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芋
「あっははー。派手にやったねー」
転んで出血した戸澤君が、猿飛佐助に付き添われて、保健室で根津末広の診察を受けていた。
「とりあえず消毒しとこっか」
「お願いします」
末広は、デスクの上に置いてあった、焼酎のビンを掴んだ。すぐさま佐助が止める。
「待てやコラ。飲むなら消毒してからにしろ」
そもそも、学校で飲むな、という指摘すら忘れてしまうほど、末広は年がら年中飲んだくれている。
「飲むんじゃないよん。消毒だよん」
時代劇でよくある、焼酎を口に含んで傷口にブーッ! という光景が、佐助の脳裡に浮かんだ。
「そう、それそれ」
「消毒液使えよ!」
「いえ、それでいいです。ぜひそれでお願いします」
「戸澤!?」