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7.5

 竜人のエルザがなぜ俺にパンチをしてきたか、それは教えてくれなかった。 


 彼女が自信を危険にさらしてまで俺に攻撃してきたのは、何か重大な理由があったのかと思ったが……。


 ロイドいわく、エルザは戦闘狂であるとのこと。拳を受け止めたカナルからは、エルザはプライドが高いと感じたとのこと。そして拳を避けた俺からは、彼女が主人を選んでいたように感じたことだ。


 奴隷であっても、何らかの矜持がエルザにはあったのかもしれない。それがあのような行動になったのだろう。


 契約すると宣言してから、エルザは途端に大人しくなり、俺を見てニコニコしていた。そのニコニコ顔は、これからどんな面白いことを見せてくれるんだと言っているように感じた。

 

 ミノタウロスと竜人を一気に契約した俺は、最後の飛空艇ドライバーに会うことになった。


 話していたエルフの奴隷だ。名前はエリーシャ。細身で、可愛らしいお嬢様風の女の子だ。飛空艇の運転技術は高いとのことから、俺はさして彼女の人間性を気にしていなかった。実はそれが間違いであった。


 ロイドが部屋に連れてきたエリーシャは、俺の予想と反するエルフだった。


「貴方が私の新しいご主人様ですの? まぁまぁ、なんて貧相なお顔ですこと!」


「…………」


 エルザといい、エリーシャといい、個性的な子がそろっているな。この奴隷商会は質が高いのか悪いのかどっちなんだ?


「なんとか言いなさい一般庶民!」


「あの、一般庶民とは?」


 俺は彼女に聞いてみた。


「私はエルフの貴族出身ですの! 頭が高いですわ!」


「…………」


 言葉がでねぇよ。そんなことよりも、貴族とかエルフの間であったんだね。


「なんとか言いなさい! 一般庶民!」  


「こら! 主となられる方に、なんて口のきき方だ! あれほど奴隷学校で教えただろう!!」


 ロイドがエリーシャを窘める。ロイドは奴隷学校と言っていたが、そんな学校があるのか。


「私を洗脳しようだなんて不可能ですわ。あんな教育は私には通じませんことよ?」


 ロイドは頭を抱えている。俺も抱えたくなった。


 カナルは俺の後ろに控えて、値踏みするようにエリーシャを見ているが、何も言ってこない。


「カナル。君から見て、エリーシャはどう思う?」


「そうですね」


 カナルは顎に手を当て考える。


「心は高潔で、清純だと思います。魔力の色がとても澄んでいます。プライドが高いようですが、マスターの優しさに触れればきっと彼女も分かってくれると思います」


 うん? 何を分かってくれるんだ? 意味深なことを言うカナル。


「それで? エリーシャは飛空艇の操縦はうまいんだよな?」


 俺がそう聞くと、エリーシャは何か苦虫をかみつぶしたような顔をしている。俺を見て歯ぎしりしている。おいおい。なんだよ? 睨むなよ。意味がわかんねぇぞ。


「私に敬語を使わないのは、まぁ、赦しましょう! 主人ですからね! ええ!! 私は操縦技術はうまいですわよ!!」


 敬語かよ……。それで睨んでたのか。


 キャラが濃いなぁ……。俺はロイドに違う子とチェンジ! と言いたくなった。


「マサト様、申し訳ありません。私どもの教育が不十分だったようで。エルザ共々申し訳ありません」


 ロイドが深く頭を下げてくる。俺は頭を下げられても困ると思ったが、見ないことにした。


「面倒だ。彼女も俺が面倒を見よう。少しくらいにぎやかな方が、人生も楽しいさ」


 俺はロイドに彼女とも契約することを伝えた。その言葉に、エリーシャは「良い物件を買ったわね!」と声高らかに言っていた。だからなぜお前は俺より偉そうなんだ……。


 とりあえず、今回の奴隷購入は終了した。




 

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