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僕は、小説を書いていて、ムチャをやる

 僕は、小説を書いていて、結構ムチャをやる。

 普通の人だったら、「絶対にやらないだろう!」という展開に、いきなり持っていってしまったりする。


 たとえば、今回の「勇者アカサタ」である。

 これ、どういう小説かというと…

 基本的にはファンタジー。剣や魔法の世界を舞台にして、魔物を退治していく。最終的な目的は“魔王を倒すコト”と、なっている。

 ま、王道といえるかどうかはわからないけれども、基本線としては、いわゆる“ファンタジー小説”から大きく逸脱いつだつしてはいけない…はずなんだけど。それを、平気でやってしまう。

 ファンタジーの世界であるはずなんだけど、突然、ミュージカルが始まってみたりする。芸術の話に飛んでいったり。労働問題とか、社会問題を追求し始めてみたり。


 こんなコトをやったら、読者が離れていってしまうに決まっている。ヘタをすれば、小説自体がブッ壊れてしまいかねない。

 普通だったら、こんなコトはしない。倒すべき敵がいるのだから、そちらを優先するだろう。あるいは、新しい敵を用意して、それらをバンバン倒していくストーリーにするに決まっている。

 その方が爽快感があるし、読者も喜んでくれるだろう。きっと、読者数も増え、ポイントも獲得できる。


 けれども、僕はそうはしない。あり得ない展開を、いきなりはさむ。平然とそれをやってのける。むしろ、やらなければ、心が冷めてしまう。そうして、続きを書く気を完全に失ってしまうのだ。


         *


 では、なぜ、そのようなコトをやるのか?

 今回は、その理由と効果について説明したいと思う。


 一番大きな理由は、“そうしないといけないのだ!”と心の底の声が叫ぶからだ。

 でも、それだけじゃない。


 もしも、あり得ない展開に持っていかなかったとしたら、どうなるか?それを考えてみよう。

 それは、言い換えれば、平凡。ありきたり。普通。誰にでも書ける。それなりに、読者うけはするだろうけれども、どこかで限界が生じてきてしまう。壁を作ってしまう。そういう小説だ。

 小説家としても、限界を作ってしまうことになる。ひいては、それが“才能の限界”となってしまうだろう。


 だから、僕は破壊する。“目の前の読者”を捨てて、“将来の可能性”を取るわけだ。

 1度ムチャをすれば、それがクセになる。「次もやってやろう!」という気が起きてくる。


 また、読者の方も鍛えられる。そこで離れていってしまう読者も多いだろうけれども、それでもついてきてくれた読者には、さらなる衝撃と驚きを提供できるだろう。

「また、やりやがった!」

「なんだ、この作者は!?」

「頭がトチ狂っているのか?」

 このような感想を抱かれるかも知れない。


 けれども、それは、やがて、こう変わっていくだろう。

「いいぞ!もっとやれ!」

「次は、どんなコトをやってくれるんだ?」

「読んでるオレたちを、もっと驚かせてくれよ!」


 こうなったら、しめたもの!こっちも、やりやすくなってくる!

「もっと!もっとだ!もっとムチャをやってやれ!誰も思いつかないような、誰にもできないようなストーリーや展開にしてやれ!キャラクターよ、もっと自由に動き回り、暴れまくれ!世界を破壊せよ!」

 こうして、小説を書いている僕の方も、調子に乗ってくる。

 ここで、奇跡の傑作が誕生するわけだ!!


 もっとも、そこまで行くには長い時間がかかる。

 おそらく、2ヶ月や3ヶ月では無理だろう。半年や1年でも駄目かも知れない。

 けれども、何年も何年もかければ、必ずそのような状態に到達できる時が来る!読者と作者の信頼関係を築ける日が!

 その日を目指して、僕は今日もムチャをやるのだ!!

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