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一応、完結とします。

 まずはじめに。


 俺は世間知らずだ。流行の服だとか、流行のドラマやアイドルなどは、全く知らない。


 帝国新聞すら読まないので、今の皇帝の名前すらよく分からない。つい最近、現皇帝が病に倒れたとかは聞いた。それ以外は全く知らない。


 今までの俺に必要なのは、金と力だったからだ。


 俺は生きるのに最低限必要な情報しか仕入れてこなかった。それはこれからも変わらないだろうが、仲間たちのことについては調べようと思う。彼らが幸せに生きられるように。


 俺が皇帝の呼び出しを喰らったときは、遂にきてしまったか。というあきらめの心情しかなかったし、皇帝の治世とか、皇帝の名前とか、今の皇帝が病とかどうでもいいことなのである。


 俺に必要なのは、いかに犯罪者にならずにこの国から消えるかである。


 俺の両親はすでに俺の飛空艇に引っ越ししてもらった。ドックが完全に崩壊していた時は両親も驚いていた。俺は無理やり両親を飛空艇におしこめると、エリーシャに飛空艇を飛ばしてもらった。


 帝国上空を延々と遊覧飛行し、なんとか時間を繋いでいる。父親にはヴィーヴルに乗ってもらっている。完全回復したザイツが手綱を握り、ヴィーヴルのアクロバット飛行である。


 当然だが、両親には詳しいことは話ていない。


 俺が犯罪者にでも仕立て上げられたのなら、両親を拉致って逃げるのみである。すでに預金は全額引き出してある。冒険者ギルドに無理を言って、引き出してもらった。 


 姫様は助けたし、クライブも捕まえた。証拠も押さえたし、俺は大犯罪者にならないと思う。問題は、ドックを半壊させ、倉庫街の一部をめちゃくちゃにし、市民に怪我をさせたこと。


 とにかく俺は、何かあったら逃げる準備はしていた。


 ところが、皇帝の謁見の間にて聞いた言葉は。


「汝の働きに対して、帝国から褒賞を与える。汝は、帝国最強の剣となれ」


 …………? 俺の脳内はパニックルーム。口から幽体が飛び出しそうになる。


 ざわめく謁見の間。たくさんの騎士やら、お偉いさんがいる。皇帝の横にはアルティシア姫がニコニコとしながら立っている。


 皇帝は威厳ある髭を携え、玉座に座り、枯れた声で言った。


「そなたに、帝国最強の騎士号“インペリアルナイト”の称号を与える」


 さらにざわめく謁見の間。一人の男が皇帝に意見した。身なりからすると、宰相あたりかな?


「フェリオス様!! 何をおっしゃられるのです! この男には準男爵の位で話が着いたではありませんか!」


 まわりからもそうだそうだと声が飛ぶ。俺には準男爵もいらんけど。犯罪者にならないだけでいいです。俺は野放しでお願いします。


「今の帝国には、インペリアルナイトが空席である。帝国には冒険者クラスZがもう一人いるが、奴は渡り鳥。帝国に籍を置いているだけの男だ」


「それがなんだというのです! 決議を覆すおつもりですか!」


 宰相は声を荒げるが、皇帝は静かに喋り出した。


「もうすぐ。私は病で死ぬ。その時に帝国を支える力が必要である。貴殿らの話しにはもう疲れた。私は

貴殿らの言いなりになって決定を下してきたが、結局帝国は良くならなかった。奴隷が増え、子供が路上で餓死していると言うではないか。私は行ったことはないが、貧民街が出来ていると聞くぞ」


「そ、そんなことはありません! 孤児院は増えています!」


 宰相は反論するが、アルティシア姫が反論した。


「孤児院の子供たちが、闇市や闇奴隷で売られているのは確認済みです。それにクライブが戦争を始めようとしていました。私を傀儡にして結婚し、シティーコアを悪用しようとしていました。クライブからは、あなた方の名前があがっています。いずれ貴方は帝国裁判にかけられる。覚悟しておきなさい」


「そ、それは……」


 宰相は言いよどむ。何やら俺の知らないところで話が進んでいる。でもまぁ、今の皇帝は良いイメージがなかったのは確かなだな。元老院だか宰相だかのいいなりで、何も自分で決めないとか聞いたな。国民は宰相たちが悪いと知っているが、何もしない皇帝が一番悪いとも言っていたな。


「最強の冒険者マサトよ。お主が行動を起した結果、帝国の危険因子を捕まえることが出来た。お主には最高の褒賞として、インペリアルナイトの位を授ける。私が死ぬ間際まで、帝国の剣として力を奮って欲しい」


 皇帝はまだ50代と聞くが、その体はすでに80代の老人と言っても過言ではない。杖を突き、アルティシアに支えられながらようやく立った。


「インペリアルナイトとしての証し、宝剣ミストファルシオンを授ける」


 最初から用意していたのか、後ろに控えていたマリアさんが宝剣を持ってくる。小ぶりのショートソードだ。


「マサト。こちらへ。宝剣を授与します」


 アルティシアは俺に言うが、俺はというと。


「だが断る」


 きっぱりと断ってやった。


 場が、静寂に包まれる。


 皇帝の目が点になる。

 

 俺はやらかしたような感じになるが、間違った答えは言っていない。俺には、俺のやりたいことがある。


 帝国の剣? 笑わせるな。初代皇帝が築き上げた帝国がその程度で壊れるなら、壊れてしまえ。


 壊れた後で、みんなで直せばいいさ。その時は力を貸してやってもいい。俺じゃなくて、俺の仲間たちがな! 俺には無理だから!


 俺は一般人! 高額当選者! これ、忘れてはいけないぜ! インペリアルナイトだかになれるわけねぇ!


「マ、マサト? 何を言って?」


「断る! さっさと俺の冒険者カードを返してくれ! 俺は世界一周の旅に出るんだ! 帝国だけにいられるか!」


 犯罪者じゃないならさっさと解放してくれ!


 皇帝はよろよろと玉座に戻ると、ため息をついた。


「よもやこの場で断るとは。さすが最高ランクの男よ。胆が据わっておる」


 いや、膝はガクガクダヨ? 俺はハムスターの心臓より小さいぜ!


「マサトとやら、ならば帝国が加入する世界最強の騎士団、ワールドガードに推薦しておく。それで何かあれば、帝国の力になってくれんか?」


「ワールドガードですと!? 何をいっているのですか! それでは我らの立場が!!」


「黙りなさい! 貴方に発言権はありません!!」


 アルティシア姫が宰相にぴしゃりと言う。


「ぐ! 第二皇女如きが……」


 宰相は苦虫をかみしめたような顔をしているが、俺は言った。


「よく分からないけど、俺は称号なんかいりません。俺は、アルティシア姫とメイドのマリアさんが困っていれば、いつでも助けます。特にマリアさんは、俺たちと飯も一緒に食べた仲ですからね」


 俺はさわやかに笑う。キモさ爆発だろうが、俺の言葉にマリアさんは感動していたようだ。涙を浮かべて驚いている。


 俺には大局的な考えなど出来ない。狭い世界で生きているからな。仲間しか助ける余裕がないんだよ。


「ほっほっほ! ギルマスから聞いていた通りの男だな。仲間のためなら何でもするか。ならばマサト。お主に個人的な願いをしたい」


「なんでしょう」


「この私と友人となってほしい。本来なら言葉でいう物ではないが、私には友人がいなくてな。どうしたらよいのか分からんのだ」


 友人がいない。その言葉に皇帝の瞳が寂しそうだった。俺はこれも即答する。


「喜んで」


 俺は膝をつかずに、笑って答えた。




★★★




 俺は飛空艇で出発する準備をしていた。食料を詰め込み、医薬品を詰め込み、燃料と飛空艇の整備に必要な部品をたくさん詰め込む。


「カナル! 水は足りるか?」


「足りますよ。次の街まで飛空艇で20分ですよ?」


「そ、そうだったな」


 俺はまず次の街に行くんだった。そこで買い物して観光するんだった。それから国境へ向かうんだった。


「マサト。地図データはシルヴァリオンにコピーしたわ。あとはどうしますの?」


 エリーシャだ。相変わらず見事な縦巻きロールである。髪の維持はどうしているんだろう?


「君らの欲しい物があるだろう? 服とか化粧品とかは必要なんじゃないのか?」


 俺は金貨が入った子袋を渡した。


「いいんですの?」


「いいよ。皇帝にお金いっぱいもらったから。ただ皇帝の秘密回線は常に開いておいてくれよ。何かあれば皇帝のとこにすぐに行くからな。俺には空隙の探索者があるしな」


 一発で皇帝のもとに参上する。どこの英雄物語だと言いたくなるが、今の俺には距離が関係ない。行ったところなら一撃で到着できる。


「分かりましたわ。女の子たちに声をかけてきますわ」

 

 エリーシャは子袋を振り回しながらスキップしていった。


「カナルも行ってきなさい」


「でも……」


「いいから、準備は俺がしておく」


「はい!」


 カナルはエリーシャの後を追っていった。


 俺はそれから母さんがいる厨房にやってきた。


「あらマサト。どうしたの? ご飯はまだよ?」


 俺の母さん、キリエはご飯の支度をしていた。得意の豚の角煮を作っているようだ。俺は母さんの料理が大好物なんだよな。


「エリーシャに女性用品の買い出しを頼んだから、母さんも行ってきなよ」


「女性用品?」


「化粧品とか下着とかだろ? 俺は詳しくは分かんないけど」


「そう?」


 お玉を握り、母さんは優しい笑顔で微笑んだ。最近、魔力の高い魔物肉を食べるからか、20歳か30歳は若返った母さん。美人度が激増している。


 魔物肉を食べただけでは経験値は入らないが、大量の健康促進剤が含まれている。レベルの高い魔物だと、それが顕著に表れる。理由は不明だが、ダンジョンではなく地上にいる魔物ならば、人間も食べられる。


 今の母さんはとてつもないレベルで若返ってしまった。まぁ、ベヒーモスとかの肉食わせたからね。今まで両親に恩返ししてなかったし。


「今は角煮作っているから、あとで買うわ」


「分かったよ。その時にお金渡すね」


「ごめんねぇ」


 母さんの豊満な胸がぷるんぷるん揺れている。俺の遺伝子は巨乳好きらしい。父親からの遺伝だなこれは。


 俺は料理している母さんを見ていると、父さんがやってきた。


「マサト、ここにいたか。ヴィーは最高に良い飛竜だが、俺のドラゴンはいつ買ってくれるんだ?」


 父さんも若返っている。60歳近い体が、35歳くらいまでに若返っている。全盛期とはいかないが、剣術のキレがすさまじく上がったらしい。最近はザイツと剣で稽古をしている。剣術は父さんの方が上手いのか、ザイツは父さんのことを師匠と呼んでいる。


「旅の最初で行く街で買ってあげるよ。ドラゴンがいっぱいいるらしいからね」


「分かった。私は飛竜も良いが、力の強い地竜も好きだ。そこを頼むぞ」


 そう言えば俺の父さんは鉄竜騎士団の、地竜突撃隊のファンだったな。


「分かってるよ」


 父さんは自分の竜が欲しくて待ちきれない様子だ。子供のようにはしゃぐ父。夢が叶うのだから分からないでもない。そんな父の口から信じられない言葉が飛び出た。


「母さん。その、今日も、な?」


「え? 今日もですか?」


「い、いいだろ?」


「もう、仕方ありませんね」


 な、なに? 何の会話だ? 

 

「マサト! 私は母さんと話がある! 今日は部屋には入るなよ!」


「…………」


 マジか……。


 恐ろしい両親だな。若返ったら即行かよ。この年で兄弟はいらんぞ。俺がおじさんみたいになっちまう。


 俺は父さんたちと別れ、牧場部屋に来た。


 アイリちゃんやスライムたちが思い思いに過ごしているが、俺は繭になったダンゴ虫君の所に来た。


「お前はいまだに繭のままだな。いつになったら羽化するんだ?」


 俺は脈打つ繭に触れると『あひぃーん』と声が聞こえた。相変わらずである。


 心なしか、『あひぃーん』の声が高い。俺の魔力の質が上がったからかもしれない。


 まぁいいか。いずれこいつも飛び立つはずだ。俺のようにな。


『あひん』



★★★


 

「マサト、準備は出来ましたわよ」


 すべての荷物が積み終わり、準備が完了した。全員、所定の位置についている。今回は、狭いブリッジに全員がいる。俺の両親や仲間が全員だ。


「そうか、なら発進だな! シルヴァリオン、発進せよ!」


 相変わらず舵はエリーシャで、俺がオペレーターだ。威勢よく発進とか言っているが、これが現実である。


「行きますわ!!」


 飛空艇がふわりと飛び立つ。何度も行った飛行訓練で感動は少ないが、俺の夢がようやく叶うとなると、ここまでが長かったように感じる。


 上空まで上がると、帝国が一望できる。


 みんなは小さくなった帝国の街を見下ろしている。


「すぐに帰ってこれるさ。ここが俺の故郷だからな」


 飛行魔石が上昇気流を捉える。


 飛空艇は上昇気流に乗って、高く高く舞い上がる。


 まさかここまで来れるとは思わなかった。いろんな意味で。


 俺はみんなを見て、笑った。キモさ爆発の笑顔で、笑ってやった。





「みんな、行くぞ!!!」


  












★★★



「うぅ~マサトぉ~! 私との取引を忘れるなんてありえない! まだ私はマサトに願い事を聞いてもらっていない!」


 帝国の一室で、地団太を踏むアルティシア姫の姿があった。


「姫、お静かに」


 メイドのマリアが窘める。


「マリアだったら分かるでしょ? あの場でインペリアルナイトの称号を受け取らないと言うのは、私との約束を破棄するのと同じよ!? クライブからは助けてくれたけど、私の本当の願いは聞いてもらっていない!」


「姫様の願いとは?」


「私も冒険者になって冒険したいの!! ドラゴンに乗りたいの!!」


 子供のように喚き散らすアルティシア姫。


「何を言うかと思えば、そんなことですか」


 マリアさんはため息をつく。諦めなさいとでも言いたげな顔だ。


 貴方は皇族。何をばかげたことを。そんな顔をしているが、マリアさんが言ったことは全くの真逆だった。


「姫様。マサト様の飛空艇に繋がる、秘密回線があります。それでいつでもマサト様を呼び出したらよろしい」


「え?」


「マサト様は、どこにでも転移できるアーティファクトを持っています。あの方を縛るものは何もありません。姫様が望むなら、あの方はいつでも手を差し伸べるでしょう」


 マリアはとんでもないことを言い出す。仮にも姫に向かって、言う言葉ではない。


「で、でも。冒険だよ?」


「日帰りで冒険すればよいでしょう」


 日帰り? 


「マサト様はいつでもここに来れるのです。そしていつでも帰れるのです。日帰りでも冒険できるでしょう」


 アルティシアは何か違うと言いたかったが、とりあえずマサトが来てくれるなら何でもいい。


「どこなの! その秘密回線は!」


「ご案内します。こちらです」


 メイドのマリアはにやりと笑うと、アルティシア姫を連れて行くのだった。




 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 凄く面白かったです‼️続きが気になります‼️
[一言] 文章が酷いし誤字も多い。 でも面白い。 他の部分は後から付いてくる、面白いのがかけるのが一番大事な才能。 売れなければ速攻切るヒーロー文庫じゃなければと思いますね。
[一言] 35話の途中までは良かったが、その後は、話の流れがどこに行くのかさっぱりわからずに完結になっている。無理やり完結させたように思える。
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