5月13日
今日の訓練は仕上げのようなものだった。
使える力は全て確かめて、練った戦術の再現性も確かめた。
とりあえず、左手を迎え撃つ準備は整った。
『左手には恐らくそろそろ見つかるだろう』
そういうのは分かるもんなのか?
『ここ最近、そういう兆候を見せていたからな。あっちのセンサーも完全には死んでなかったのだろう。しかし、君はこうして仕上げてくれた。明日、私たちから左手を呼ぼう』
こっちから呼ぶのか。
『奇襲されるより、こちらのタイミングで始めてしまう方がいい。今日は早めに寝るんだ、そして明日早めに起きる。そうして左手を迎え撃つんだ』
なあ、勝った後どうするんだ?
『もちろん、左手を説得するつもりだ。説得できずとも、左手を止めてみせる。そして、元の一人に戻るんだ』
俺が死んだら、どうなる……?
『……君の中にいる、死者たち全てと私が消え去り、左手が人類を滅ぼすだろうね』
そうか、分かった。
『覚悟は決まったかな?』
ああ、明日は絶対に勝つ。
そう言って、今日の訓練は終わった。
これがきっと日記の最後のページだ。
自分のことを、それなりに理解できた気がする。
負けても勝っても、これが最後のページだろう。
明日、理不尽と向き合ってくる。




