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13

 俺は王都の雑貨屋で軽食を買って、食べた。深夜だと言うのに、結構冒険者が店内にいた。ここら辺は治安が良いのだろう。女性の姿も見受けられる。


 俺は軽食を食べ、満月の下をゆっくりと散歩した。それにより心はだいぶ落ち着き、これからのことを良く考えられた。まだ、隠居するには早いな。


 俺が飛空艇に戻る頃には夜明けになっていた。


「みんなの朝飯を作るか」


 俺は飛空艇に備え付けてあるキッチンに向かった。


 冷蔵庫を開けると、たくさんの食材が詰まっている。リザードマン達が買いまくったらしい。肉類が中心にいっぱい入っている。


 朝だしな。軽いものでいいだろう。


 コーンポタージュと、ベーコンエッグを作ろうかな。一応、パンケーキも作ろう。


 みんないっぱい食べるからな。俺が作らないとまずい飯が出るからな! 


 俺はすっかりにぎやかになった食卓を思い、笑顔で飯を作った。

 

 夜が明けて、みんなが起き出す頃、俺はダイニングテーブルに朝食を用意し終えた。


 一番初めに現れたのはカナル。なにやらそわそわしており、俺を見つけた途端、半泣きである。


「マスター!! ここにいたんですか!! 起きたらいなくて! もう! もう!!」


 カナルは俺の頭をポカポカ叩いてくる。ちょっと前なら、ポカポカじゃなく、ドカンドカンという威力だったが、レベルが上がった今は痛くもかゆくもない。


「はは。ごめん。起きちゃってさ。みんなの朝飯を作ってた」


「無理しないでください!! 体が造り替わったばかりなんですから!」


 体が造り替わった。そうか。カナル達は知っているのか。


「そうだ。あれからどうなったんだ?」


 あれから。


 確かにどうなった。リッチやダンゴ虫はどうなったのだ。確かにリッチは倒したが。


「あれからは、マスターが言っていたダンゴ虫を持ち帰りました。リッチは死骸の中から使える物を持ち帰りました。そういえば、ダンゴ虫の子はとてもおとなしくて全然暴れませんでしたね。連れて帰って来る時もご飯さえ与えていればついてきてくれました。ただものすごいご飯を食べます。だから毎日餌代が大変かかります」


 そうか。ダンゴ虫がいるのか。


「どこにいるんだ?」


「牧場部屋にいます。魔牛のアイリちゃんと一緒に餌を食べてます」


 おお。俺の愛牛アイリちゃんと一緒か。ずいぶん大人しいんだな。牛を襲わないのか。後で見に行こうか。


「後、マスターが寝ている間に、ミノタウロスさんとエルフさん、竜人のエルザさんが来ました。今は仮の部屋で寝泊まりしています。どうしましょうか?」


 あれ? もう来たのか?


「マスターは一週間以上寝込んでいたんですよ。お気づきじゃなかったですか?」


 え? そんなに寝ていたのか?


「はい。毎日うなされていました。本当にどうなるか心配で心配で」


 カナルはウルウルしだして、終いには泣き出した。


「マスターが死んだら私たちはバラバラになってしまいます!! 絶対に死なないでください!!」


 カナルは大泣きして俺に抱きついてきた。

 

 ああそうか。そうだったな。


 俺は奴隷たちの主人だ。


 俺が死ねば彼らは、また奴隷商館に戻ってしまう。そうなればまた、ひどい扱いを受けるかもしれない。商館にいるうちは安全だろうが、奴隷を家畜として扱うような奴が主になれば。


 考えなくても分かる。彼らは簡単に死んでしまう。


「ごめんな。心配かけたよ」


「うううううう」


 こんなに小さかったけ? 俺はカナルが少女に見えた。とても大きい竜人なんだけどな。


「おーおー、朝からお熱いことで」


 ダイニングに竜人のエルザが現れた。奴隷商館にいた時と変わっていない。ふてぶてしい顔だ。


「済まないな。買ったばかりなのに不安にさせて」


「その通りだよ。まったく。ここに来てみれば、死にかけているっていうじゃないか。焦ったぜほんと。もしお前が死んだら、殴ってでも生き返らせるつもりだったからな」  


「ははは、そりゃすまんな」


「ウモー。ご主人様、起きたのですか?」


 エルザの後ろからぞろぞろと牛人が現れる。俺が買ったミノタウロス達だ。おお! 可愛いな! 俺は牛が大好きだからな!!


「そうだ。すまんな。これからは気を付けるよ」


「まったく、その通りですわね」


 ん? 俺の背後から声が。ずいぶんと声が高いな。


「私を買っておいて、いきなり死にかけるとは何事ですの?」


 縦巻きロールのお嬢様が立っていた。


 だれだっけ? うーんと。


「私を忘れたんですの!?」


「思い出した。エルフのエリーシャだ」


 ああそうだった。この子がエルフの飛空艇乗りだった。


「まったく!! なんて主ですの!?」


「ごめんな。よろしくな。それと俺がマサトだ。普段はマスターと呼んでくれ」


「ふん」


 ツンデレか、このお嬢様エルフは。


 しかしずいぶんと大所帯になっちまったな。少し狭くなった感じがする。


 少し多めに作ったが、朝飯足りるかな。


「それより飯食おうぜ。リザードマン達がヨダレ垂れしてる」  


「マスター! メシ!!」


「メシ」


「メシ!!」


 ははは。こいつらもいたか。よし食うか。


「食べようか。カナル」


「ハイ!!」


 カナルは元気よく返事をした。


 あーあ。すっかり俺はマスターだな。俺はしがない一般民なんだがな。みんなを統率する主って器じゃないんだがな。


 でも俺が始めたことだからな。最後まで面倒を見なけりゃな。


「んじゃ頂きます」


「「「「「「「「「「「「「「頂きます!!」」」」」」」」」」」」」」

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