青い光・再現性
一つの話では、最低文字制限数に届かなかった為、二つの話を合わせたものとなります。
ご了承ください。
青い光
「DVDとブルーレイの違いを教えて下さい」
職員室で。
高校二年生にもなって、真田雪はそんな質問を、霧隠才麗国語教師にした。
真田雪という生徒を知る教師陣にとって、この手の質問は、日常茶飯の事だ。以前など、APECとグレゴリー・ペックの違いを、二日続けて、同じ教師が同じ説明をした事がある。
「知らねーよ。んなの六華に訊けよ」
才麗は、ピースの煙を吐きながらそう答えた。
再現性
登校中、三好伊為三は、筧十環と一緒になった。学校指定の制服に身を包む伊為三と違い、十環は、まるで他校の制服みたいだ。
「十環、今日のそれ、誰?」
十環から説明を受けたが、伊為三はそのキャラクターどころか、タイトルすら、知らなかった。
「ふーん。今日服装検査あるの、知ってんの?」
十環は笑顔を作る。
「知ってるよ。多分ビックリするんじゃないかな? この服、凄く細かい所まで忠実に再現してるから」
「……アホくさ。てゆうか、コスプレって、そんなに良いもんなの?」
「うん。楽しいよ? ほら人間てさ、変身願望有るじゃない? それを満たせるのが良いよね」
「ああ、なるほどね。つまり十環の場合、自分が無いから、すでに確立されたキャラクターになっていないと怖いのね」
「伊為三ちゃん、今日も手厳しー!」
伊為三の毒も十環には効かない。
「はあー……」
聞こえよがしに大きな溜息を吐く伊為三であった。