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ハーサバルの長い夜が明けた時、漁獲祭の成功報告の一面と同時にある目を引く見出しがあった
『白竜飛来』
ハーサバルの街上空に突如として白竜が出現したかと思えば忽然と姿を消した。関係者も白竜の姿を観測しており「夜中なのに昼の様に明るかった」と困惑の声が挙げられている
このことをアノス自身が知るのはまだ先の話
◆◇◆◇◆
「…」
街並みを見回すと『移動』したことが分かり、考えていた魔法とは全く違う結果を得たことを不思議に思った
魔法とはイメージだ。『したいこと』を魔力によって再現する。『火を出したい』なら『火』が『出る』。だから『飛びたい』がこの結果になるのは異常だ
火を出したいで火事が起きた後を見せられている気分だ
「【デバッグ】」
◇◆◇◆◇
『転移術式』
『人類種の閲覧権限』───『確認…
『Null』───「」
『Timeout』───『◾️◾️◾️』『不足』
『閲覧権限』の『値』が
『一定水準』に『達していません』
◆◇◆◇◆
「?」
デバッグが確かに発動した感覚があったものの、何も起きないまま感覚が元に戻った
「…」
知りたいことは山ほどあるが明らかな異常なのは確かだ。僕が使ったのが転移ならそれはことだ
転移───異なる2点間を瞬間的に移動する
かの事象に対し深く考えざるを得ない。何分『転移』の抱える問題は非常に深刻だ。【スキル】ならいざ知らず。意識的、無意識的に関わらず『魔法』で再現することが固く禁じられている
が今はそれどころじゃない
「グレイの反応が近いな」
◆◇◆◇◆
「ッ!」
「フラワーライト様?」
「大丈夫、少し眩暈がしただけです」
【天啓】が何かを訴えてきているが、その肝心の何かが分からない。頭の中に雑音と霞のかかった映像が悪戯に流れるだけでちっとも当てにならない
「…」
苛立ちを覚える、本来知らされることのないことに怯えていたにも関わらず、いざ失えば『それ』に頼りきっていた自分の愚かさに苛立ちを覚える
「現状は?」
「あまり良くありません」
攻撃が始まって四半刻、傷は増えているものの異常な程に身じろぎひとつ起こさない、攻撃が効いていないというより耐久力が高いと見える
様々な手札を持って攻撃を仕掛けてみては効果が今ひとつながらもやや優勢を保っている現状ながら相変わらず【天啓】が頭に響く
「弓使いの一束目が終わった様です」
「分かりました。魔法使いに伝達
遠距離を交代」
遠距離部隊もそれ程多くはないが矢の消耗が思ったよりも緩やかだ
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「急所不明ですか」
『一射一殺』───弓兵の心掛けから転じた遠距離における鉄則。悪戯に打つのではなく狙い澄ました一矢にて必殺となす
手練れになればなるほど一矢に掛ける意思は強くなり手数の減少、威力の向上が見られる。熟達者になれば手数も増えるものの急所を正確に見定める心眼がなければ無用の長物
されど30分で20数本の矢を漸くうち切るというのは環境も去ることながら巨体から急所を探しあぐねていることに他ならない
「長期戦は避けられませんね」
「補給物資の準備も…」
フラワーライト、シャルがそんな会話をしている最中、船体が大きく揺れフラワーライトは体勢に気を取られた
「総員警戒体制!」
「フラワーライト様!」
迫る高波、無防備なフラワーライト
シャルの決断は早かった。フラワーライトの盾となり彼女を身を挺して守った。押して流す波が甲板を包み、幾人かを飲み込みしな
引き波にて大勢を水面へと引き摺り込んだ
「…ッ、シャル!」
生じた高波が悉くを引き摺り込んだ
「【神◾️御業】
海上に落ちたものは早く避難を
自力で上がれないものには助力を」
フラワーライトは迷うことなく【聖女】により強化を全員に施した。最善故に最悪、フラワーライトは判断を誤った
「!」
突如出現した陽の光、2度目の光
それが意味することは
「30級、急接近!衝突します」
「な!?」
2体目の出現だった
防御の展開は間に合うことなく三度目の高波により船を残し、冒険者を含む捕獲組の悉くを海上へと引き摺り込んだ
◆◇◆◇◆
「起きてください、殿下!」
「フラワーライト様!」
【気配遮断】による隠密でことなきを得ていた2人は揺れる船舶の上で必死になってフラワーライトの救助に当たっていた
船の手すりから半身を乗り出し、辛うじて放り出されずに済んでいるのだが、如何せん半身が出ている状況で引き上げるのは至難の業であった
「シルビア、状況は?」
「…船団の殆どが機能停止」
「皆さん投げ出されましたか」
「ですが不思議なことに皆溺れることなく
海面に立っているんです」
「それは殿下の【スキル】です」
◇◆◇◆◇
【神?御業】───◾️◾️を再現するスキル。飢饉◾️救う、洪水◾️止める、流行病◾️終息させるなどかつて神というものがなし得た◾️◾️を再現する。『Fail』───根源が不明のため逸話より再現。不完全です
◆◇◆◇◆
「とある神が大陸の向こう側に
助けを求める声を聞き
海を走り抜けた逸話が…」
「その話
気になりますが引き上げるのに集中を!」




