◆気にするな
建物は一般的な日本家屋だが3階建てだ。灯りが点いていたのは2階部分。外から確認した時点ではテレビが付いているのだと窺えた。
「……」
裏口のドアノブを掴んで回す。すると抵抗もなく回った。音を立てないようにドアを開き静かにのぞき込む。
家の中は暗く、ひっそりとしていた。奴らテレビに夢中なのか? 杜斗は眉をひそめて侵入を開始した。
靴のまま上がり暗闇の中、時計のライトを前に向けて進む。
「!」
警戒しながら進むとぼんやり明るくなっている処が見えてきた。どうやら2階全体には灯りが点いているらしい。
「……」
明るい2階を見上げて階段を上がる。
徐々にテレビの音が大きくなってきた。さほど頑丈とは思えないドアの隙間から中をのぞき込むと、バラエティ番組だと思われる声が耳に届く。
テレビの前にソファがあり、そこにスーツの男2人が腰掛け両端にある1人掛けソファにそれぞれ青年2人が座っている。
あとの1人は立ってテレビを笑って見ていた。その青年の腰にはやはりモデルガンがヒップホルスターに納められている。
細い隙間からではその改造モデルガンの良し悪しが付きかねて杜斗は口の中で小さく舌打ちした。
他に武器は無いか杜斗は見える範囲から部屋の中を見回す。
「!」
部屋の角に立てかけてある改造モデルガンに目が留まった。それはハンドガンではなくライフル……杜斗は再び舌打ちする。
一通り確認して音を気にかけ階段を下りていく。
「どういうんだ?」
思案しながら家をあとにした。