表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/43

36

文章量が短いですが、切りが悪いので切らせていただきました。他、リザードマンのマチルダや、作者が忘れていたキャラクターの描写を、後で追加しときます。

「なぜ! なぜ! 貴様がここにいるんだぁ!!」


 腕を押さえて喚く黒い騎士。


「クー、あいつの相手を任せてもいいか?」


『いいで! 今はマサトのスキルが上がって大量の魔力が流れてくる! 絶好調や!』 


 ぴょんぴょん跳ねるクー。この調子なら少し任せても大丈夫だな。


 俺は倒れた仲間を見る。みんなは大丈夫なのか? まさか死んでないだろうな? 俺は廃墟と化したドックを見回す。


 エルザやザイツ、ヴィーヴルが倒れている。抉れた地面に吹き飛んだドック。かろうじて飛空艇は無傷だが、他にも仲間は怪我をしているかもしれない。


 俺の軽率な行動が、大惨事を招いてしまった。俺は胸が締め付けられる。


 俺はすぐにエルザに駆け寄ろうとするが、足元近くの泥の中にうごめいているものを見つけた。


 まさかと思い泥をかき分けると、スカベンジャースライムのスカーがグズグズになっていた。


 スクランブルエッグみたいにぐちゃぐちゃになってしまっている。


「きゅるる……」


「スカー!!!!」


 なんということだ。


 俺はすぐさまスカーを抱き上げ、携帯用のポーションを取り出す。


 ポーションボトルのふたを親指で吹き飛ばす。


 スカー死ぬな! 俺は助かってくれと、願いを込めてポーションをふりかけた。


 少しして、ぐちゃぐちゃのスカーは丸い形を取り戻し始める。


「きゅるる……」


 力なく、声を上げるスカー。なんとか一命は取り留めたらしい。


「カナル、すぐにエルザやザイツ達の治療をしてくれ。治療なら、セイントスライムがいるはずだ。多分飛空艇の中だろう。あの子を連れてきた方がいいかもしれない。あと、スカーを頼むぞ」


 俺は抱いたスカーを手渡す。


「分かりました。まずは手持ちのポーションをすべて使い、応急処置をしたのち、セイントスライムを連れてきます」


 俺は頷く。カナルは駆け出した。


「ぶーは俺とクーと一緒に、奴を倒すぞ」


「ぶぅ!!」


 力強いぶーの声。ぶーからは、かつてないほどの怒りと魔力を感じる。


 再び黒い騎士、いやゲインのクソ野郎に視線を移すと、クーが戦っているのが見えた。影魔法と闇魔法、さらには暗黒魔法の合わせ技でゲインをボコボコにするクー。数秒先の未来予測など、今のクーには全くの無意味。避ける隙さえ与えない、広域攻撃。


『ウチの最大魔法が連発できるやなんて、さいっこうに爽快や!! ウララララ!!』


「くそ! くそ! なぜここまでの大魔法を連発できる! シャドウスライムの内包魔力は少ないはずだぞ!」


 魔法を無詠唱で連発するクー。俺から大量の魔力供給を受けているのか、ガンガン魔法をぶっ放している。


 俺と言えば、さして体に異変はない。少しだるいかな? くらいである。スキル魔力操作極限は伊達ではないらしい。


「クー、俺がやる。奴とは俺が決着をつける。フォローがあれば頼む。ぶーもな」


「くー!」


「ぶー!」


 俺は新たに得た魔力操作と、空隙の探索者に魔力を込める。


「貴様ぁ! なぜここにいる! なぜだ! それにシャドウスライムのこの力はなんなんだ!」


 パニックになっているのか、刀をめちゃくちゃに振り回している。貧者の一刀も持っているし、真っ黒い鎧で体を隠しているが、やっぱりゲインで間違いないようだ。


「それはこっちのセリフだ。いろいろ聞きたいことがあるが、とりあえず殴らせろ」


「ふざけるな! 空隙の探索者よ!j


 ゲインは俺を転移させるつもりのようだが、無駄である。


 俺の手には本物がある。本物の空隙の探索者が。俺は微量の魔力でゲインの転移を防いだ。


 ガラスが砕けたような音が響き、魔法がキャンセルされる。


「ば、ばかな……。なぜ貴様がそれを」


 ゲインが信じられないような目で俺を見てくる。


 俺は空隙の探索者を使用し、短距離移動。空間を飛び越えて、ゲインの背後に回り込む。回り込んだと同時にパンチをお見舞いする。


 ゲインは錐もみ状態で地面に激突。衝撃で地面が抉れ、隕石跡のような状態になる。


「ぐはぁあ!!!」


 俺の魔力を纏った拳は、まさに鎧袖一触。


 ゲインの鎧は一撃で砕け、大量の血を吐いた。腕や足もあらぬ方向に曲がっている。拳の衝撃波が全身を砕いたようだ。


 ゲインは地面に仰向けに倒れ、俺を見る。


「一体、……貴様はなんだ。なぜ急に貴様のような人間が現れた。私の鑑定スキルでは、こんなことは……。今までは、いなかったはずだ。なぜだ。貴様は、何者だ」


「何者って言われてもな。ただの高額当選者だ」


「ふざけるな……」


 ゲインは諦めたような瞳をする。


「理不尽ついでに言っとく。お前の主、クライブだが、帝国に捕まったぞ。メイドのマリアさんが姫様を回復させたんでね」


 目を見開いて驚くゲイン。


「“本物の”空隙の探索者で、城に行ったのですか? しかもアルティシア姫を助けているとは。ふあはは。マサト、貴方は、化け物ですか? おとぎ話の初代皇帝よりも理不尽だ」


 力なく笑うゲイン。諦めたのか? 悪いけど、俺の虫の居所は収まってないぜ。


「知らんが、もう一発行かせてもらうぞ。俺の気が済まんのでな」


 俺は倒れたゲインにとどめの一撃を喰らわせようとするが、奴の体が黒い水に飲み込まれる。


「な! なんだ!?」


 ゲインの周りに黒い水が染み出てくる。明らかに危険な水だ。瘴気を発している。


『マサト! 離れるんや! それは冥界の呼び水っちゅう、神級魔法や!』


 なんだそれは。聞いたこともないぞ。


「カオス様がお呼びのようだ。私はお役御免のようです。では、さらばですマサト」


 なんだと? ゲインを包むこの黒い水はなんだ?


 俺はゲインに攻撃を仕掛けようとするが、クーに止められる。触れると危険な水らしい。


 ぶーが触れないと分かると、重力魔法を発動させる。ゲインの周りに、局所的に数十倍の重力が発生する。それでも黒い水に包まれたゲインには効果がない。


「ぶぅ……」


「グラビトンスライムですか。なぜあなたのような存在がここにいるのか。完全に私のミスでしたよ。すごいスライムたちですよ。まったく」


 敵に賞賛を送るゲイン。


「マサト。私は貴方の奴隷たちが羨ましい。私も貴……」


 ゲインは喋っている途中で、黒い水の塊になってしまう。その後黒い水は真っ黒い霧となって霧散した。


 ちくしょう。ゲインを取り逃がした。仲間をここまで痛めつけられているのに、ゲインを捕まえられなかった。俺はやっぱり最後まで詰めが甘いらしい。最初からぶーの重力魔法で拘束しておけばよかった。俺が怒りのままに殴りつける必要はなかったんだ。


「くそったれ……」


 何もかも消化不良で、この戦いは決着を迎えた。


 後日、俺は城に呼び出しをくらった。ちなみに、魔牛のアイリちゃんは城の牛舎で一人さびしく俺を待っていた。ごめんよアイリたん。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ