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◆思ったよりも大変でした
時弥が捕まっていた倉庫が見渡せる位置で隠れていた杜斗たちは、男の1人が倉庫の中に入っていくのを確認する。
見ていると──男が慌てて出てきた。
「おい! 逃げたぞ!」
声を張り上げて仲間を呼んでいる。
「ホントかっ!?」
1人が駆け寄ってくる。髪を茶色に染めた青年だ。
「どこに逃げやがった……」
最後の青年が確認のために倉庫に入って出てくる。
「まさか山を下りたんじゃ?」
「歩いてか? 町までかなりあるんだぞ」
「俺が確認してくる」
1人がそう言って側にあった軽トラに乗り込んだ。
「あ、あの軽トラ動くんだ」
時弥が呑気に感心する。
「あいつら……ガキの火遊びじゃなさそうだ」
「え?」
杜斗がつぶやき、彼が見つめた先に視線を移す。
「うそ……」
そこには別に2人の男がいて、その男たちに挟まれるように1人の少女が震えて立っていた。
後ろ手に縛られている事が窺える。
「あちゃ……」
「こいつはまずいな」
どうやら思っているよりも大きな事件になりそうな予感がした。