだ
先生は輝きをもった目を細め、椅子に深く座り、教卓の上で手を組み、顔に影を落とし喋り始めた
「孤独は誰もが抱える、いつだって孤独だ、だから僕はいつだって誰かを欲している、それ故にその誰かは僕を欲してくれるだろう」
ガタっ!
黄色いスーツで変なベルトを巻いて、耳の上にアンテナをつけた小柄な少年が叫んだ
「先生!やっぱりジョキッシュ星人は殺さないとダメなんですね!ジョキッシュ星人の悪巧みを阻止してやるぞ!」
そして普通に後ろの扉を開けて走って出ていった




