命の灯(いのちのひ)
「レッダ、時間はある。ゆっくり見てくるといいよ。」
そう言ってリーヴ様は送り出してくれた。これから始まる長いようで短いらしい修行の日々へ。
「いきなりか」
森の中で横たわるシルバーウルフを見つけた。
「色は....赤か....」
この世界の生きとし生けるものは「命の灯」を持っている。「命の灯」は色だけでなく、その燃え方や大きさによっても生命の状態を知ることができる。色は生命力の段階を表しており、低い順に赤、橙、白、青、水色となっている。そして、「命の灯」が大きく強く燃えていれば生命力が残っており、反対に小さく弱々しく燃えていれば、その命は終わりに近づいている。
「....小さいな」
シルバーウルフの命の灯は赤く、今にも消えてしまいそうなほど小さく燃えていた。
そう、このシルバーウルフは、後は眠るだけだ。
レッダはシルバーウルフの身体に手を置き、そっと灯を消した。
傍から見れば簡単なことに見えてしまう。しかし、そうではない。どのくらい生きたかは関係なく、今の今まで生きていた命を絶やしたのだ。
それが、エルドフォルクという種族に与えられた使命なのである。
「望みのない命を開放していただきありがとうございます。」
「いいんだ、これがエルドフォルクの役目だからな。」
「お名前を最後にお聞きしても?」
「レッダだ」
「レッダ様...旅の無事をお祈りしています...では」
そう言ってシルバーウルフの魂は消えていった。
この世界では死んだ時命の灯も消えるが、死ぬ直前に思いが強く残っていたり、命の灯が消えずらいものがいたりする。エルドフォルクという種族はそのような者たちに対し、命の灯を消したり、場合によっては蘇生を行う命の灯を司る種族なのである。




