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◆◇◆◇◆


「疲れたぁ」


「シルビア、ベッドに入る前に

 湯浴みに行きますよ」


「はぁい」


 夜の依頼に向けて早めの休息を取ることにした


「それではアノス様行ってまいります」


 アノスは身振りで見送ると現状の整理を始めた


◆◇◆◇◆


「…」


 巨大遊泳魚『グランドグラットン』


 ハーサバルの漁獲祭で釣り上げる獲物。無制限に大きくなる大食漢。残存する情報媒体において、モンスターに分類される種としては最大級であり、歴史に残る最大観測サイズは『60メートル』にもなる


 漁獲量の減少、生態系、船舶への被害が大量に出たことでその存在が明らかとなり、討伐隊が組まれることになる。捕獲船26隻が大破、冒険者では20万人が行方不明者として登録されている


『アーテルレスト』が生涯で人類種に与えた被害、領域等の町『二十領域』、冒険者『15万人』と考えるとその被害規模は異常とも言える


 そのため漁獲祭では30メートルの個体を捕獲し、これを食すことを是としている


「厄介だな」


 問題はこの『グランドグラットン』が超凪以外での釣り上げがほぼ不可能という点だ。ひとつは60でないにしろ30を捕獲するのに使用する捕獲船はその大きさにより耐久性に難があり、荒れた海では発艦許可が降りることがないのである


 無理をして白波が立つ海、荒波が発生すればほぼ許可は降りない。重すぎる重心を支える捕獲船はそれ程偏った性能をしているのである


「夜は波が立ちづらいからか」


 作戦書を眺めながら椅子に腰掛け、最後の頁に目を通した後に目を瞑る。内容は例年通りの作戦であった


「…」


 休んでおかなければと仮眠に入る。深い眠りは体力を回復させるのにうってつけだ。その代わりに時間を必要とする。適当とは言えない


「…」


 硬い床や不安定な場所でも眠ることができていたのに、今は不快に思っていることが理解できない。不可解だ


「…」


『寒い』───気温、室温、体温じゃない。何か、どこか言葉に表せない場所が寒くて仕方がない


「ティナ」


 それでも依頼に備えるべく、無理矢理意識を逸らし休憩に入る。思考をやめた後に残った『疑問』───『黒装束』の正体は何だろうか


「人影の仲間、それか

 白スーツ、もしくは両方かな」


 目を閉じて深く呼吸をする


「…」


◆◇◆◇◆


 浴中にレイア様とジルバレー皇女と偶然会い、アノス様への仲介を頼まれた。扉の前に着き、扉を叩くが返事はなかった


「アノス様、お客様…」


 部屋に入って最初に入ってきたのは休まれているアノス様でした。いつもなら即起きるというのに眠り続けている。余程疲れているのか


 私は起こすことなくそっと扉を閉じた


◆◇◆◇◆


「申し訳ございません

 現在立て込んでおりまして」


「残念でございます」


 ジルバレー王国の次期国王、ジルバレー・フラワーライトのお目付け役レパスが茶を飲みながらアノスの参上を心待ちにしていた。しかし、アノスの使いであるリリアナが戻ってくるとそれが叶わないことを告げられた


「時にリリアナさん」


「何でしょうか」


「アノス・アーロン様の戦いっぷり

 拝見しております。欠損前は

 剣と魔法を使われていたとか」


「アノス様は二振りを

 修めております。酔狂者とは違い

 双方に師を持っております」


「フラワーライト様はその戦いぶりに

 酷く関心を示されておいでです

 それと」


 レパスはひと呼吸おくと


「一番気になられているのは今回の

『大侵攻を予言』して見せた方法でございます」


「…」


「一体どのようにしてでしょうか?」


 レパスはリリアナを見つめていた。フラワーライトがひとつ予想していたのがリリアナの持つ【第六感】による予感ではないかと踏んでいた


 しかし、当のリリアナは無反応、リリアナ自身も『それ』について一切の情報を持っておらず考え込み始めた


「?」


「申し訳ございません

 私にもさっぱりなのです」


「なんと、そうなのですね」


「はい」


「ふむ」


 はぐらかすようなリリアナの言葉に引き下がるレパスだった


◆◇◆◇◆


「レパス、どうでした?」


 宿屋から出てきたレパスに興奮を隠しきれていないフラワーライトが言った。しかし、その様子からあまり望みの返事が返って来ないことを察すると落ち込みを露わにした


「残念ですが」


「そうなのですね」


 アノスに興味津々のフラワーライト。それというのもフラワーライトには悩みがあった。王国の未来に直結する悩み


「『未来予知』についてお話が

 できればよかったのですが」


「また改めて伺いましょう」


「そうですね。馬車を出してレパス」


「かしこまりました」

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