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24

ドラゴンがつがいで欲しいという描写を変更。ただドラゴンが欲しいと変更。他、矛盾を修正予定。魔物商会にはランドドラゴン以外もいます。22話の話しではランドドラゴンしかいない風に見えますが、違います。後で修正します。

 竜舎に来たが、今は俺とピルグの二人だけだ。


 カナルとスライムたちだが、一足先に帰ってもらった。スライムの世話で買う物があるだろうし。


 竜舎だが、この商会で一番巨大な建物だった。


 それは巨大な塔のようである。まっ白く、一見すると灯台にも見える。


 竜舎に入ると、一階部分は厩舎(馬小屋に近い)なのだが、2階部分から違う。


 竜舎は巨大な円筒形となっていた。


 円筒形の竜舎は、最上階までが吹き抜けになっていた。上を見上げると、ガラス張りの天井が見え、そこからは青空が見えた。


 俺は吹き抜けになった塔を見上げ、一言呟く。


「すげぇ」


 塔の中を、竜が飛んでいた。螺旋を描いて、俺の上を飛んでいたのだ。圧巻である。


「ここが我が商会最大の売り。竜の巣です」


 竜の巣だと?


 おいおい。ランドドラゴンだけじゃないのか? 飛竜もいるぞ。


「マサト様。帝国の市民として、失礼とは思いますが伺います」


「なんだ?」


「ワイバーンは国の管轄というのはご存知ですよね?」


 国の管轄? え? ちょっとまて。確か一般人でも飛竜は買えたはずだが。


「そうなの?」


「ああやはり。聞いておいてよかったです。やはり勘違いされていましたか。ワイバーンは国の管轄。他の飛竜種とは別です」


「他の飛竜種は良いのか?」


「問題があります。まず懐きません。捕まえても、ワイバーン以外は飼えないでしょう」


「ワイバーン以外は懐かないのか? 飼うのは難しいってことか?」


「そうです。ワイバーンが国の管轄なのも、人間に懐きやすいからです」


 そうだったのか。ドラゴンには憧れていたが、雲の上の存在だから、あまり知らなかった。


「鉄竜騎士団をご存知ですよね? 初代皇帝が創設した騎士団です。あのワイバーンは我が商会のものです」

 

 へぇぇ。結構すげぇんだなこの商会。竜が売りだったか。スライムじゃないのね。


 ああそういや、竜で思い出した。

 

 この前ザイツが空を見上げていたな。


『ワイバーン。オレノアコガレ。“ドラグーン”、ユメデス』 


 遠い目をして、ザイツはワイバーンを見ていたな。


「一応聞くぞ。俺なら飼えるか? どうだ?」


「マサト様に限らず、誰でも難しいでしょう。一応、ワイバーンに次いで懐きやすい“ヴィーヴル”はいます」


 ヴィーヴル? よく分からんが、そうか。憧れだけでは難しいんだな。


 父さんが門番で一生を我慢しているのも、鉄竜騎士団に入れなかったからかもな。父さんは意外と剣が上手い。兵士班長の名は伊達じゃない。兵士になった以上、ドラゴン好きの父さんが、鉄竜騎士団を目指さないわけがない。


 多分、才能がなかったんだ。


「マサト様、ランドドラゴンを見ませんか? 一階にいますので」


 ピルグは、ワイバーンを見続ける俺にランドドラゴンを勧めてくる。


「ランドドラゴンは大人しく、タフです。マサト様にお勧めですよ」


 おいおい。優雅に飛ぶ竜を見せておいて、地竜だと?


 こいつ、狙ってやってんのか?


「飛竜を見せろ。ワイバーン以外にもいるんだろ? 人間に懐かない奴でも構わない」 


 ピルグは俺の言葉に苦笑した。


「そう来ると思いました。だから最初に飛竜を見せました。我が商会に、お見せしたい暴れ馬がいます。もしかしたらマサト様なら手なずけられるかも」


「そいつはどこにいる?」


 俺は不敵な笑みを浮かべた。



★★★



 そいつはいた。倉庫の奥にひっそりといた。


 ヴィーヴルという種だ。ワイバーンよりもずっと大きい。三倍以上ある。コウモリの翼に、鋭い鉤爪。ワイバーンよりも邪悪な顔つきをしている。


 ヴィーヴルは頑丈な鉄格子に入れられ、両翼と両足を鎖につながれていた。


「こいつは怪我をしていてここに来ました。怪我が治ってから買い手を探したのですが、見つかりませんでした。赤字ではありますが、こいつはもう野に放とうかと思っています」


 そうか。怪我をしていて捕まったのか。殺されずに済んだのは、ヴィーヴルだからか? 冒険者なら素材を取るのに殺すからな。


 俺は鉄格子に少し近づく。


 するとヴィーヴルは「グルルルル」と唸り声をあげる。


 おお、すげぇ唸り声だ。めちゃくちゃ怖いぞ。


 ハイヒューマンになったからと言って、俺がこいつに勝てる保証はない。本当に飼えるか様子を伺おう。


「もっと近づくぞ」


「ええ。私は無理ですが」


 おい。お前は魔物使いじゃないのか。ここの商会のトップとして、それはどうなんだ。


 よく見ると、ピルグはガクブルで冷や汗を垂らしている。体臭がすごいことになっている。


「ピルグはここにいろ。行ってくる」


「死なないでください」


 縁起でもないこと言うな! この豚!


「グルルルルルル」


 お前はお前で唸るなよ。怖いだろ! 


 俺は鉄格子のすぐそばまで来て、手を伸ばせば触れる距離まで来た。ヴィーヴルは俺を見つめて唸ったままだ。


「お前が欲しい。一緒に来ないか? お前に乗りたがってるやつがいるんだ」


「グルルルルゥウウウオオオ!!!」


 うお! すげぇ声! 突然吠えたぞ!


「グウオオオオオ!!!」


 俺が気に食わないのか吠えまくるヴィーヴル。そしてそれに恐れるピルグ。


「ひぃ!」


 情けない叫び声を上げるピルグ。彼は俺の遥か後ろで尻もちをついていた。


「グオオオオオ!!」


 これはとんでもない咆哮である。拘束している鎖がちぎれそうだぞ。


 もしかして拒絶されたかな?


「どうしてもだめか? 大空を飛びたがってる奴が、二人ほどいるんだが」


「グルルルルルル」


 俺を睨んだまま唸っている。こりゃ無理かな。ワイバーンは知らんが、こいつは完全に野生だ。人間が従えられる生物じゃない。ワイバーン以外が売れない理由、分かったよ。


 分かったけど、諦められない憧れってのもあるんだよ。


 今、俺は夢を次々に達成している。お前もその礎になってもらうぞ。


「マサト様! やはり人間に手のおえる代物じゃありません! 怪我をする前にこちらへ!」


「人間には手におえない? 人間ねぇ」


 面白れぇな。


 ちょうど俺は人間じゃない。


 ハイヒューマンだ!


 元ごみ処理業者舐めんなよ!


「ピルグ!! 鎖を解くぞ!! 離れろ!!」


「…………は?」


 俺はピルグの返事を聞かぬまま、体に力を込めた。今の俺ならこの程度の鉄格子、破壊可能だ。魔力操作も少しずつ出来るようになっている。なんとかなる!


「解放するが、暴れるなよ!!」


 俺は魔力を込めた手刀で、鉄格子をたやすく破壊。ヴィーヴルの拘束を解く。


「グウオオオ!!」


 ヴィーヴルは拘束から解き放たれる。羽根を広げ、自身の体を確認している。その後俺に視線を移すと、「グルルルル」と唸ってくる。


「もう一度言うぞ! 俺についてこい!」


 俺も内心ガクブルだ。本来ならこんな化け物、俺が倒せるわけがない。本来なら。


「マサト様! ブレスが来ます!」


 なに? 遥か後ろで物陰に隠れ、ピルグは俺に言った。


 直後、ヴィーヴルの口から火炎弾が吐かれた。俺の体よりデカい火炎弾だ。直撃したらただじゃ済まない。


 俺は火炎弾を避けようとするが、後ろにいるピルグに当たる。避けられん。ならば!


「うおおおおおお!!」


 俺は全身に魔力をみなぎらせ、火炎弾に突進。蹴りを喰らわせた。


「オラああああああ!!!!」


 蹴りを食らった火炎弾は爆散。倉庫に火の粉が飛び散った。


「ひぇぇぇえええ!!」


 ピルグが慌てふためいている。


「こうなりゃやけだ! 喧嘩で勝負を決める! 行くぞ駄竜!」


「グオォ?」


 よく分かっていないヴィーヴルに、俺は突進。体格差は歴然だが、俺のレベルは伊達じゃない。多分ドラゴンのレベルを超えている。


「オラ!」


 俺は結構本気で殴った。ドラゴンのどてっぱらに。


 するとどうだ。何百キロとあるヴィーヴルが、吹っ飛んでいくではないか。地面と平行に壁まで吹っ飛んでいくヴィーヴル。壁に激突して、血を吐いた。


「グオオオオオ!!」


 やべ。やり過ぎた。まさかここまでの威力が、俺の拳にあるとは。


 壁に激突したヴィーヴルはまだまだ動けるようだが、俺を見て大人しくなった。


 お? いけそうか?


「もう一度言う。俺と来てくれないか? どうしても嫌だってんなら、空を飛んで故郷に帰れ。追わん」


 ヴィーヴルは俺をじっと見ている。これは行けるか? 喧嘩後の和解ってやつだ。


「グゥオ」


 ヴィーヴルは俺に向かって頭を下げてきた。


 やったぞ! 案外いけるもんだ!


「グルルル」


「ふふ。これでお前も俺の家族だ」


「す、すごい」


 ピルグは腹の贅肉をタプンタプンと揺らし、俺に驚いていた。



★★★


 俺は飛空艇に帰った。


 ヴィーヴルに乗って。


 飛んで帰って行ったら、当然みんなが驚いた。ドラゴンが攻撃してきた! 襲撃だ! などとエルザが騒いでいた。


 俺がヴィーヴルから降りて、「ただいま」というと、リザードマンのザイツが走り寄ってくる。


「王よ、マッテイマシタ」


 と、訳の分からん単語を吐いた。


 ザイツは俺を見て、泣いて喜んでいた。

   



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