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1.5

 俺の子供時代はパッとしなかった。青年時代になってもパッとしなかった。


 父親は公務員で、兵士。兵士班長という役職だが、実のところただの門番である。

 

 あなたのお父さんはどんなお仕事してるの?


「門番」


 それ以外応えようがない。シュールである。


 母は織物のパートさんである。毎日、織り機でガシャコンガシャコンと作業している。美人だが幸薄い顔をしている。何とかしてあげたくなるような人だ。


 両親ともに健在で、健康。俺は何不自由なく育った。


 特に俺の心が荒んでいたり、ひねくれてもいなかった。普通の少年であった。


 ただ、子供の時から、特殊な性癖であったのは確かである。獣人さんの尻尾や耳を触ってみたかったり、リザードマンさんのすべすべの肌をなでてみたかったり、アラクネさんの糸に絡まれたかったりした。


 人間の女性も大いに興味があったが、他種族にかなりの興味があった。


 エッチなことだと子供ながらに分かっていたので、親には言わなかった。ただ、隣の家のミノタウロスの奥さんからは、たびたびお乳をもらっていたことは内緒だ。


 お乳が張って大変なの。飲んでくれない? と言われれば、誰だって飛びつく。子供なのを良いことに、直のみさせてもらってのは、いい思い出である。

 

 とまぁ、子供から変態だったのはさておき、普通な俺には野望があった。不可能に近い野望が。


 飛空艇で世界一周だとか、毎日美女に囲まれてグータラしたいとか、誰もが思うようなことは当然ある。


 俺の小さな夢。それは。


 奴隷を購入したいことである。


 俺の好みの奴隷を集めて、自分だけの軍隊を作ってもいい。俺だけの軍隊。最高。


 しかもそれは人間だけではない、さまざまな種族が入り混じる部隊だ。種族による差別など、俺にはないし、させるつもりもない。すべての垣根を超えた、俺だけの〝仲間”が欲しかった。


 昔は、よく夢想した。いつかこんな奴隷が欲しいな。いつか買いたいな。


 もし俺に金があればあの子を買おう。飛空艇も買って、一緒に旅をするんだ。


 よく、夢想した。


 俺は、金さえあればしたいことが出来るのになと思っていた。


 金さえあれば。


 俺は、宝くじを買うことを欠かせたことはない。いつか当たるんじゃないかと思って。


 少ない資金で企業とか、博打とかするタイプじゃない。俺は普通なんだ。宝くじで夢想するような、普通の男なんだ。


 だから。宝くじで当たったら、俺が何をするかなんて決まっていたんだ。


 え?


 分かるだろ?


 奴隷を買うんだよ。

 


 

 

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