物語は生きている
この小説は、ピラミッドのように積み重ねていく。
この小説だけではない。僕が書く全ての小説は、そうなっている。
1つ1つは小さな塊。それらが集まって1段を形成する。さらに、それらが何段も何十段も積み重なって、1つの建造物を造り上げる。まるで、ピラミッドのように。
世界とは、そういうもの。
1人1人はチッポケな存在。1つ1つは小さな情報。
それらをバラバラに見て判断している内は、よくわからない。そうではなく、総合的に判断しなければならない。そうするコトで、世界の全体像が見えてくる。
歴史も、また同じようなもの。
1つの事件や、1人の人生だけを見ている間は、よくわからない。そうではなく、流れを読むのだ。そうするコトで、歴史全体の意味を見出せるようになってくる。
1文字1文字が集まり、1つの言葉を形作る。
1語1語が集まって、1つの文を作り上げる。
1文1文が集合し、1つの段落となる。
1段落1段落が重なって、1話を形成する。
それらは、やがて、1冊の本となるだろう。
1冊で終わらなければ、2冊、3冊…どこまでも増えていく。
そうやって、1つの作品が完成するのだ。
さらには、それらの作品同士がつながり合って、物語の世界を創造していく。
僕の生み出す小説は、決してバラバラではない。一見しただけでは、そう見えてしまうかも知れない。そう思うかも知れない。けれども、それらはどこかでつながっている。
1つの物語は、1つの世界で終わりではない。全ての物語が、どこかで密接に絡み合い、関係を築き合っている。
そうして、そこから新たな物語が誕生する。
小説は無機物ではない。生きているのだ!
魂の震えを感じるか?その心音、鼓動を感じるか?
ならば、わかるはず。小説とは生き物であると。
そうやって、物語同士が出会い、子供を産んでいく。
無限に物語は広がり続ける。