延長戦に入って
「ニートでチートな勇者アカサタが異世界に転生してハーレムを形成しつつ世界を救ったり滅ぼしたりする物語」
この作品は、第1部で世界を広げ、第2部で歴史を掘り下げていくつもりだった。
ま、ある意味で、それは上手くいったと思う。ただ、第2部に関しては、思うようにいかなかった部分もある。あまりにも手を広げ過ぎたために、細かい部分にまで手が回らなくなってしまったのだ。
本来ならば、これ、第1部の登場人物たちが第2部で再登場し、歴史を構築していく手伝いをしていくはずだった。そうやって、物語を深めてくれるはずだった。
でも、残念ながら、そうはならなかった。世界を深める代わりに、より広げてしまったのだ。第1部とは別の意味合いではあるけれど、広げる方向に力を注いでしまった。それゆえに、深める方向にまでエネルギーが回らなくなってしまったのだ。
完全にエネルギー切れ!ガス欠!!
ただ、思っていたのとは別の形として、いい作品にはなったと思う。そういう意味では、後悔はしていないし、満足もしている。
*
さて、第3部以降である。
ここから先は全く別の世界。これまでの世界を飛び出し、主人公のアカサタも、新しい人間として生まれ変わる。時には、人間ですらなかったりもする。
そうして、世界ごとに物語はリセットされ、最初からやり直し始める。ただし、アカサタの能力は残り続ける。以前の世界で学んだ経験が、ほぼそのまま利用できる。まさに、タイトル通り“チート”である(このチートという単語に関しては、今後、他の意味合いでも使われていく)
「あまりにも強過ぎるし、便利過ぎるので、どうしようか?」という問題が生じたくらいだ。無敵過ぎる能力は、物語を壊してしまう。ストーリーが、それ以上進まなくなってしまうので。
それに関しては、「能力は持っていても、よほど必要な時が来ない限り使用しない」というコトで、ほぼ解決した。これで、サクサクとストーリーが進んでいくようになった。
この辺は、バランス感覚が必要なので、経験をこなしていくしかないだろう。あまりにも能力を使い過ぎてもつまらないし、使わなさ過ぎてもつまらない。この辺の絶妙な感覚が必要。
*
第3部以降に話を戻そう。
ここから先は、いわば“延長戦”だ。何をやってもいいし、何もしなくてもいい。もはや、どこで終わらせてしまっても構わない。「飽きたら最終回にする」そのくらいのつもりでやっている。
この物語を始める時から、そういう予定でいた。第1部で世界を広げ、第2部で世界を深める。そうして、第3部からは、さらなる異世界へと飛び出して、新しい冒険を始める。飽きたら、終わり。どのタイミングからでも、すぐに最終回に持っていけるように、基本的な設計は終わらせてある。
第3部では、“男だけの世界”と“女だけの世界”をやった。
第4部では、“猫の世界”を。
現在進行中の第5部では、“お金持ちの世界”というのをやっている。
どれも、大きな流れ自体は作っておいて、それ以外の細かい部分は、その都度考えながら書いていっている。なので、ストーリーは紆余曲折を経て、手探り状態で書き進めている。
正直、「失敗だったかな?」と思う部分もある。けれども、大きな流れ的には決して間違ってはいない。そういう自信がある。
もうどうしようもなくなったら、終わらせればいい。なので、気持ち的には非常に楽だ。
今のところ、順調に筆は進んでいるし、もうしばらくこの物語を続けてみようと思う。